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脱獄常習犯
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何度も捕まっては脱獄を繰り返している俺は、ついに「脱獄不可能」と言われる刑務所に収監されることとなった。
俺も噂では聞いていたが、なんでも「『鉄壁の脱獄防止策』を施してある」とのことだそうだ。
しかし脱獄のプロの俺にとっては、そんな防止策など何と言うことはないだろう。
脱獄した後に悔しがっている刑務官の顔を想像すると、今から楽しみでならない。
「ほら、ここがお前専用の独房だ」
刑務官がニヤニヤしながら、俺を房の中に突き飛ばした。
俺が振り返る前に扉が閉められ、派手な音をさせながら何重にもなっている鍵が閉まった。
「あとな、見張っているのは俺たちだけじゃないからな。それを忘れるなよ」
扉の向こうから刑務官がそう言いながら去っていった。
「…さて」
俺は早速、房の中を見回してみる。
扉の鍵についてはよくある電子ロック式。
窓は強化ガラスの上に、窓枠には立派な鉄格子が取り付けられている。
そこまでは今までと変わらないが、部屋のあちこちに見え隠れして設置されているカメラのレンズが、今までの刑務所とは異なっているところだった。
…このカメラが「鉄壁の脱獄防止策」で、四六時中俺を監視しているということなのか。
『人権とかどう考えてるんだろうな』と考えないでもなかったが、犯罪者の俺が人権とかいうのも面白くない冗談だと気づき、思わず苦笑した。
「お前、世界中で人気者だぞ」
面会に来た悪友がそう言ってきた。
一体何のことかと聞くと、
「お前の獄中生活が世界中に生配信されているんだよ」
と悪友は言った。
それが世界中で大人気らしく、俺が脱獄できるかどうかの賭けまであるらしい。
なるほど、それで「見張っているのは俺たちだけじゃない」という訳だったのか。
世間は随分と暇な連中が多いと見える。
にしても、だ。
「おいおい、俺の人権はどうなってんだよ」
思わず悪友に言うと、悪友は
「犯罪者に人権なんてあるかよ」
笑いながらそう返した。
「で、どうなんだ実際?『出られ』そうなのか?」
悪友が聞いてきたが、俺は
「まぁ、『仕上げを御覧じろ』ってね」
と答えてやった。
程なくして、俺は脱獄に成功した。
たかだかカメラが増えたくらいじゃ、俺を止めることなんてできなかった訳だ。
せっかくだから、脱獄記念でカメラへ向かって最後にこう言ってやった。
「俺は今から脱獄するから、この配信はこれで終了だ。
次はあんたらの番だぜ?
こんな配信しか楽しめない下らねぇ生活から『脱獄』する、な」
俺も噂では聞いていたが、なんでも「『鉄壁の脱獄防止策』を施してある」とのことだそうだ。
しかし脱獄のプロの俺にとっては、そんな防止策など何と言うことはないだろう。
脱獄した後に悔しがっている刑務官の顔を想像すると、今から楽しみでならない。
「ほら、ここがお前専用の独房だ」
刑務官がニヤニヤしながら、俺を房の中に突き飛ばした。
俺が振り返る前に扉が閉められ、派手な音をさせながら何重にもなっている鍵が閉まった。
「あとな、見張っているのは俺たちだけじゃないからな。それを忘れるなよ」
扉の向こうから刑務官がそう言いながら去っていった。
「…さて」
俺は早速、房の中を見回してみる。
扉の鍵についてはよくある電子ロック式。
窓は強化ガラスの上に、窓枠には立派な鉄格子が取り付けられている。
そこまでは今までと変わらないが、部屋のあちこちに見え隠れして設置されているカメラのレンズが、今までの刑務所とは異なっているところだった。
…このカメラが「鉄壁の脱獄防止策」で、四六時中俺を監視しているということなのか。
『人権とかどう考えてるんだろうな』と考えないでもなかったが、犯罪者の俺が人権とかいうのも面白くない冗談だと気づき、思わず苦笑した。
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それが世界中で大人気らしく、俺が脱獄できるかどうかの賭けまであるらしい。
なるほど、それで「見張っているのは俺たちだけじゃない」という訳だったのか。
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程なくして、俺は脱獄に成功した。
たかだかカメラが増えたくらいじゃ、俺を止めることなんてできなかった訳だ。
せっかくだから、脱獄記念でカメラへ向かって最後にこう言ってやった。
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