流刑の人

ロコ

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娑婆の匂い

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数日後、同じ大船に乗船していた、大工が何やら、忙しく動いている。

彼奴は、囚人ではないのか!

獄舎の外で、陽の光を浴びながら、塔らしいのを作っている。

それは、江戸建物方の、職人で派遣されて来た。
塔を建てると、本土帰還する。
これを、聴いて囚人たちは、どよめいた。

自由人だ!
有徳の士だ!
羨望の視線を感じながらの、作業は大工にして見ても
やり難い。
天国と地獄が、壁一枚で遮られている。

昼休憩。
大工は、チラシ寿司を食っている。
四方から、熱い視線を感じながら食う。
中々、傷ましいことだ。

大工さん、一口くんねえか!
当然のお願いが、聞こえる。

、、、、、、、
、、、、、、、

やり難いなあ!
この分だと、毎日此れだろ!

大工は、詰所に移動して食べた。
大工は、思う。
罪を犯し、投獄される。
可哀想だけど。
悪いことは、出来ない物だ!
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