士農工商

ロコ

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元締め

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読売堂の将太店長は、いつも一人で考えごと。
ニヤニヤしたり、怒ったり。
何やら、怪しい雰囲気。
それでいて商売には、精を出す。
将太店長はいつも一生懸命に仕事ができる。
そんな時、一人ニヤニヤしながら、座っている。
ふう~ん!
織田信長伝記を読むことが大事。
座右の書である。
信長は、凄い。
側近の者達に、話すことがある。

アレはアレだな。
信長公は、叡山の坊主から、調伏法をかけられたな。

調伏法って何かしら?周囲の人が分からない。
天台宗密教に伝わる秘法であり、人を呪い殺す法である。この法に操られて明智光秀は、信長を殺めた。
比叡山焼き討ちの、仕返しであった。
信長公伝記にある。

その時、天台宗は職員達の諍いに、明け暮れていた。
権大僧正派と、法主派。
出家僧同士の醜い争い事であった。
事の発端は、些細な嫉妬。古い坊主を差し置きまだまだ未熟な坊主に、中僧正位を与えた。
その嫉妬に、叡山が上から下まで大騒ぎしている。
信長公は、それと知り、聖職者に有るまじき奴等だと軽蔑している。

腐った奴等だ

その日夜半に、信長公の手のものが、叡山山麓に油を撒いた。山頂部まで撒いたところで、点火した。
ボッ、火の手が上がった。火勢は素早く燃え上がり
やがて、宿坊に達した。
密談している坊主頭の中、火の手は宿坊を包んでいた。此処もしっかり油が撒かれている。

何か臭く無いか?
一人気づいて格子から、外をみた。
なっ!
火事だ。各々方火事で御座る。
外へ出て消火しようとしたが、もう遅い。
宿坊は、火焔の中であった。
助けてくれ~
助けてくれ~
阿鼻叫喚の中。
坊は、激しく燃えている。
アチチ、アチチ、アチチ。
小一時間半ほど燃えて、火焔はした火になった。
すっかり焼け落ちた坊。
中の坊主たちは、皆丸焦げ。
此れが叡山の全域に渡り繰り広げられている。
やがて、火山の様相を呈示している。
京の町から良く見える。
あら、おやまが火事かしら。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
羅漢寺と坊は、崩れて落ちた。
翌日の昼に、火はした火に成り消沈した。

なっ、信長公は偉人だ。
将太店長は言う。
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