102 / 107
テンドルニオンの神殿※エイシオ視点
しおりを挟む僕達はロードリア家を出て五日かかってようやくテンドルニオンの神殿に近づいた。
最後の村に馬車を預け、危険な深い森で魔物と闘った。
黒い雲が上空に渦巻き、いつ天罰のような雷が落ちるかわからない荒れた大地。
更に進んだ岩だらけの丘にテンドルニオンの神殿がある。
「はぁ……ここまで大変な道のりでしたね」
「あぁ……本来ならばかなりの大人数で挑むべき場所なんだ」
それでも僕ならば守るのがアユム一人という方が却って楽なのだ。
僕達の目の前に、崩れかけた柱の神殿が見える。
「わぁ……パルテノン神殿みたいだなぁ」
「アユムの世界の神殿かい?」
「はい……でも昔の遺跡です」
「へぇ……パルテノン……いい響きだ」
「俺もよく知らないんですけどね」
ベッドでまた、アユムの世界の話をゆっくり聞きたい。
「つ、着いたぞぉ~苦労と苦難の末に、ついについにか……あー疲れたぁフルーツポンチ食べたい。しんどい、疲れたぴー」
アユムの背中から現れたアライグマ。
あんたはアユムの背中で煎餅食べてただけでしょうが! と言いたくなるの気持ちを抑える。
食料がどれだけ重かったか……!
だけどこれで、もうアライグマともグッバイだ。
うんうん、そうだ。これからアライグマのいない素晴らしい未来が僕達を待っているんだ。
「あっ……」
パリリッとアユムのしているテンドルニオンの指輪が反応した。
『転移者殿……私はお会いいたしません』
雷の女神、テンドルニオン様の声だ。
「テ、テンドルニオン~話を聞いてくれぇ~」
『……』
「今から神殿に入るからなぁ? ビリビリやめてよ?」
『……』
……無視か……。
とりあえず、僕達は神殿の中に入る。
実際には数々のパズルや迷路のようなダンジョンを乗り越えて行くのだが攻略者の僕と転移者のアユムを考えてなのかスンナリとテンドルニオンの指輪があった最下層の部屋に着いた。
一体どんな方なんだろう……僕が指輪を受け取った時は声だけでお顔は知らないもんな。
しかし、誰もいない。
「……誰もいませんね」
「そのようだ。……違う部屋にお隠れなのか……」
「テンドルニオン様、どこですか……?」
テンドルニオン様はアユムの声かけにも反応しない。
「探すんじゃあ勇者! 探してくだされい転移者殿!」
「まったく……」
毎度人をこき使うアライグマだ。
「ど、どうしましょう」
目の前には指輪が置かれていた台。
周りには柱や垂れ幕、石像や噴水なんかもある。
結構な広さの部屋だ。
なんの手がかりもない。
今までの道のりであるはずのダンジョンの中に隠れられたらどうしようもないぞ。
しかし獣人化ももうすぐ終わりかけの僕の鼻が動く。
クンッ! これは……アライグマ臭……!!
47
あなたにおすすめの小説
異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます
野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。
得た職は冒険者ギルドの職員だった。
金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。
マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。
夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。
以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。
【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
神様の手違いで死んだ俺、チート能力を授かり異世界転生してスローライフを送りたかったのに想像の斜め上をいく展開になりました。
篠崎笙
BL
保育園の調理師だった凛太郎は、ある日事故死する。しかしそれは神界のアクシデントだった。神様がお詫びに好きな加護を与えた上で異世界に転生させてくれるというので、定年後にやってみたいと憧れていたスローライフを送ることを願ったが……。
2026/01/09 加筆修正終了
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
前世が飼い猫だったので、今世もちゃんと飼って下さい
夜鳥すぱり
BL
黒猫のニャリスは、騎士のラクロア(20)の家の飼い猫。とってもとっても、飼い主のラクロアのことが大好きで、いつも一緒に過ごしていました。ある寒い日、メイドが何か怪しげな液体をラクロアが飲むワインへ入れています。ニャリスは、ラクロアに飲まないように訴えるが……
◆いつもハート、エール、しおりをありがとうございます。冒頭暗いのに耐えて読んでくれてありがとうございました。いつもながら感謝です。
◆お友達の花々緒さんが、表紙絵描いて下さりました。可愛いニャリスと、悩ましげなラクロア様。
◆これもいつか続きを書きたいです、猫の日にちょっとだけ続きを書いたのだけど、また直して投稿します。
「隠れ有能主人公が勇者パーティから追放される話」(作者:オレ)の無能勇者に転生しました
湖町はの
BL
バスの事故で亡くなった高校生、赤谷蓮。
蓮は自らの理想を詰め込んだ“追放もの“の自作小説『勇者パーティーから追放された俺はチートスキル【皇帝】で全てを手に入れる〜後悔してももう遅い〜』の世界に転生していた。
だが、蓮が転生したのは自分の名前を付けた“隠れチート主人公“グレンではなく、グレンを追放する“無能勇者“ベルンハルト。
しかもなぜかグレンがベルンハルトに執着していて……。
「好きです。命に変えても貴方を守ります。だから、これから先の未来も、ずっと貴方の傍にいさせて」
――オレが書いてたのはBLじゃないんですけど⁈
__________
追放ものチート主人公×当て馬勇者のラブコメ
一部暗いシーンがありますが基本的には頭ゆるゆる
(主人公たちの倫理観もけっこうゆるゆるです)
※R成分薄めです
__________
小説家になろう(ムーンライトノベルズ)にも掲載中です
o,+:。☆.*・+。
お気に入り、ハート、エール、コメントとても嬉しいです\( ´ω` )/
ありがとうございます!!
BL大賞ありがとうございましたm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる