単話完結のショートストーリー集

ヤギー

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見えないウーマン見えるマン

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「最近、ここら辺で見えないウーマンが出没するらしいから、皆気をつけるようにな」

 先生はそう言った。
 言った隣で見えないウーマンが踊っている。黒板の下の踏み台をステージ代わりにして派手に踊っている。先生の後ろを通って右に行ったり左に行ったりして、席に座る俺たちにサービスするように踊っている。

 生徒も先生も反応はない。
 誰にも見えていないようだ、俺以外には。なぜか俺の目にははっきり見える。
 アレは、妖怪の類なのか? 一見、普通の女の人に見える。全裸だけど。でも結構激しい動きをしてるから、身体中の肉が暴れ回ってて、エロさより痛々しさが勝つ。

 あ。

 ピタリと見えないウーマンの動きが止まった。
 ヤバい。目が合った気がする。見えてることがバレたか?

「ねえ、見えてるんでしょ」

 話しかけて来た。
 無視。絶対に反応しない。何をされるかわかったもんじゃない。

「気のせいか」

 助かった。どうやらバレなかったようだ。
 
「隣の教室に行くか」

 そう言い残して見えないウーマンは教室から出て行った。

 ふう、と教室全体が息を吐く。

「え?」

 と、複数の声がハモり、それぞれが互いに顔を見合った。

 まあ、見えなきゃ噂にもならないよな。
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