妖精の愛し子

前世

蒸し暑く、蝉の鳴き声が鎮まった深夜。
やっと連日続いていた残業が終わった。
かれこれ2週間程碌なご飯も食べれず、カロリー◯イトなどで空腹を紛らわす毎日だった。

「はぁ～。やっとまとまって休めるよ～。」

私は、そう呟きながら家路を急ぐ。
いつも美容の為に我慢しているが、今日は連日頑張った自分へのご褒美に乙女ゲームをしながらコンビニスイーツパーティーを開こう！

（え！？1人でですけど何か？）

そう考えながら、早歩きで進んでいるうちに、コンビニに着いた。
中に入ると真っ先にスイーツコーナーに行く。

（どら焼きとショートケーキとベイクドチーズケーキ！）
（あ！酎ハイと白ワインも買っちゃおう！）

意見は分かれるだろうが、私はお酒を飲みながらスイーツを食べるのが好きで、洋酒が使われてるスイーツも大好きだ。
そして、1番好きなスイーツが…

（あっ！あったあった！マカロンアイス！）
（運が悪いと売り切れちゃってるのよね～）

味の違うマカロンアイスを5個買う。
2つは帰ったら食べるけど、あと3つは保存用だ。
仕事から帰ってきて食べるマカロンアイスは格別で、何で私はパティシエにならなかったんだ！って思う。
そんな私の趣味はお風呂巡りとお菓子作り、美容研究だ。
休みの日には友達とちょっと遠くの岩盤浴に行ってのんびりしたり簡単なパウンドケーキやフィナンシェなどを作っている。
やりたい事があって休みはどんだけあってもたりない…
もっと休みの多い所に転職したいなとか忙しいとたまに考える。
まぁ、今の仕事も中校生の頃からの夢で、やっと一人前になれたと仕事場の先輩からも太鼓判を押された。
お客様からお褒めの言葉を頂いたり、指名して頂くと凄くやりがいを感じる。

などと考え事をしながら髪の毛金髪のコンビニ店員さんにレジ打ちをしてもらい自動ドアをくぐり外に出る。
コンビニの中で冷えた身体には外の暑い外気も心地よく感じる。

公園を突っ切って近道しようと人気のない所を歩いていると、背中にドンッと凄く衝撃がきて異物が身体を突き抜けてきた感覚があり、その場に倒れ込んでしまった。
立ち上がろうとするが身体に思うように力が入らない…

（あれ？なんで身体が動かないの？）
（それに凄く背中が火傷したように熱くて痛い）

懸命に身体に力を入れ、四つん這いになるが崩れ落ちる。
街頭しか明かりのない道なのに、目の前がチカチカする。

（なんで？）


（早く帰ってスイーツパーティーしたいのに……）

そう考えたあと強い眠気に襲われて意識を手放した。