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優しい家を出る※エイシオ視点
しおりを挟む素晴らしい朝を迎えた。
眠っているアユムの頬にキスをする。
「エイシオさん……おはようございます」
「おはよう、アユム……愛しているよ」
「俺も……愛しています」
僕達は抱き合って、またキスを交わした。
お風呂では僕がはしゃいで、アユムに色んなことをしすぎてちょっと怒られてしまったけど……最高の時間だった。
ザピクロス様は、まだソフィア様と一緒がいいらしい。
大変にありがたい。
僕は有意義に、この二人の時間を過ごさせてもらった。
今日はいよいよ出発の日だ。
最後に母上からブランチを誘われたのだが、テンドルニオンの神殿まで距離がある。
出発は早い方がいい。
僕達は準備をして、屋敷の玄関前に出た。
「エイシオ……」
「父上」
それでも家族全員が、見送りに来てくれた。
ロンやメイド、調理場のみんなまで……。
「父上、また度々帰ってきます。その時は沢山手伝いをさせてください」
「あぁ。此処はお前の家なんだから、いつでも帰ってきてくれ」
「はい」
ロードリア家はもう大丈夫だ。
次に帰るのは、フレイグルス兄さんの結婚式かなぁ。
「父上……エイシオという名は」
後継ぎからは退くという話を、父上は認めてくれた。
「お前の名はエイシオだ。後継ぎに拘わらず、ずっとな……」
父も母も微笑む。
「はい!」
それから皆と一言ずつ言葉を交わす。
あ、ソフィア様が苦笑いしている。
アライグマのことすっかり、忘れてた。
「あ、あのエイシオ様~この子。なかなか離れてくれなくて」
「むふむふ~!! むふ! むふ!!」
「あぁ、もうだめよ~いやん」
なんと、もはやソフィア様の胸元に顔を突っ込んでいるアライグマ!
なんというスケベアライグマだ!
無理やり尻尾を掴んで引き剥がした。
「我はもうずっと此処におる~おっぱいの方がいい」
ボソっとザピクロス様が漏らす。
なんというスケベアライグマだ!!
「ちょっと! なんのために此処まで来たと思ってるんですか!」
思わず声を荒らげてしまった。
まずい、みんながこっちを見ている。
しかし犬の躾と同じで話しかけるものなんだと、なんとか誤魔化した。
そんな僕を見るのはラミリア。
「ラミリア、君も行くんだね」
ラミリアも旅人の服を着て、髪をポニーテールに結って力強く微笑んだ。
「えぇ。行くわ」
「途中まで馬車に乗っていく?」
「ううん、自分の足で歩いて行く。……またねエイシオ」
「うん……また。ラミリア」
お互いに微笑み握手する。
君の幸せを心から祈っているよ、ラミリア。
アユムをふと見ると、みんなに囲まれてワイワイと!
アユム、人気者だな!
みんなに抱擁されて……調理場のみんななんか泣いてる人もいる。
うあー! ウルシュ兄さんがアユムの頬に!
「ウルシュ兄さん、アユムにキスはやめてください」
「えぇ~? いいじゃないか親愛の印さ」
とウルシュ兄さんに言ってたら……。
「母上まで!」
母上がアユムを思い切り抱き締めて、またイヨンとシャルロットも抱きついてる。
「だってアユムは可愛いんだもの。神殿の帰りにまた寄ってちょうだいよ~」
「いやいやいや! 一度は家に帰りますよ!」
「皆さん、本当にお世話になりました」
アユムが深々と礼をする。
「ロードリア家の救世主様だ。この恩は子々孫々受け継いでいこう」
父上が、お礼だとロードリア家の紋章が入った箱付きの勲章を渡す。
これはロードリア家がいつでも馳せ参じ協力し命運を共にする絆を意味する勲章だ……。
「そんなそんな、本当に俺は何も」
「受け取ってほしい。アユムもいつでも我が家だと思って帰ってきてくれ」
「は、はい……!」
僕も両親やソフィア様、兄弟達と抱き合い僕達は馬車に乗った。
整備してもらってピッカピカだ。
「それではまた!」
「あぁまたな!」
ラッパまで吹いてくれた。
こうして僕達は、また二人と一匹旅へ。
いよいよテンドルニオンの神殿へ……。
そこで、やっとこのアライグマとおさらばできる!!
「お腹空いた~」
「はいはい」
空は僕達を祝福してくれるかのように、爽やかに太陽が煌めいていた。
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