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閑話1
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ファッキューを数えよう。別に他の言葉でもいいが。この作品を読んでいて、もしくは日常生活を送る中で、自分がどれだけファックとか、タヒねとか、言葉にはしなくとも憎しみや怒りを誰かや何かにぶつけたり、念じたり、将又それらを呪いにして何度も感情を発露させたり……なんだっていい。自分が、してはいけない、悪いことだと思っている感情や言動を、この文章を読む中や日常生活でどれだけ犯しているか。それを数えよう。時間のない人は心に留めておくだけでもいい。そうでない人は何かにメモしてみてもいい。そうすれば、このどうしようもなく下らない話が、ほんの少し違って見えるかもしれない。
好奇心は猫をも殺すと言うが、それは大袈裟なのかも。
全てはあなた次第で自己責任だ。
この本を手に取り、カバーを開いて扉を開けたように。
◆
どうしてこの作品が「ぬ」から始まったかと言うと、面白くなかったから。……え? あら? 「る」だったかな? それとも「め」? ははは、ごめんね。「うぇ」だったね。他の作品と勘違いしちゃったかな? あはは。
……まあ、そんなことはどうでもいいよね。
とにかく、今でも面白くない(自分の中では、小学生が書いた作文の方が何倍も面白いと思う)けど、今なんかよりもっとひどかったんだ。言うなればクソだ。誰だってお腹を壊す人はいると思うけど、そうなってトイレで座っている時、大体こう思わない? (くっそ~……)とか、口に出して「クソ……」なんて。で、そのあと思うんだ。(糞だけに……はぁ、笑えない……)なんてね。平たく言うとそれくらいクラップ! だった。だからこうなったんだ。俺の知り合い(今は友達じゃないよ)が言うには、
「工夫されてない回想って読む気失せる」
「回想嫌い。だって過去のことじゃん。これからどうなっていくかが知りたいのに、昔のことなんかあんま興味もてない」
だってさ。
言われてみれば、回想って面白くないかもしれない、とその時の僕は思った。
多分、回想に入ったとき、(どうせこういう話なんでしょ?)と見当がついてしまうのが主な原因だと思う。要約すると、『おそらく未知じゃない』ってところだ。「プレゼント・デイ」がこうなっている――それなら、「six months ago」とかの内容は、到達点が見えているから、大凡こうならざるを得ない、と想像がついてしまうわけだね。それが原因で、未知なのに既知に思えてしまう、感じてしまう。なんとなく引いたおみくじが、大吉かと思ったら小吉だったみたいに(上手いたとえが浮かばなくてごめん)。
変化がない。刺激がない。好奇心が煽られず、満たされない。期待していないから席を立って出て行ってしまう。その意表を衝くのがプロの仕事、というより巧い人? なのだけど、これが結構難しい。――今だってほら、「面白くないから」なんて言いつつ、面白くないことを連連と書き綴ってしまっているもの。これだけ長々とくっちゃべってしまったら、回想に回す余裕がなくなってしまうのに。というかなくなったかな(笑)。だから回想をなるべく簡潔にまとめるね。
とりあえず、万が一、この作品を推理ゲームとして暇つぶしに読む人(そんな人いるの?)のことを考えて、必要な情報を漏らさないように書き連ねることにしたよ。たまに自分の言いたいこととか、どうしても聞いてほしいことが混ざることもあるだろうけど、許してくれたら嬉しい。
ではどうぞ。
と思ったけど、やってみてできあがったら全然簡潔じゃなかったよ……orz。どうしてこうなったか自分でもわけがわからないよ……。
◆
この物語には産まれたて赤ちゃんレベルの意味不明な偽英語(イミテーション・イングリッシュ?)が搭載されています。
偽英語を読むときはできるだけ上手に(目標はハリウッド映画の俳優が喋っているように)発音してみてください。
練習だとか勉強だとか思わなくて構いません。
自信がある人はネイティブよろしく。興味がある人はノリに乗って。そうでない人も、映画好きの人なら流暢な英会話を聞いたことがあるでしょう。それをできるだけでいい、真似して。全くやる気のない人はそうですね……読むのを止めた方がいいかもしれません。……ウソです。だってコレを読んでいるということは、少なくとも読む気はあるということですよね。読み飛ばす気満々にしても。それならそれでいい。黙読でも、アレンジでも、通りすがりの外国人にちょっかいを出して読んでもらっても。
どんな読み方をしようとあなたの自由です。当たり前ですね。
でも、公共の場所や、他人がいる場所では、空気を吸ってどんな味がするかを確かめてみてからにしましょう。
追伸:あのお方なら英語を織り交ぜた新しい、または面白いお話が作れそうなので万が一これを読んでいらしたらご検討願います。その場合はこのお話の物語生命、とでもいうべきものが失われる可能性が微レ――確レ存ですが、やる気がありましたらお構いなしにやっちゃってください(笑)。
◆
この世界の人々は生きている。演技などしていない。
他人と共存するための「演技」こそすれど、役を演じているわけではない。
彼らは私達が自然に生活するのと同じように生きている。
星は存在すれど、舞台やセットなどない。
あるのは「目」と「気配」という、監視撮影機である。
◆
どうしてこうなった(ここまでのあらすじ!)。
簡潔に言うと、担任で意中の先生である三枝紫〈さえぐさゆかり〉センセーの美脚を眺めながら「入部する部活決めなさい」って言われたからです。
「志津馬君いつも私の脚見てるわよね。そんなに脚が好きなの? 脚フェチ?」
「いえ、俺は脚フェチって言うより先生の脚が好き……――って先生いたんでちゅかっ!?」
「いたわよ。最初から」
「そんな……監督が俺だけのコメンタリーってことで制作費ケチるからって言ってたのに……どっかから金借りたか某部署から捻出でもさせたんですか……?」
制服姿の志津馬と女教師スタイル(美少女ゲームでよく見るアレ)の三枝は、映画の特典でよく見るような出演者コメンタリーの撮影場所で席を向かい合って座っている。カメラは彼ら二人がちょうど収まる程度にズームされているようだ。
(これで舞台設定はいいかな? もう地の文とかほとんどいらないかな? 私の、コンピューラが排出したようなクッソつまらねえイライラする地の文なんか一ミリも要らないかな? かな? ねえ圭一君?)
「監督は気が変わった、って言ってたけど」
先生は足を組んで気軽な様子。
「原作者だって『ここの回想はサボってもいいか……志津馬だけだし』とか言って、シリーズほとんどプレイしてるゾンビゲーするって言ってたのに……ネコミミが何度やっても取れないとかで……」
「あの人なら、『五十回以上死んで、そのあとに自暴自棄になってなんとなくやったらなぜか取れた』って言ってたわよ。『でも死神の方、やる気起きない』とか『ストーリーで全部の無限武器使いたいなあ。死神全部クリアしたら使えるかな?』とかぶつぶつ漏らしてたわ」
「そ、そうなんですか……」
一ヶ月でこの作品完成させたる! とか豪語してたのはどこいった……。
「それで、なぜ先生の脚はここに?」
ごく自然な口調で問う。
「暇だから運んでみたわ」
「そ、そんな理由で勝手に登場してもいいんですか……? 色々と問題とか……」
「今の段階だと、私、序盤しか登場しないのよ。そのあとずっと家でぐーたらしてるのもつまらないし、ここでキャラを売っておけば、メインヒロインにでも昇格できるかと思って」
なにがあったんだ……。休みの日は芋焼酎片手にテレビに付きっきりじゃなかったのか……。
それはともかくっ!
「先生はすでにメインヒロインですよ」
キリッ。
「あなたの中では、でしょ? そうじゃなくて、あわよくば私専用のストーリができたりして、その中で出会いがあって……とかそういうのを狙ってるのよ、私は」
「な……な……な……」
せ、先生が、センセーが他の男に寝取られるだと……!? そんなシチュぜったいおかず――。
「そ、そそそそんなのダメですよせんせーっ!!」
「声が大きいわ、志津馬君」
だめだだめだだめだ! センセーが他の男にprprされるだと……!? いやもしかしたらせんせーがprprかもしれないけど……ってそんなことはどうでもいいっ!!
「センセーの脚は僕がprprするんですッ! 他の誰にもヤラせはしませんッ! ぜったいです!」
「声が大きいわ、志津馬君。それに論点が明後日の方向に飛んでいってしまっているわよ、おそらくね」
いいや! 間違ってなどいない! 重要なのは先生の脚が純潔を保つことなんだ! そのためなら! 俺は……俺は……っ!!!
「今から僕が先生の脚をprprしま――」
「――落ち着いて」
「ズワ゛ゴッッ!!?」
瞬間、言葉が発せなくなった。
次の間に、喉が潰れたことに気づき、視線を落とすと、
「……あ゛ う゛……で……?」
先生の手刀が首に減〈め〉り込んでいた。
間もなく窒息死を感じた。
気がつくと、そこは先生の脚が周りを囲んでいるシャングリラ魂だった。
他にはなにもない、脚だけの真っ白な世界。
そこは俺にとって、まさに桃源郷だった。
これから好きなだけ、先生の脚をprprして過ごせる。もっといろんな事もできるだろう。そうやって感動に打ち震えていると、
「やっと起きたのね、志津馬君」
声に振り向くと、
「……先生」
誰もいないと思っていたはずが、女教師姿のいつもの先生がいた。
「先生……これは一体……What the heaven is goin' on……?」
そう聞くと、無数の脚を眺め回して、
「この脚だらけの世界のこと?」
大した事ではない、と言うように質問を返してきた。
「簡単なことよ。私は能力に目覚めたの」
「能力……?」
「ええ。例えるなら、あれね。海賊王になるのメンバーのニコちゃん、さんかしら? あの能力と似たようなものよ」
本当はバットマンのロビンみたいなのが良かったんだけどね……ニコじゃなくて、と小さく呟く。
「じゃあ、何かの実を食べたんですか……? アシアシの実とかビキャビキャの実とか」
「食べてないわよ。だってアレ、美味しくないって評判じゃない。評判は評判でも、おいしくない方だってわかってるのに、行くかしら? そのお店に」
「多分行きませんけど……」
「でしょう? じゃあ他に行きましょうよ。いいところにね」
いいところ、なんて言われると年頃の男子としては非常に気になる。穴場かな? カタカナに置き換えてみると分かりやすい。……穴場のイ・イ・ト・コ・ロ(ハート)。エロオヤジしか引っかからねえな。
「店の話じゃなかった気がするんですが……」
「男ならつべこべ言わずついてきなさい。それが甲斐性ってものよ」
「引っ張っていくのが甲斐性なのでは……?」
そして先生に引っ張られるように連れて行かれたところは。
「ここよ。時と精神の部屋」
「え……!? そ、そのネーミングはかなりまずくないですか……? アウトかセーフかで言うと、穿いてない確定系とか、見えちゃってるようにしか見えない系のはみ出しセウトな気が……」
「じゃあトキと星辰の部屋にしましょう」
「それは別のところに引っかかってそうな……」
「しつこいわね。あなた、そんなこと気にするようなタイプじゃないでしょう。どうして皮k――猫被るようなことしてるのよ」
「え、今先生――」
「さ、中に入れ――入るわよ」
「え、先生今――」
扉をくぐると、そこは我が校の職員室だった。しかし視界は昔のテレビのようにモノクロで、時折ノイズが入っており、教師や俺達は本物の俺達に気づいていない、らしい。それに職員室全体が映し出されているわけではないようだ。紫先生の席周辺と、三崎先生お三方と教頭先生の机周辺しか映されていない。
「この中ではね、過去が見れるの」
「修行のための部屋じゃないんですね」
「ある意味、修行とも取れるかも知れないけどね」
部屋を見渡して思慮深げに言った、
……三崎先生方に教頭先生。それに昼休み。
「質問なんですけど、もしかしてこのシーンって……」
「そうよ。あなたが昼休みに私に呼び出されたときのこと」
「やっぱりそうなんですね」
ありがちな展開にゲロを吐きながら相槌を打つ。
「あなたは職員室に入ってきて、最初に三崎先生方を見てにやけてたわね」
「見てたんですか? 俺が吹きそうになってたところ」
ふっと先生は笑って、
「私は生徒のことは一人一人見てるの。なるべく見逃さないよう気をつけてね」
「見てたのに知らんぷりしてたと」
「そのおかげで誰にも気づかれてないって安心できたでしょ?」
楽しげに微笑む。
「今、安心できなくなりましたけど」
「それはそれ、これはあれよ」
「あれってなんだ……」
小声を聞いてか聞かずか、
「さて、それじゃあ、何があったかを二人でおさらいしましょうか」
行き成りの提案。
「どうしてです?」
「誰かのためよ」
「誰かとは?」
「この世界に触れる人たちのことだけど?」
「そんな酔狂な人達いるんですか?」
いる気がしない。いたとしても強制されてるだけの一次選考評価者か、活字の虫か、なろうやカクヨムを読み漁っている人がタイトルから勘違いして衝動的に読んでるだけな気がする。
「いないかもね」
「ですよね。それなら……」
「意味がないって?」
「はい」
「違うわよ志津馬君。まず前提からして間違ってるわ」
「前提、ですか?」
「触れる人がいないから知らせる必要がない、そうではないのよ。そもそもそこが間違ってる」
「えーっと……」
触れる人がいなくても、それはなくてはならない……ってことか?
「この世界が誰のものか考えてみれば自ずと答えは見えてくるはずよ」
現実では見過ごすことがあっても、ここでは見過ごすということが基本的にあってはならない。彼女の言にはそういう意味もあったのかもしれない。
「――あ、えっと、つまり……」
「はいはい答案答案~」
どんどんパフパフ~! とどこからか楽器を持った小人が現れ消えた。
「今の状況は、この世界を完成させるためにある、ってことですね」
「そういうこと。よくできました。頭なでなでしてあげましょうか」
「……いえ、子供じゃないのでいいです。でもそれなら、俺達がそういうことを知っているということはどういうことなんですかね」
「うーん。そこはミジンコと酔狂? な理解者と、紙のみぞ知る、ってところじゃないかしら」
「ふーむ。深いですね……」
「そうね。全く深くないわね。ね?」
「やっぱり面倒くさいから、志津馬君、あったこと適当に羅列して終わらせといてくれない?」
「――面倒くさい!? 面倒くさいって言いました今!? 言い出しっぺなのに!?」
「言ったわよ。七面倒くさいったらありゃしない、って」
「そんな元も子もない……。どうしたんですか急に」
「上からお達しがあって、『会話文に地の文混ぜてたら尺足りないからダーッと終わらしといて。ね?』って言われたのよ。まったく、これだから好き放題するわがまま上司ってのは……」
「は、はあ……」
大人ってやっぱり大変ですよ。
「はい、それじゃ志津馬君、あとはよろしくね。私は楽屋で休憩してるから。出番の時以外は楽屋に来ないでってみんなに言っといて」
「先生まさか芋――」
「はい志津馬君の回想始まり始まりー!」
そう言い残して先生は去って行ってしまった。
……。
…………。
………………。
はあ……。えーっと。職員室に入ってからあったことと言えば……。
※注意。この下の段は、本作を推理ゲームとして読んでいる酔狂な方か、本作と波長の合った方のみ目を通されることをおすすめいたします。七面倒臭いったらありゃしねえ、という方、こちとら時間が押してんでえ! といった方は飛ばしていただいても構いません。ご確認のほど、よろしくお願い致します。
「三崎」と称される変人〈おもしろ》先生トリオの話(数学の山崎先生がしゃくれアゴをしゃくりながら魔法瓶のコーヒーをすすり、その横で野崎先生がしゃっくりを繰り返し、反対側では江崎先生が「鉄道員」を読みながらおんおんと泣きじゃくっていた)が出たり。
グラウンドで野球やってた生徒が居合抜きの構えから特大ホームランを斬り打っ放したのを「おー」と言いながら見ていたり。
せんせーが氷の微笑ばりに脚を組み直すのを、カメラを釘で打ち付け固定して凝視していたり(見えたのは妄想だったのか、映画だったのか、それともストッキング越しの黒いレースだったのか、今となってはわからない)。
紫てんてーが勘違いして俺に彼女がいると思い、「お医者さんごっこ」という妄想ペーキングパウダーが飛び出してふっくらふわふわパンケーキ(千二十五段)が出来上がったり。
それを否定すると先生がボーナスが出た親のように上機嫌になったり。
センセーが「女子に興味ないの?」なんて言ったせいで俺のゲイ疑惑が浮上したり。
紫先生の隣に座る化け学担当の後藤先生がデスクマットに弁当の唐揚げを落とし、それをふーふーしてから食べているのを目撃してしまったり。
彼女にするなら『中腹の影に咲いた一輪の花がいい』なんてバカなことを考えたり。
是枝君の漢字テストの採点が見えてしまい、急に二八蕎麦が食べたくなったり。
思春期特有の「心配されすぎて鬱陶しくなる病」を発症しそうになったり。
俺がクラスで名前を覚えているのは春風悠〈はるかぜゆう〉と朱鷺野奏汰〈ときのかなた〉君というクラス委員だけで、他のクラスや学年の名前などほとんど覚えていないし、覚えられないという事実を自白したり(なぜか人を覚えられないんだ。なんでだろね?)。
「友達作らないの?」と人間山脈の開墾を勧められたり、それを聞いたせいで耳に蛸ができてしまい、数えてみると五杯の蛸が「ちゅうちゅうたこかいな!」と耳に張り付いていることがわかったり。
BTTFの話をして「マロンがありますよね!」などと言って帰りにケーキ店のテラスで独りでモンブランを食べる計画を立てて本当に実行してみたり。
人の夢が儚いなんてベタな話をしながら、先生が職員室内を遠い目で見つめていて、俺はそのアンフェアの主人公のような横顔に見惚れていたり。
俺の好みはアン・マリー、ベター・ムーンライト、ベスト・チョイスなのでち! ということが語られたり。
煮え切らない俺に我慢ならなくなった先生が代わりに入部届にオカ研と書いてくれそうになったり。
俺が前の日にナンプレして知恵熱が出たことがわかったり。
先生がこめかみを押さえ始めたのを見て、バファリンの半分が優しさでできていることを思い出したり。
先生の脚だけを見ながら「ちゃんと部活決めてきます!」と宣言したり。
ハゲている教頭がナマばっか言うのを思い出してナマハゲが……! とカツラにいたずらしたくなってしまったり。
……そんなこんな、色々あった気がするけれど、どれも大したことじゃないから聞き流しておけばいいんじゃない? みたいな? そう思います、です。はい。
うん、こんなとこかな。適当に羅列って言ってたから問題ないはず。…………。ないよね……?
志津馬は後でコロコロしときますね☆
好奇心は猫をも殺すと言うが、それは大袈裟なのかも。
全てはあなた次第で自己責任だ。
この本を手に取り、カバーを開いて扉を開けたように。
◆
どうしてこの作品が「ぬ」から始まったかと言うと、面白くなかったから。……え? あら? 「る」だったかな? それとも「め」? ははは、ごめんね。「うぇ」だったね。他の作品と勘違いしちゃったかな? あはは。
……まあ、そんなことはどうでもいいよね。
とにかく、今でも面白くない(自分の中では、小学生が書いた作文の方が何倍も面白いと思う)けど、今なんかよりもっとひどかったんだ。言うなればクソだ。誰だってお腹を壊す人はいると思うけど、そうなってトイレで座っている時、大体こう思わない? (くっそ~……)とか、口に出して「クソ……」なんて。で、そのあと思うんだ。(糞だけに……はぁ、笑えない……)なんてね。平たく言うとそれくらいクラップ! だった。だからこうなったんだ。俺の知り合い(今は友達じゃないよ)が言うには、
「工夫されてない回想って読む気失せる」
「回想嫌い。だって過去のことじゃん。これからどうなっていくかが知りたいのに、昔のことなんかあんま興味もてない」
だってさ。
言われてみれば、回想って面白くないかもしれない、とその時の僕は思った。
多分、回想に入ったとき、(どうせこういう話なんでしょ?)と見当がついてしまうのが主な原因だと思う。要約すると、『おそらく未知じゃない』ってところだ。「プレゼント・デイ」がこうなっている――それなら、「six months ago」とかの内容は、到達点が見えているから、大凡こうならざるを得ない、と想像がついてしまうわけだね。それが原因で、未知なのに既知に思えてしまう、感じてしまう。なんとなく引いたおみくじが、大吉かと思ったら小吉だったみたいに(上手いたとえが浮かばなくてごめん)。
変化がない。刺激がない。好奇心が煽られず、満たされない。期待していないから席を立って出て行ってしまう。その意表を衝くのがプロの仕事、というより巧い人? なのだけど、これが結構難しい。――今だってほら、「面白くないから」なんて言いつつ、面白くないことを連連と書き綴ってしまっているもの。これだけ長々とくっちゃべってしまったら、回想に回す余裕がなくなってしまうのに。というかなくなったかな(笑)。だから回想をなるべく簡潔にまとめるね。
とりあえず、万が一、この作品を推理ゲームとして暇つぶしに読む人(そんな人いるの?)のことを考えて、必要な情報を漏らさないように書き連ねることにしたよ。たまに自分の言いたいこととか、どうしても聞いてほしいことが混ざることもあるだろうけど、許してくれたら嬉しい。
ではどうぞ。
と思ったけど、やってみてできあがったら全然簡潔じゃなかったよ……orz。どうしてこうなったか自分でもわけがわからないよ……。
◆
この物語には産まれたて赤ちゃんレベルの意味不明な偽英語(イミテーション・イングリッシュ?)が搭載されています。
偽英語を読むときはできるだけ上手に(目標はハリウッド映画の俳優が喋っているように)発音してみてください。
練習だとか勉強だとか思わなくて構いません。
自信がある人はネイティブよろしく。興味がある人はノリに乗って。そうでない人も、映画好きの人なら流暢な英会話を聞いたことがあるでしょう。それをできるだけでいい、真似して。全くやる気のない人はそうですね……読むのを止めた方がいいかもしれません。……ウソです。だってコレを読んでいるということは、少なくとも読む気はあるということですよね。読み飛ばす気満々にしても。それならそれでいい。黙読でも、アレンジでも、通りすがりの外国人にちょっかいを出して読んでもらっても。
どんな読み方をしようとあなたの自由です。当たり前ですね。
でも、公共の場所や、他人がいる場所では、空気を吸ってどんな味がするかを確かめてみてからにしましょう。
追伸:あのお方なら英語を織り交ぜた新しい、または面白いお話が作れそうなので万が一これを読んでいらしたらご検討願います。その場合はこのお話の物語生命、とでもいうべきものが失われる可能性が微レ――確レ存ですが、やる気がありましたらお構いなしにやっちゃってください(笑)。
◆
この世界の人々は生きている。演技などしていない。
他人と共存するための「演技」こそすれど、役を演じているわけではない。
彼らは私達が自然に生活するのと同じように生きている。
星は存在すれど、舞台やセットなどない。
あるのは「目」と「気配」という、監視撮影機である。
◆
どうしてこうなった(ここまでのあらすじ!)。
簡潔に言うと、担任で意中の先生である三枝紫〈さえぐさゆかり〉センセーの美脚を眺めながら「入部する部活決めなさい」って言われたからです。
「志津馬君いつも私の脚見てるわよね。そんなに脚が好きなの? 脚フェチ?」
「いえ、俺は脚フェチって言うより先生の脚が好き……――って先生いたんでちゅかっ!?」
「いたわよ。最初から」
「そんな……監督が俺だけのコメンタリーってことで制作費ケチるからって言ってたのに……どっかから金借りたか某部署から捻出でもさせたんですか……?」
制服姿の志津馬と女教師スタイル(美少女ゲームでよく見るアレ)の三枝は、映画の特典でよく見るような出演者コメンタリーの撮影場所で席を向かい合って座っている。カメラは彼ら二人がちょうど収まる程度にズームされているようだ。
(これで舞台設定はいいかな? もう地の文とかほとんどいらないかな? 私の、コンピューラが排出したようなクッソつまらねえイライラする地の文なんか一ミリも要らないかな? かな? ねえ圭一君?)
「監督は気が変わった、って言ってたけど」
先生は足を組んで気軽な様子。
「原作者だって『ここの回想はサボってもいいか……志津馬だけだし』とか言って、シリーズほとんどプレイしてるゾンビゲーするって言ってたのに……ネコミミが何度やっても取れないとかで……」
「あの人なら、『五十回以上死んで、そのあとに自暴自棄になってなんとなくやったらなぜか取れた』って言ってたわよ。『でも死神の方、やる気起きない』とか『ストーリーで全部の無限武器使いたいなあ。死神全部クリアしたら使えるかな?』とかぶつぶつ漏らしてたわ」
「そ、そうなんですか……」
一ヶ月でこの作品完成させたる! とか豪語してたのはどこいった……。
「それで、なぜ先生の脚はここに?」
ごく自然な口調で問う。
「暇だから運んでみたわ」
「そ、そんな理由で勝手に登場してもいいんですか……? 色々と問題とか……」
「今の段階だと、私、序盤しか登場しないのよ。そのあとずっと家でぐーたらしてるのもつまらないし、ここでキャラを売っておけば、メインヒロインにでも昇格できるかと思って」
なにがあったんだ……。休みの日は芋焼酎片手にテレビに付きっきりじゃなかったのか……。
それはともかくっ!
「先生はすでにメインヒロインですよ」
キリッ。
「あなたの中では、でしょ? そうじゃなくて、あわよくば私専用のストーリができたりして、その中で出会いがあって……とかそういうのを狙ってるのよ、私は」
「な……な……な……」
せ、先生が、センセーが他の男に寝取られるだと……!? そんなシチュぜったいおかず――。
「そ、そそそそんなのダメですよせんせーっ!!」
「声が大きいわ、志津馬君」
だめだだめだだめだ! センセーが他の男にprprされるだと……!? いやもしかしたらせんせーがprprかもしれないけど……ってそんなことはどうでもいいっ!!
「センセーの脚は僕がprprするんですッ! 他の誰にもヤラせはしませんッ! ぜったいです!」
「声が大きいわ、志津馬君。それに論点が明後日の方向に飛んでいってしまっているわよ、おそらくね」
いいや! 間違ってなどいない! 重要なのは先生の脚が純潔を保つことなんだ! そのためなら! 俺は……俺は……っ!!!
「今から僕が先生の脚をprprしま――」
「――落ち着いて」
「ズワ゛ゴッッ!!?」
瞬間、言葉が発せなくなった。
次の間に、喉が潰れたことに気づき、視線を落とすと、
「……あ゛ う゛……で……?」
先生の手刀が首に減〈め〉り込んでいた。
間もなく窒息死を感じた。
気がつくと、そこは先生の脚が周りを囲んでいるシャングリラ魂だった。
他にはなにもない、脚だけの真っ白な世界。
そこは俺にとって、まさに桃源郷だった。
これから好きなだけ、先生の脚をprprして過ごせる。もっといろんな事もできるだろう。そうやって感動に打ち震えていると、
「やっと起きたのね、志津馬君」
声に振り向くと、
「……先生」
誰もいないと思っていたはずが、女教師姿のいつもの先生がいた。
「先生……これは一体……What the heaven is goin' on……?」
そう聞くと、無数の脚を眺め回して、
「この脚だらけの世界のこと?」
大した事ではない、と言うように質問を返してきた。
「簡単なことよ。私は能力に目覚めたの」
「能力……?」
「ええ。例えるなら、あれね。海賊王になるのメンバーのニコちゃん、さんかしら? あの能力と似たようなものよ」
本当はバットマンのロビンみたいなのが良かったんだけどね……ニコじゃなくて、と小さく呟く。
「じゃあ、何かの実を食べたんですか……? アシアシの実とかビキャビキャの実とか」
「食べてないわよ。だってアレ、美味しくないって評判じゃない。評判は評判でも、おいしくない方だってわかってるのに、行くかしら? そのお店に」
「多分行きませんけど……」
「でしょう? じゃあ他に行きましょうよ。いいところにね」
いいところ、なんて言われると年頃の男子としては非常に気になる。穴場かな? カタカナに置き換えてみると分かりやすい。……穴場のイ・イ・ト・コ・ロ(ハート)。エロオヤジしか引っかからねえな。
「店の話じゃなかった気がするんですが……」
「男ならつべこべ言わずついてきなさい。それが甲斐性ってものよ」
「引っ張っていくのが甲斐性なのでは……?」
そして先生に引っ張られるように連れて行かれたところは。
「ここよ。時と精神の部屋」
「え……!? そ、そのネーミングはかなりまずくないですか……? アウトかセーフかで言うと、穿いてない確定系とか、見えちゃってるようにしか見えない系のはみ出しセウトな気が……」
「じゃあトキと星辰の部屋にしましょう」
「それは別のところに引っかかってそうな……」
「しつこいわね。あなた、そんなこと気にするようなタイプじゃないでしょう。どうして皮k――猫被るようなことしてるのよ」
「え、今先生――」
「さ、中に入れ――入るわよ」
「え、先生今――」
扉をくぐると、そこは我が校の職員室だった。しかし視界は昔のテレビのようにモノクロで、時折ノイズが入っており、教師や俺達は本物の俺達に気づいていない、らしい。それに職員室全体が映し出されているわけではないようだ。紫先生の席周辺と、三崎先生お三方と教頭先生の机周辺しか映されていない。
「この中ではね、過去が見れるの」
「修行のための部屋じゃないんですね」
「ある意味、修行とも取れるかも知れないけどね」
部屋を見渡して思慮深げに言った、
……三崎先生方に教頭先生。それに昼休み。
「質問なんですけど、もしかしてこのシーンって……」
「そうよ。あなたが昼休みに私に呼び出されたときのこと」
「やっぱりそうなんですね」
ありがちな展開にゲロを吐きながら相槌を打つ。
「あなたは職員室に入ってきて、最初に三崎先生方を見てにやけてたわね」
「見てたんですか? 俺が吹きそうになってたところ」
ふっと先生は笑って、
「私は生徒のことは一人一人見てるの。なるべく見逃さないよう気をつけてね」
「見てたのに知らんぷりしてたと」
「そのおかげで誰にも気づかれてないって安心できたでしょ?」
楽しげに微笑む。
「今、安心できなくなりましたけど」
「それはそれ、これはあれよ」
「あれってなんだ……」
小声を聞いてか聞かずか、
「さて、それじゃあ、何があったかを二人でおさらいしましょうか」
行き成りの提案。
「どうしてです?」
「誰かのためよ」
「誰かとは?」
「この世界に触れる人たちのことだけど?」
「そんな酔狂な人達いるんですか?」
いる気がしない。いたとしても強制されてるだけの一次選考評価者か、活字の虫か、なろうやカクヨムを読み漁っている人がタイトルから勘違いして衝動的に読んでるだけな気がする。
「いないかもね」
「ですよね。それなら……」
「意味がないって?」
「はい」
「違うわよ志津馬君。まず前提からして間違ってるわ」
「前提、ですか?」
「触れる人がいないから知らせる必要がない、そうではないのよ。そもそもそこが間違ってる」
「えーっと……」
触れる人がいなくても、それはなくてはならない……ってことか?
「この世界が誰のものか考えてみれば自ずと答えは見えてくるはずよ」
現実では見過ごすことがあっても、ここでは見過ごすということが基本的にあってはならない。彼女の言にはそういう意味もあったのかもしれない。
「――あ、えっと、つまり……」
「はいはい答案答案~」
どんどんパフパフ~! とどこからか楽器を持った小人が現れ消えた。
「今の状況は、この世界を完成させるためにある、ってことですね」
「そういうこと。よくできました。頭なでなでしてあげましょうか」
「……いえ、子供じゃないのでいいです。でもそれなら、俺達がそういうことを知っているということはどういうことなんですかね」
「うーん。そこはミジンコと酔狂? な理解者と、紙のみぞ知る、ってところじゃないかしら」
「ふーむ。深いですね……」
「そうね。全く深くないわね。ね?」
「やっぱり面倒くさいから、志津馬君、あったこと適当に羅列して終わらせといてくれない?」
「――面倒くさい!? 面倒くさいって言いました今!? 言い出しっぺなのに!?」
「言ったわよ。七面倒くさいったらありゃしない、って」
「そんな元も子もない……。どうしたんですか急に」
「上からお達しがあって、『会話文に地の文混ぜてたら尺足りないからダーッと終わらしといて。ね?』って言われたのよ。まったく、これだから好き放題するわがまま上司ってのは……」
「は、はあ……」
大人ってやっぱり大変ですよ。
「はい、それじゃ志津馬君、あとはよろしくね。私は楽屋で休憩してるから。出番の時以外は楽屋に来ないでってみんなに言っといて」
「先生まさか芋――」
「はい志津馬君の回想始まり始まりー!」
そう言い残して先生は去って行ってしまった。
……。
…………。
………………。
はあ……。えーっと。職員室に入ってからあったことと言えば……。
※注意。この下の段は、本作を推理ゲームとして読んでいる酔狂な方か、本作と波長の合った方のみ目を通されることをおすすめいたします。七面倒臭いったらありゃしねえ、という方、こちとら時間が押してんでえ! といった方は飛ばしていただいても構いません。ご確認のほど、よろしくお願い致します。
「三崎」と称される変人〈おもしろ》先生トリオの話(数学の山崎先生がしゃくれアゴをしゃくりながら魔法瓶のコーヒーをすすり、その横で野崎先生がしゃっくりを繰り返し、反対側では江崎先生が「鉄道員」を読みながらおんおんと泣きじゃくっていた)が出たり。
グラウンドで野球やってた生徒が居合抜きの構えから特大ホームランを斬り打っ放したのを「おー」と言いながら見ていたり。
せんせーが氷の微笑ばりに脚を組み直すのを、カメラを釘で打ち付け固定して凝視していたり(見えたのは妄想だったのか、映画だったのか、それともストッキング越しの黒いレースだったのか、今となってはわからない)。
紫てんてーが勘違いして俺に彼女がいると思い、「お医者さんごっこ」という妄想ペーキングパウダーが飛び出してふっくらふわふわパンケーキ(千二十五段)が出来上がったり。
それを否定すると先生がボーナスが出た親のように上機嫌になったり。
センセーが「女子に興味ないの?」なんて言ったせいで俺のゲイ疑惑が浮上したり。
紫先生の隣に座る化け学担当の後藤先生がデスクマットに弁当の唐揚げを落とし、それをふーふーしてから食べているのを目撃してしまったり。
彼女にするなら『中腹の影に咲いた一輪の花がいい』なんてバカなことを考えたり。
是枝君の漢字テストの採点が見えてしまい、急に二八蕎麦が食べたくなったり。
思春期特有の「心配されすぎて鬱陶しくなる病」を発症しそうになったり。
俺がクラスで名前を覚えているのは春風悠〈はるかぜゆう〉と朱鷺野奏汰〈ときのかなた〉君というクラス委員だけで、他のクラスや学年の名前などほとんど覚えていないし、覚えられないという事実を自白したり(なぜか人を覚えられないんだ。なんでだろね?)。
「友達作らないの?」と人間山脈の開墾を勧められたり、それを聞いたせいで耳に蛸ができてしまい、数えてみると五杯の蛸が「ちゅうちゅうたこかいな!」と耳に張り付いていることがわかったり。
BTTFの話をして「マロンがありますよね!」などと言って帰りにケーキ店のテラスで独りでモンブランを食べる計画を立てて本当に実行してみたり。
人の夢が儚いなんてベタな話をしながら、先生が職員室内を遠い目で見つめていて、俺はそのアンフェアの主人公のような横顔に見惚れていたり。
俺の好みはアン・マリー、ベター・ムーンライト、ベスト・チョイスなのでち! ということが語られたり。
煮え切らない俺に我慢ならなくなった先生が代わりに入部届にオカ研と書いてくれそうになったり。
俺が前の日にナンプレして知恵熱が出たことがわかったり。
先生がこめかみを押さえ始めたのを見て、バファリンの半分が優しさでできていることを思い出したり。
先生の脚だけを見ながら「ちゃんと部活決めてきます!」と宣言したり。
ハゲている教頭がナマばっか言うのを思い出してナマハゲが……! とカツラにいたずらしたくなってしまったり。
……そんなこんな、色々あった気がするけれど、どれも大したことじゃないから聞き流しておけばいいんじゃない? みたいな? そう思います、です。はい。
うん、こんなとこかな。適当に羅列って言ってたから問題ないはず。…………。ないよね……?
志津馬は後でコロコロしときますね☆
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