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喰らふ
しおりを挟む腹が減る
ただ寝転がっているだけなのに滑稽である
下肢部に激痛を覚えてから、数日
まるで、死ぬ間際の老人の如く床に伏せる
窓から差し込む明かりに催促されるかのように、布団から這い出る
ただ本能的に食欲を充たすためだけに、台所へ向かふ
芋虫の如く、身体をくねらせながら
立って歩くことのできぬ苛立ちからか、何もできない自分が人並みに腹が減ることへの飽きれか
乱暴に冷蔵庫の扉を開ける
野菜を炒めたようなものが、薄汚れた容器に入っている
私はそれを手にすると、腹を充たす欲求に従い箸をとる
座ることも出来ぬため、寝転んだままそれを口に運ぶ
まるで、飼い主に見放された犬のようである
ただただ食欲に負かせて、それを、獣のごときに貪り喰ふ
自分が人か獣かの境界線に立っているかの様である
腹が充たされると、かろうじて『人』であることを思ひ出す
台所には、空になった薄汚れた容器と、空のような人が横たわる
嗚呼、窓から差し込む明かりが眩しい
充たされた腹とは対称的に、空っぽの目で窓を見詰める
人は、こうして死んでいくのだろうか
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