士農工商

格下

将太店長の性質に、人から、使われるのがにがてと、言うのがある。義侠心ありて、目下の者や自分にしたがって来る者に、良く世話を為す男気が、ある。
要するに、親分肌である。

十五歳になっていた。
資金集めに、奔走していたが、大分貯まった所で海運業界の（株）を、買い漁る。これからは南洋取り引きで儲ける時代だ。
将太店長は、常に日本の外を観ている。
鎖国令の敷かれる日本。長崎出島で、得られる情報は常に驚愕の最先端。日本が閉じている証拠である。
アジア地域。
欧米諸国の植民地主義に、屈する諸国。
国力武力そして、基幹産業、教育の差が歴然としている。日本を、守る為にも、世界的な物の、進行度を知ることは、必要不可欠であり、疎かにするのは、日本植民地化の危機であると言える。
国を憂える十五歳。
この時から、始まった。
横浜港で、大型化船の製造。
将太店長の、出資の元造船は、進む。
大型帆船である。
これを、どうするのか？
南蛮貿易に、使う訳だが、貿易に限定しないで、彼の地で更に拠点をなし、無国籍化して、縦横無尽に、使いこなす。
一読売堂の将太店長は、ニヤニヤしながらこんなことを、考えている。
千万両の金を、山とつんで初めて可能性が、出てくる。それを思うと、おもわずため息。
堅実な商売で、儲けている。