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幼少期編
37.2歳になれば…
しおりを挟むリアンは2歳になった。誕生日には食事会が開かれて王都内の学校に通っているエリンとソフィーナを加わった。誕生日には城の中で出会った使用人やハンナ、あとトレバーとかいう人にも「おめでとう」と言われた。名前は誰かとも知らず話しているときにハンナがすれ違って、そのときに「トレバー」と呼んでいたので分かった。呼び捨てで話していたのでそこそこ仲が良いのだろう。あと、ジークにも言われた。その他の人については名前を知らないのでよく覚えていない。だが、「おめでとう」と言われる度に嬉しくなったのは事実だ。その喜びを噛み締めながら、リアンは寝床についた…
翌日、朝起きるとリリアーヌからカローナのところに行ってほしいということを伝えれた。なにやら、用があるようだ。リアンは身なりを整えてもらって、さっそくカローナの部屋に向かった。
「おかあさま、なにかごようでしょうか?」
ノックしてそう尋ねるとドアが開き、中からカローナが出てきた。
「リアン、来たのね。ほら、入って入って」
リアンはカローナに部屋の部屋に入り、手招きされ、カローナの横に座った。
「なんなんでしゅか、ようって?」
「あのね、リアンは昨日、2歳を迎えたでしょ?」
「はい」
「だからね、伝えなきゃいけないことがあるの」
そう聞くとリアンは身構えた。なにを言われるのだろうと…
「そう、緊張しないで。大したことじゃないから。今から1年後、3歳の誕生日のとき、リアンのことを世間に発表するから」
「へぇ?」
リアンはなにがなんか分からず、抜けた声を出してしまった。
「どういうことでしゅか?」
「あのねこの国はね、貴族は3歳になったら世間にお披露目されることになっているの。つまり、3歳までは家族やその貴族の使用人以外、存在は知らされないようになってるってことかな」
「なんで、そんなことをしゅるんでしゅか?」
「それはね、昔のことなんだけど、まだ小さいときに何かの拍子で病気になったとき、死んでしまうことが多かったの。特に貴族は子が生まれたのにすぐ死んでしまったってことが露見すると何かと大変だったから少し大きくなる3歳ぐらいを目処に子の存在を発表することになっていったの。それが今ではこの国の恒例となってしまったってことなのよね」
「しょうでしゅか。では、ぼくがはっぴょうされるということはぐたいてきに?」
「貴族が3歳に子のことを発表しだしてから、王族もそれにならうようにしだしたのよね。だから、代々貴族の子で3歳になった子たちを集めて盛大なパーティーをこの城で開くようになったの。もちろん、王族にも3歳の子がいたら参加するのよ。だから、1年後、リアンはそれに参加しないといけないの」
「ぜったいでしゅか?」
「絶対よ。それで、もともとこの時期にパーティーが開かれるんだけど、リアンもちょうどこの時期が誕生日でしょ?だから、どうせならリアンの3歳の誕生日にそのパーティーを開いたらどうだって話し合ってね、それで結果「いいんじゃない?」ってことで来年のリアンの誕生日、行われます!」
「…そのぱーてぃーなにかしないといけないんでしゅか?」
「そう、そのことを言いたかったの!その年のパーティーにこの国の位が高い子が代々挨拶するようになっているの。だから、来年はリアン、あなたが同世代の子の中で1番位が高いから、代表して挨拶をしてね?」
「えぇー!」
『大したことあるじゃん!』
前世で顔がかわいいと目立ったので、自分から目立つようなことは絶対せず、前に立ったことはなかった。だから、誰かの前で何かを言うなんて中学校の劇以来だった。さすがのリアンでも緊張する。
『うわぁ、面倒くさいし、目立ちそう…王子の立場忘れてたぁ…』
リアンはなぜ自ら目立つようなことに足を突っ込まないといけないのかと、この立場を恨んでしまった。
「リアンに今、言ったのはね気持ちの準備をしてもらうこと。リアンはこの歳にしてはしっかりしすぎているけど、なにがあるか分からないからね」
「はい…」
『まぁ、直前になって言われるより全然いいか…』
1年も気持ちの準備期間をくれるのかとカローナに感謝をしていると、ふとカローナの口角が上がった。
「あと、今日伝えたのはこっちが最大の目的。それにともなって、リアンには作法を身につけてもらいます!普通の3歳児なら、親が近くについていたり、サポートするもんだし、急に泣き出すこともあるの。でもね、リアンならしっかりしているし、天才で私の我が子!大人みたいまでとはいかないけど、それに近いぐらいには挨拶が出来ると思ってね。だから、この1年間みっちり作法を習得してもらい、貴族たちにあっと言わせるの!」
『…お母様、なにがあったんだろう』
リアンが引くぐらいにカローナは目をメラメラと燃やしている。
「だからね、リアン。頑張ってね!応援しているわ!」
「は、はい!」
カローナの熱量に圧されてリアンはつい返事をしてしまった。これでスパルタで教え込まされるのは確定だろう。
「じゃあ、来月から先生に教えてもらってね。週4回はあるから。リアンならきっとやってくれると信じているわ!」
このとき初めて、親の期待が重いのも動きにくいなと思った。
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