禅師白隠の教え

ロコ

文字の大きさ
上 下
55 / 92

迷子

しおりを挟む
看板を外しに出たところで、老婆に声をかけられた。

萬病治します、って本当なの?

を、っ初見さんだ!
彰裕は内心小躍りした。

即効で、今日の明日とは、ならないですね!
そんな妙薬は、釈尊にもありません!
一応念を押して、淡い期待は排除して置いた。

、、、、、、、
、、、、、、、
、、、、、、、
老婆は、ちょっと考えてから、言う。

そうよね!
そんな妙薬は無いわよね!
実はね、家の孫が引き篭もりになって!
もう、五年も家からでないのよ!

霊障だ!

彰裕は、直感した。
然し、其れに付随するのは、脳障害の因縁だな。
ご時世だな。
戦国乱世には、有り得ない問題だ。
時代が、平和になり過ぎたんだな。

立ち話しも、何ですから、長屋で続きの話しを!

はい!

彰裕は、心中ソロバンを弾いていた。
こりゃあ、十両以上には、なるぞ!
彰裕にしても、霞を食って生きている訳ではない。
法句宗の出納係も兼任している。
一人主であり、何でも屋だ。
営業も掛ける。
宗教家は、商家の主人風だ。

で、老婆の孫。
五年の引き篭もりという。
では、五年前はどうだったのか?
その境目を見極める事が大切だ。
所謂発症期の心情調査だ。

老婆は言葉を継ぐ。

元気な子でした!

其れがいきなり!

いきなりねぇ。
彰裕は疑う。
きっかけは、何か、あるはずだ。

いきなり、ですか!

何か、原因として思い当たるところは?

う~ん、、、、、、。

どうでしょう!

女の子にモテる子でしたが!

ほうら、出て来た原因が。
しおりを挟む

処理中です...