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四章:王都攻防戦
59 バランと合流する前、道中で
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『ジン、怪我はそろそろ治った頃ではないか? 我々は以前君がリヒトの軍を追い払った集落で反撃の準備を整えている。
君の方も準備ができ次第こちらに来て欲しい。
近い内に王都への反攻作戦を決行する』
バランからの手紙にはそんな事が書かれていた。
俺たちは早速、バランの待つ集落へと移動した。
「ねえ」
「マルチナ?」
マルチナが俺の袖を引く。
不安そうな顔だ。
「私たち、きっと勝てるよね?」
「どうした?」
「だって、あの時、手も足も出ないで逃げるのがやっとだったから……」
立ち止まったマルチナの足は震えていた。
「大丈夫だ。今度は俺たち3人だけじゃない。沢山の味方が一緒なんだから。それに、ただ休んでたわけじゃないだろ」
「うん。でも、それでも、やっぱり」
思わず俺はマルチナを抱き締める。大丈夫だよと気持ちを込めて。
「ジン、さん……」
「マルチナは前に大切なモンスターを失ってるから、そう思ってしまうだけだ。今度は違う。沢山の仲間がいて、俺もいる。約束する。絶対に俺は死なないし、マルチナもミファも全員守る」
「レッドもだよ」
「ああ。ドラゴンのレッドも大切な仲間だからな」
「うん……」
マルチナは俺の胸に顔を埋めたまま小さく返事をした。
いつの間にか彼女の足の震えも収まっていた。
「もう、私もいるんですけど……」
ミファがこちらを睨んでいた。
「あ、あはは……」
「べ、別に良いでしょ! 不安だったんだから」
まだマルチナは俺から離れてくれない。
「……マルチナさんだけズルいです。私だって……」
「ミファ? 何か言った?」
「え? 何にも言ってないよ!」
マルチナの問いに慌てて首を振り否定するミファ。その顔は心なしか赤くなってるような気がした。
「と、とにかく、そんな人前でイチャイチャしないでください!」
「イチャイチャではないと思うんだが……」
俺はどうしたもんかと頭を掻く。
これからバランたちと合流した後、すぐに王都奪還のための戦いが始まるってのに。この緊張感のなさは……。
いや、今はこの緩いくらいの空気を味わうのも悪くない。
今だけは……。
君の方も準備ができ次第こちらに来て欲しい。
近い内に王都への反攻作戦を決行する』
バランからの手紙にはそんな事が書かれていた。
俺たちは早速、バランの待つ集落へと移動した。
「ねえ」
「マルチナ?」
マルチナが俺の袖を引く。
不安そうな顔だ。
「私たち、きっと勝てるよね?」
「どうした?」
「だって、あの時、手も足も出ないで逃げるのがやっとだったから……」
立ち止まったマルチナの足は震えていた。
「大丈夫だ。今度は俺たち3人だけじゃない。沢山の味方が一緒なんだから。それに、ただ休んでたわけじゃないだろ」
「うん。でも、それでも、やっぱり」
思わず俺はマルチナを抱き締める。大丈夫だよと気持ちを込めて。
「ジン、さん……」
「マルチナは前に大切なモンスターを失ってるから、そう思ってしまうだけだ。今度は違う。沢山の仲間がいて、俺もいる。約束する。絶対に俺は死なないし、マルチナもミファも全員守る」
「レッドもだよ」
「ああ。ドラゴンのレッドも大切な仲間だからな」
「うん……」
マルチナは俺の胸に顔を埋めたまま小さく返事をした。
いつの間にか彼女の足の震えも収まっていた。
「もう、私もいるんですけど……」
ミファがこちらを睨んでいた。
「あ、あはは……」
「べ、別に良いでしょ! 不安だったんだから」
まだマルチナは俺から離れてくれない。
「……マルチナさんだけズルいです。私だって……」
「ミファ? 何か言った?」
「え? 何にも言ってないよ!」
マルチナの問いに慌てて首を振り否定するミファ。その顔は心なしか赤くなってるような気がした。
「と、とにかく、そんな人前でイチャイチャしないでください!」
「イチャイチャではないと思うんだが……」
俺はどうしたもんかと頭を掻く。
これからバランたちと合流した後、すぐに王都奪還のための戦いが始まるってのに。この緊張感のなさは……。
いや、今はこの緩いくらいの空気を味わうのも悪くない。
今だけは……。
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