禅師白隠の教え

ロコ

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大同小異

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彰裕が、僧房に上がると、中が何やら大騒ぎしている。
玄関先で、取り押さえられている、在家らしい男。
その間近で、顔中を、血ぶくれにして伸びている僧。

このやろう、ざまをみろ!

俺様を騙すから、ボコボコにしてやったんだ!

どうやら、僧と在家の確執らしい。暴力沙汰に発展している様だ。彰裕は、凡そ暴力沙汰には縁が無い。
驚きと、戸惑いの気持ちで、見ている。その内に、奉行所の役人たちが、一報を聴いて駆けつけてきた。
治外法権の御山ではあるが、乱暴狼藉を働く者には、御山も、役人に任せている。

しょっ引かれて行く、在家。

ははははははは、馬鹿坊主地獄へおちろ!

在家は、捨て台詞を吐きながら連行されて、下山していった。


おい、おい、何だ今のは!
彰裕は、度肝を抜かれている。
娑婆世界の、喧嘩と同じ事じゃねえか!

近くにいる僧に、そっと聞いてみた。

今のは、何ですか?

あぁ、脳病持ちの在家が、御喜捨を騙し取られたと、言って殴り込んできたんだ!
全く、脳病持ちには、手こずる!
彰裕は、今は奇跡的に完治しているが、その昔は、障害者。とても他人事では、済まない気持ちでいる。

やっぱり、脳病持ちは、駄目ですか?

あぁ、ダメだな!

救いの余地がない!

、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、
僧の話しを、自己の経験と、照らし合わせ又、今の暴力沙汰を目の当たりにして、考えている。

コリャ、大乗仏教もダメだわ!
叡山焼き討ちの、小型化を、今観たな。
要するに、法力が無いんだな!

彰裕は、下山して行った。
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