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第10話 夏のおとずれ
第10話 夏のおとずれ
しおりを挟むある晴れた日の朝、テディはベッドの中で、大きく1つあくびをしながら、窓から空を見上げました。
窓から入るそよ風が、優しくテディのほほをなでました。
(今日は、何をして過ごそう。)
テディは、寝ぐせのついた頭を、くしゃくしゃとかきました。
そうです。今日は、テディがココアの次に大好きなおやすみの日なのです。
テディは、おもむろにベッドから飛び降り、そのまま大空の見える外へと飛び出していきました。
朝だというのに、もうお日さまは、高くまで登っています。
「ぼくだって!」
テディは、お日さまに負けまいと、いつもの坂道を登って島で一番高い場所にあるブルーベリーの丘を目指します。
苦手だった坂道も、近頃は、ひょいひょいとかけあがれるようになり、この坂道をのぼるのが、少し楽しみにさえなってきています。
ピーピー
「やぁ、おはよう!」
いつも小鳥のさえずりも、なんだか今日はテディを歓迎してくれているよう。
テディは、一気に丘の上まで、かけあがりました。
そして、再び大空を見上げました。
相変わらず、お日さまは高く眩しく照っています。
テディは、背伸びをしました。
お日さまには、まだまだ届かないけれど、テディは、間違いなく、今、この島の住人の中で一番高い場所にいるのです。
テディは、丘の上から、空の遠くを眺めました。
そして、海の遠くを眺めました。
(この地平線のずっとずっと先は、マカロンベアたちと繋がっているんだ。)
テディは、壮大な景色に、思わず身震いしました。
そして、今度は、島全体を眺めました。
テディの喫茶店が、どんぐりのように小さく、見えます。
苦くてマズいコーヒーで有名だった喫茶店は、今では機関車が走るカフェとして子供たちに大人気になりました。
そして、喫茶店の先には、誰が名付けたか“ケチャップのポスト”、海岸沿いには海賊たちと踊りあかした広場も見えます。
この島に来たばかりの頃のテディには、とても想像もつきませんでしたが、テディはこの島のことを少し好きになっていることに気がつきました。
テディは青空を見上げました。
なんだか、自分の身長が少し伸びた気がします。
(テディベアなので、本当は1mmだって伸びたりはしないのだけれど。)
不意に強い風が吹き、小さなテディの身体は、一瞬フワっと宙に浮きました。
そのまま、海に投げ出されてしまうのではないかと、ヒヤッとしましたが、今日はなんだか、そんなヒヤヒヤした気持ちでさえテディには楽しいできごとのように思えるのです。
テディは、小さな胸をピンと張りました。
そして、大きく深呼吸して海の香りを感じました。
夏はすぐそこまで来ています。ポッケの中の笛をギュッと握りしめました。
-その頃にはきっと景色も変わるさ-
テディは、旅人の言葉を思い出していました。
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