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63話 鞘に入ったままの剣で
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力試しをしてみたいなどという、つまらない自己満足の為に面倒ごとに巻き込まれたものだ。…だが、結果的に一人の人間を助け出せて、本来の用事も済ませられるのなら良しとするか。
「戻って来いよ腰抜けボウヤ!」
「もう逃げられねーよ!」
口々に囀る観衆を無視し、リングに戻った。現金なもので、リングに戻ると歓声は高まった。
「新入りの坊や、ここのルールは知っているかな?ここは勝ち抜きのデスマッチだ。挑戦者が誰一人居なくなれば優勝、途中退場は無し!…坊やが攫った花嫁はまだウチの商品だから、ボウヤが敗北したら一緒に仲良く商品になってもらうぜ!…相手によっちゃ商品になるまでもなく殺されちまうがな!」
司会者進行役か、それとも主催者か。中二階で両脇に女を侍らせた男がソファーに座ったまま、よく通る声で愉しげに言った。
「俺が勝ったら相手をどうしようと自由なんだな?」
大淵は涼しい顔で問い返した。
「勿論さ!できるもんならな! 女に勝てたらお前のママにしたっていいぜ!?」
「そりゃいい。…で、挑戦者は?囀るだけか?」
大淵の微かな挑発で早くも沸点に達したか、会場からキルコールが発された。
先ほどの拳闘士がポーションを飲み干しながらリングに戻ってきた。
「持病の発作は大丈夫か?」
「お陰様でな…何をしやがったかしらんが、次はぶっ殺してやる!」
「できるもんならな」
司会者の口調を真似ながら茶化すと、鋭いストレートが飛んできた。
それを躱すとクリンチがきた。
「男と抱き合う趣味はねぇ」
頭頂部に肘鉄。
…ワンラウンドどころか開始2秒KOだった。
会場が歓声を上げる事もできずにフリーズする。
「次は?…どうやら、ここには俺のママに相応しい奴すらいないらしいな。玉無し羊ちゃんのパーティーだ」
元より鎧も武器も装備していなかった。…こうなったら文字通り、自分の潜在能力を引き出すための練習場とさせてもらおう。
…意図的にステータスも下限調整した。火力やステータスに頼らない、人間が本来持ち合わせている純粋な戦闘技術を磨くのだ。
人間ほど自然界でこれほど最強にも最弱にもなれる動物も居るまい。人間には毒も牙も爪も、飛ぶことも高速で走る事もゴリラのような筋力も無い。
ただ、武器が使える。 戦闘技術と格闘術だけは幾らでも磨ける。
数々の戦いをこなす内、大淵は無意識のうちに例の事件以来封印してきた暴力性が目覚めつつあった。それは決してロキのような進化を遂げることなく、大淵ならではのオリジナルであった。
大淵に挑発された男が一人、昏倒する男を引きずり降ろしてリングに上がってきた。
今度はランスか…この決して広くもない場所でどう使うのか興味はあるが…
男がランスを構えて突進してきた。…そのまま使うのか、と思いながらランスを弾きつつ男の間合いへ飛び込むと、下から腹を蹴り上げた。 …これは3秒KO。
「す、すごいじゃないかボウヤ!見た目によらずやるじゃないか!」
「お前らは見た目だけだがな」
なんだかレイスになったようだな…まぁ俺はあいつと違って、仲間や女に手を出されない限りは相手をいたぶったりはしないが。
…雑魚を狩っていい気になるなよ、俄か野郎
(雑魚の狩り方も知らない勘違い野郎は寝てな)
…口だけは言うようになりやがって
またも男が上がってきた。今度は…
「…まだるっこしい、遠慮せずまとめてかかって来やがれ!」
…二分後、リング上下には二十人以上の男達が長々とのびていた。
「…もう十分だろう?それともお前がやるか?」
興奮と共に躁状態も醒め、大淵は呆気にとられている主催者らしい男を見上げた。
「こいつぁ驚いた。言うだけの事はあるな、ボウヤ。…失礼、青年よ。…まぁ上がって来いよ」
酒瓶を見せつけられ、中二階に招かれた。男の両隣に座っていた女達が猛獣でも見たかのように男の陰に隠れてしまった。
「怖がらせてすまない。…あの娘は解放するんだろうな?」
「さっき自分で逃げて行ったよ、恩人に礼も言わずにな」
「構わんさ。これで懲りてくれれば」
再度手招きされ、男の対席に座り、同じ酒を注がれた。
「…ソロの冒険者じゃないだろう?ソロの冒険者はそんな風に周りを気遣ったりはしない。お前の行動原理は理想的な軍隊やパーティーリーダーのソレだ」
「それが分かるんなら、そっちもそういう手合いか?」
「…元シアノス・ノーチラス団長、バルティスだ。 …ブレメルーダ王国軍…それも華の海兵団で史上唯一の不名誉除隊になった、伝説の男さ」
「…それはリノーシュの元でか?」
「いや、先代の時にな。…お世継ぎが亡くなられ国中が荒んでいた時に、俺も色々あってな…馬鹿にできないもんでな、お前はこの国の人間じゃないだろうから分からないかもしれんが、人々が不景気になる時は、大抵自分も不景気になるもんさ。…そしてつまらん魔が差す」
「…それで今はこんな闇闘技場経営か」
嫌味ではなく、何の気も無しに男達が去っていく無人のリングを見下ろした。
「まぁ、今日は誰かさんのお陰で稼ぎ無しだ。…それだけの腕を持ちながら、なんでこんな闇闘技場に来た?」
「…それこそつまらん魔が差した。だが、良い教訓にもなったし、連中には悪いが調整はできたと思う」
「拳闘士か?」
「…お前達は…相手のステータスが見えないのか?」
「ステータス…?何を言っているんだ?」
「…そうか、それで誰彼もが向かってきていたのか…」
この世界の人類は相手のステータスを読むことができない…ある程度直感はできるが、それを数値化する事はできないのか…。
「…どうやら思わぬ収穫があったようだ。どうも」
大淵は酒を置くとそのまま階段を下りて行った。
「お、おい、賞金は!?」
「女の子達に美味いものでも食わせてやれ」
闇闘技場を出ると、日はまだ高かった。
(…恐らく全てのスキルやステータスはこの世界由来の物…親で、現代人の持つスキルやステータスはその細分化した子なんだろう)
なぜ現代人にだけステータスが読めるのか…そしてなぜ勇者が居ないのか。…竜騎兵はどうなのか?
(自由研究の課題が増えたな…星村が居れば何かヒントをくれそうなものだが…)
繁華街を抜け、王城に戻った。…王城の資料室み入れてもらえないか、リノーシュに相談するつもりだった。
「あのっ、レ…ダイス殿ッ」
声に振り向くと、青空に映える豊かなブロンド髪を靡かせ、琥珀色と菫色のオッドアイの少女が駆け寄ってきた。確かパープルハートの…
「ああ…クロエさんか!どうかした?」
「…どうか、クロエとお呼びください。ダイス様の方がお歳も剣の腕も遥かに上でございます」
(何か年寄呼ばわりされているような…)
「そ、それで本題は?クロエ?」
「あのっ、宜しければ剣術の指南をして頂きたいのですが!」
「…教えられるような事は何も無いと思うが」
自分のは剣術と呼ぶには些か怪しい。我流…いや、「本能的に動いている」と言った方が正しい。達人の剣術家のように駆け引きをしたり目的を持って動いている訳では無い。
…ただ、正確に対象を殺傷できる数通りの切り突きのパターンを英単語のように覚え、状況を文法とするならそれに合わせて使用するだけだ。…多少の小手先ひねりや甲冑組討ち…徒手格闘術との組み合わせなどはあるが、それだけだ。
ましてや、クロエは英才教育を受けたお嬢様剣士だ。その辺の造形は、謙遜抜きに自分より深いと決まっているのだ。 …そんな下地が完成されている者に自分のような我流が余計な事を教えれば、それはようやく一人前になろうとしているガラス職人にプラスチック成型技術を教え込むようなものだ。
「そう言わず、どうかご教鞭下さい!決して弱音は吐きませんから!」
「…やはり教えられることは無いが、練習相手にならいくらでもなろう」
「ありがとうございます!ささ、どうぞこちらへ!」
…中庭ではなく、練兵場へと手を引かれた時点で、ようやく嫌な予感がしてきた。
「…教えるのって、クロエではなくて?」
「はい、我が騎士団に是非!」
「き、騎士団…」
…オイオイ、また面倒ごとになってきたぞ…俺は歩くトラブルメーカーか?…まぁ、そうだな…。
「尚更教える事は無い…!何を教えろと言うんだ…!?」
クロエの手を引き剥がそうとするが、なんとクロエは怪力(中)の持ち主だった。…自身のステータスを下限まで調整していたこともあり、まったく逃げられない。
「何も全員にお教え頂こうと言うのではありません!ダイス様の実戦の心得や、私との実戦形式の訓練試合など!」
「そ、そのくらいなら…」
「総員、気を付け!」
各部隊長の号令が響き渡り、菫色の甲冑を着込んだ少女達が直立不動の姿勢で出迎えた。…五百人は居るだろうか…
「最精鋭の第一騎士大隊です。時間が余ったら自由形式で稽古を付けて頂きますので、時間の許す限りビシバシ可愛がってやってください」
「…俺の聞き間違いか?さっきと話が変わって無いか…?」
大淵の抗議を無視し、クロエは粛々と次第を進め始めた。
「これよりオルカ勲章受章者にして、超一流の剣士であるダイス殿に御講演と御指導を頂く!ありがたく拝聴するように! …それではダイス殿、まずは実戦の心得など…」
一段高くなっている台を示され、仕方なくそこに立った。 まだうら若い少女達が気負った真剣な顔で大淵を見つめていた。 努力家で、懸命な少女達だと分かる。
…なんとしても生き残り、幸せになってもらいたいものだ。…戦場で散る花と言えば聞こえは美しいが、そんな終わり方をしてほしくない。
…面白い。こうなったら一つ、吹っ切れてやるか…
「戻って来いよ腰抜けボウヤ!」
「もう逃げられねーよ!」
口々に囀る観衆を無視し、リングに戻った。現金なもので、リングに戻ると歓声は高まった。
「新入りの坊や、ここのルールは知っているかな?ここは勝ち抜きのデスマッチだ。挑戦者が誰一人居なくなれば優勝、途中退場は無し!…坊やが攫った花嫁はまだウチの商品だから、ボウヤが敗北したら一緒に仲良く商品になってもらうぜ!…相手によっちゃ商品になるまでもなく殺されちまうがな!」
司会者進行役か、それとも主催者か。中二階で両脇に女を侍らせた男がソファーに座ったまま、よく通る声で愉しげに言った。
「俺が勝ったら相手をどうしようと自由なんだな?」
大淵は涼しい顔で問い返した。
「勿論さ!できるもんならな! 女に勝てたらお前のママにしたっていいぜ!?」
「そりゃいい。…で、挑戦者は?囀るだけか?」
大淵の微かな挑発で早くも沸点に達したか、会場からキルコールが発された。
先ほどの拳闘士がポーションを飲み干しながらリングに戻ってきた。
「持病の発作は大丈夫か?」
「お陰様でな…何をしやがったかしらんが、次はぶっ殺してやる!」
「できるもんならな」
司会者の口調を真似ながら茶化すと、鋭いストレートが飛んできた。
それを躱すとクリンチがきた。
「男と抱き合う趣味はねぇ」
頭頂部に肘鉄。
…ワンラウンドどころか開始2秒KOだった。
会場が歓声を上げる事もできずにフリーズする。
「次は?…どうやら、ここには俺のママに相応しい奴すらいないらしいな。玉無し羊ちゃんのパーティーだ」
元より鎧も武器も装備していなかった。…こうなったら文字通り、自分の潜在能力を引き出すための練習場とさせてもらおう。
…意図的にステータスも下限調整した。火力やステータスに頼らない、人間が本来持ち合わせている純粋な戦闘技術を磨くのだ。
人間ほど自然界でこれほど最強にも最弱にもなれる動物も居るまい。人間には毒も牙も爪も、飛ぶことも高速で走る事もゴリラのような筋力も無い。
ただ、武器が使える。 戦闘技術と格闘術だけは幾らでも磨ける。
数々の戦いをこなす内、大淵は無意識のうちに例の事件以来封印してきた暴力性が目覚めつつあった。それは決してロキのような進化を遂げることなく、大淵ならではのオリジナルであった。
大淵に挑発された男が一人、昏倒する男を引きずり降ろしてリングに上がってきた。
今度はランスか…この決して広くもない場所でどう使うのか興味はあるが…
男がランスを構えて突進してきた。…そのまま使うのか、と思いながらランスを弾きつつ男の間合いへ飛び込むと、下から腹を蹴り上げた。 …これは3秒KO。
「す、すごいじゃないかボウヤ!見た目によらずやるじゃないか!」
「お前らは見た目だけだがな」
なんだかレイスになったようだな…まぁ俺はあいつと違って、仲間や女に手を出されない限りは相手をいたぶったりはしないが。
…雑魚を狩っていい気になるなよ、俄か野郎
(雑魚の狩り方も知らない勘違い野郎は寝てな)
…口だけは言うようになりやがって
またも男が上がってきた。今度は…
「…まだるっこしい、遠慮せずまとめてかかって来やがれ!」
…二分後、リング上下には二十人以上の男達が長々とのびていた。
「…もう十分だろう?それともお前がやるか?」
興奮と共に躁状態も醒め、大淵は呆気にとられている主催者らしい男を見上げた。
「こいつぁ驚いた。言うだけの事はあるな、ボウヤ。…失礼、青年よ。…まぁ上がって来いよ」
酒瓶を見せつけられ、中二階に招かれた。男の両隣に座っていた女達が猛獣でも見たかのように男の陰に隠れてしまった。
「怖がらせてすまない。…あの娘は解放するんだろうな?」
「さっき自分で逃げて行ったよ、恩人に礼も言わずにな」
「構わんさ。これで懲りてくれれば」
再度手招きされ、男の対席に座り、同じ酒を注がれた。
「…ソロの冒険者じゃないだろう?ソロの冒険者はそんな風に周りを気遣ったりはしない。お前の行動原理は理想的な軍隊やパーティーリーダーのソレだ」
「それが分かるんなら、そっちもそういう手合いか?」
「…元シアノス・ノーチラス団長、バルティスだ。 …ブレメルーダ王国軍…それも華の海兵団で史上唯一の不名誉除隊になった、伝説の男さ」
「…それはリノーシュの元でか?」
「いや、先代の時にな。…お世継ぎが亡くなられ国中が荒んでいた時に、俺も色々あってな…馬鹿にできないもんでな、お前はこの国の人間じゃないだろうから分からないかもしれんが、人々が不景気になる時は、大抵自分も不景気になるもんさ。…そしてつまらん魔が差す」
「…それで今はこんな闇闘技場経営か」
嫌味ではなく、何の気も無しに男達が去っていく無人のリングを見下ろした。
「まぁ、今日は誰かさんのお陰で稼ぎ無しだ。…それだけの腕を持ちながら、なんでこんな闇闘技場に来た?」
「…それこそつまらん魔が差した。だが、良い教訓にもなったし、連中には悪いが調整はできたと思う」
「拳闘士か?」
「…お前達は…相手のステータスが見えないのか?」
「ステータス…?何を言っているんだ?」
「…そうか、それで誰彼もが向かってきていたのか…」
この世界の人類は相手のステータスを読むことができない…ある程度直感はできるが、それを数値化する事はできないのか…。
「…どうやら思わぬ収穫があったようだ。どうも」
大淵は酒を置くとそのまま階段を下りて行った。
「お、おい、賞金は!?」
「女の子達に美味いものでも食わせてやれ」
闇闘技場を出ると、日はまだ高かった。
(…恐らく全てのスキルやステータスはこの世界由来の物…親で、現代人の持つスキルやステータスはその細分化した子なんだろう)
なぜ現代人にだけステータスが読めるのか…そしてなぜ勇者が居ないのか。…竜騎兵はどうなのか?
(自由研究の課題が増えたな…星村が居れば何かヒントをくれそうなものだが…)
繁華街を抜け、王城に戻った。…王城の資料室み入れてもらえないか、リノーシュに相談するつもりだった。
「あのっ、レ…ダイス殿ッ」
声に振り向くと、青空に映える豊かなブロンド髪を靡かせ、琥珀色と菫色のオッドアイの少女が駆け寄ってきた。確かパープルハートの…
「ああ…クロエさんか!どうかした?」
「…どうか、クロエとお呼びください。ダイス様の方がお歳も剣の腕も遥かに上でございます」
(何か年寄呼ばわりされているような…)
「そ、それで本題は?クロエ?」
「あのっ、宜しければ剣術の指南をして頂きたいのですが!」
「…教えられるような事は何も無いと思うが」
自分のは剣術と呼ぶには些か怪しい。我流…いや、「本能的に動いている」と言った方が正しい。達人の剣術家のように駆け引きをしたり目的を持って動いている訳では無い。
…ただ、正確に対象を殺傷できる数通りの切り突きのパターンを英単語のように覚え、状況を文法とするならそれに合わせて使用するだけだ。…多少の小手先ひねりや甲冑組討ち…徒手格闘術との組み合わせなどはあるが、それだけだ。
ましてや、クロエは英才教育を受けたお嬢様剣士だ。その辺の造形は、謙遜抜きに自分より深いと決まっているのだ。 …そんな下地が完成されている者に自分のような我流が余計な事を教えれば、それはようやく一人前になろうとしているガラス職人にプラスチック成型技術を教え込むようなものだ。
「そう言わず、どうかご教鞭下さい!決して弱音は吐きませんから!」
「…やはり教えられることは無いが、練習相手にならいくらでもなろう」
「ありがとうございます!ささ、どうぞこちらへ!」
…中庭ではなく、練兵場へと手を引かれた時点で、ようやく嫌な予感がしてきた。
「…教えるのって、クロエではなくて?」
「はい、我が騎士団に是非!」
「き、騎士団…」
…オイオイ、また面倒ごとになってきたぞ…俺は歩くトラブルメーカーか?…まぁ、そうだな…。
「尚更教える事は無い…!何を教えろと言うんだ…!?」
クロエの手を引き剥がそうとするが、なんとクロエは怪力(中)の持ち主だった。…自身のステータスを下限まで調整していたこともあり、まったく逃げられない。
「何も全員にお教え頂こうと言うのではありません!ダイス様の実戦の心得や、私との実戦形式の訓練試合など!」
「そ、そのくらいなら…」
「総員、気を付け!」
各部隊長の号令が響き渡り、菫色の甲冑を着込んだ少女達が直立不動の姿勢で出迎えた。…五百人は居るだろうか…
「最精鋭の第一騎士大隊です。時間が余ったら自由形式で稽古を付けて頂きますので、時間の許す限りビシバシ可愛がってやってください」
「…俺の聞き間違いか?さっきと話が変わって無いか…?」
大淵の抗議を無視し、クロエは粛々と次第を進め始めた。
「これよりオルカ勲章受章者にして、超一流の剣士であるダイス殿に御講演と御指導を頂く!ありがたく拝聴するように! …それではダイス殿、まずは実戦の心得など…」
一段高くなっている台を示され、仕方なくそこに立った。 まだうら若い少女達が気負った真剣な顔で大淵を見つめていた。 努力家で、懸命な少女達だと分かる。
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