異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ

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ラミリアと僕との会話※エイシオ視点

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 アユムとラミリア……。

 一体何を話しているのだろう?

「おくちが、さびしーーのっ」

「はいはい!」

 うるさいアライグマの口に、キャラメルを放り込む。
 
 こっそり様子を伺っていたが、ラミリアがアユムに抱きついたのかと思って、慌てて温室に入ってしまった。
 そしてラミリアが僕に話し始める……。

「エイシオ……婚約の事なら大丈夫」

「え?」

「朝に婚約は破棄するって伝えてきたから」

「ラミリア……」

 僕はラミリアの手をとって、温室にある木のソファに座らせた。
 
 彼女はアユムから受け取ったハンカチで、涙を拭いている。
 あぁ、強く美しい女神のような彼女が、すっかり小さく見える。
 
「……動揺する事があってつい、おば様に……バーバラ様に遠隔通話魔法で、泣きながら話をしてしまったの。私がエイシオに婚約破棄されたって伝えて……じゃあ城に来なさいと言われて……おばさまがどうにかなるって」

 ラミリアくらいになると、遠隔通話術もできるものな。

「はぁ……母上の暴走か」

 母上も、なんでも押し通せばどうにかなるという考えの女性だ。

 自分が政略結婚でも父上と愛し合う仲になったものだから、結婚すればなんとかなる主義者なのは知ってたけど……。
 
「でも、私も甘えてしまったの。おじ様もご病気で弱ってるから孫を見せてあげてほしいと……発表してしまえば大丈夫って色々言われてるうちに……」

 ラミリアの獣耳は、下がりっぱなし。
 多分僕の耳も、下がりっぱなし。
 はぁ……とお互いに、ため息をついた。

「ごめんなさい……まさか、あなた達が帰ってくると思ってなかったのもあって……ずるずると……」

「いや、僕も悪かったと思ってる。随分長い間、僕は君から逃げ回っていた。家も逃げればどうにかなると……思っていた」

 逃げ回って……死んでもいいと……いや、死ぬつもりだった。
 
 自分の無責任さが、招いた事だったんだ。

「婚約破棄をしてくれたんだね、ラミリア」

「えぇ……朝一番にバーコックの二人が来たけど結婚衣装の採寸だなんて、私にはできなかった……そのままバーバラ様のもとへ行ったの」

「そうか……僕達のところには、何も知らせはこなかったな。はぁ破天荒な母上のことだ。何か策でも考えているのか兄弟に聞きにでも行ったのか……とりあえず屋敷へ戻ろう」

「エイシオ……」

「うん?」

「……私は本心では、貴方を今でも愛している。ずっと……ずっと好きだったわ」

 心が痛む。
 あぁ、僕もアユムという愛しい人が現れなければ、母上の決めたこの縁談を受け入れていたかもしれない。

 憎いわけじゃない、立派な女性だと尊敬している。

「ありがとう……ラミリア。君のような素晴らしい女性にそんな風に言ってもらえて光栄に思う。だけど……」

「えぇ、わかっている。アユムも優しい素晴らしい人ね」

「……あぁ素晴らしい人だ、世界一の僕の恋人だよ」

 ごめんよラミリア……。
 でもずっとすれ違っていた僕達二人の想いが、やっと通じ合った気がした。
 
「……私もアユムが好きになりそうよ」

「えっ!?」

「ふふ……友人としてね」

 僕は早く母上の元へ行こうと、アユムとラミリアを馬に乗せた。
 ザピクロス様は、ラミリアの胸の間に入り込もうとしてテンドルニオンの指輪からお仕置きをされる。
 ふふ、たまには痛い目を見るがいい……と悪魔のエイシオがニヤリとしてしまった。
 
 ぐちゃぐちゃの土を僕は歩き、馬を引いていると屋敷へ大急ぎで向かう馬車が見える。

「あの馬車は……?」

 うちの紋章が入っている。
 あれは一族……家族しか使えない紋章。
 こんな時間に誰だ?

「誰かしら? そういえば朝の採寸、ランジェリーだけは注文したかったから頼んだけれど、とてつもなく下手くそだったのよ」

「え? シャンディさん達がですか?」
 
「えぇ。あんなに下手で本当にバーコックで修行しているのかしら?」

 なんだか胸騒ぎがする。
 僕は駆け足で馬を引き、屋敷へ戻った。

 
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