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第6章 ユフ大陸の創世7神 編
第 336 話 境界
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「ピュートくん……」
船尾で航跡を眺めるピュートを見つけ、エルグレドは声をかけながら近づいた。北上する船の左舷側から西日が射し、後部甲板をオレンジ色に照らす。一瞬だけ顔を向け反応したピュートは、すぐに視線を航跡に戻した。
「アツキくんは落ち着きましたか?」
「ルエル……エシャーが付いてる」
背後からのエルグレドの問いかけに、ピュートは視線を向けず答える。その右横にエルグレドは並び立った。
「エシャーさんのお名前、ようやく覚えましたか?」
「・・・」
微笑むエルグレドを、ピュートは無感情な瞳で見る。
「名前は初めから知ってる。『父』の隊の中で呼び慣れたコードのほうが楽だから『ルエルフ』と呼んでただけだ。……この隊の中では本名で呼ぶほうが都合良さそうだから、変更した」
「そうですか」
乗船して間もなく、エシャーから「いい加減に名前で呼んでよね!」と詰め寄られていたピュートの姿と、それをなだめていた篤樹の姿を思い浮かべ、エルグレドは満面の笑みでピュートの言葉にうなずいた。
部隊指揮に追われ、乗船後に3人とはゆっくり話す暇も無かったエルグレドだったが、篤樹が激しい船酔いに遭っているとの報告を受け、船内個室の使用許可を出したのが出航から1時間後。夕刻を迎えようやく指揮もひと段落し、甲板に出て来たところだった。
「ここで、一人で何をしていたんですか?」
エルグレドは船尾枠板に両手をつき、後方から追走する帆船を見ながらピュートに尋ねる。
「別に……何も。波の動きを見ていただけだ」
ピュートは手持無沙汰なのか、外套の中に手を入れ何かを触っている。
「……ユフにはいつ着くんだ?」
「今の季節なら、順調に行けば1週間……遅くても10日以内と船長さんは言ってましたよ」
エルグレドは質問に優しく答え、視線をピュートの外套に向けた。
「……それ、例の薬ですか?」
ピュートが外套の中で握っているモノを予想し、エルグレドが問いかける。ピュートは動きを止め、視線をエルグレドに向けた。
「あと、何日分残ってるんですか?」
優しい口調とは裏腹に、逆らい難い視線を向けられたピュートは、薬箱を握った右手を外套から出しエルグレドに見せる。
「ひと月はもたないくらいだ」
「そうですか……では、王都に戻るまではもちますね?」
ボルガイルにより生み出された人造人間ピュート……その誕生にはガザルの細胞が用いられている。エルグレドに匹敵する魔法術力と驚異的な治癒力、そして、常人を大幅に超える身体能力を有する強化人間―――しかしその代償は、ガザル細胞と人体細胞の拒絶反応による「短命体」であることが、ボルガイルの研究日誌から明らかになっていた。
拒絶反応を抑えるための特別な薬の製造方法は、ボルガイルの研究データにも残っていない。そのため、見本としてピュートの薬を数錠ユーゴ魔法院評議会に託し、早急に複製するように指示が出された。ヴェディスは数週間での製造を自信タップリに約束してはいたが……
1ヶ月……ですか……
再び航跡に視線を移したピュートの横顔を、エルグレドは笑みを浮かべたままジッと見つめる。
討伐本隊とは1週間遅れで合流予定……予定通りにガザルを滅することが叶い、王都へ帰還することが出来ても早くて20日強……ギリギリですね……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ミルベの港で篤樹たちを見送って3日目の昼―――レイラとスレヤーはタグアの町の武器屋に居た。タグアの町での合流をミッツバンから提案されたため、篤樹が「 成者の剣」を見つけた武器屋をレイラは待ち合わせ場所に指定したのだった。
「ちゃんと約束通りにミッツバンも来ますかねぇ……」
「さあ? 商才のある方ですし、自己保身能力も高い方ですから。余程のお馬鹿さんでなければ、私との約束を守って下さるのではなくて?」
店は本通りから2本奥まった裏通りに在る。装備品を扱う店が数軒並ぶ通りには、それほど多くの人は行き交っていない。レイラとスレヤーは予定通り早朝にタグアの町に入り、巡監隊詰所に自分たちが乗って来た馬車を置いて来た。ミッツバンに指示を出した集合時間はわずかに過ぎている。
「アッキーの剣は、この店に転がってたんですよねぇ……。俺用の『特別な武器』も無いすかねぇ……」
店主が接客にも出て来ない静かな店内を、スレヤーは端から物色している。レイラも退屈そうに、雑然と置かれている棚上の装備品を眺めていた。
「お連れの方がお出でになられたようですよ」
カウンターの中に突然姿を現わした店主が、やわらかな声を2人にかける。
「うおっ……居たのかよ!」
陳列されていた剣を片手にもったまま思わず声を上げたスレヤーとは対照的に、レイラはゆっくりカウンターへ振り返り、店主に笑みを向ける。
「連れ? 私たちより、店主さんのほうが親しい御友人なのではなくて?」
レイラからの問い掛けに、店主はニッコリ微笑んだ。直後、その首元にスレヤーが抜き身の剣を突き付ける。上げかけていた店主の指先がピタッと止まった。
「冗談のつもりかよ、おっさん? かなりマジな殺気ってのは、相手を選んで発しなよ?」
「ふふふ……お客さん……売り物で遊ばないでいただけますかな?」
笑みを浮かべたまま、店主は動じることなくスレヤーに語りかける。そのまま、首元に突き付けられた剣先へ右手を伸ばし、軽く押し返す。スレヤーはおとなしく剣を引き下げた。
「スレイに特別な武器は不要でしてよ。あなた自身が特別な使い手ですもの」
レイラからの言葉に照れ笑いを浮かべつつ剣を下げながらも、スレヤーは全身から臨戦態勢の気を放ち店主を牽制し続ける。
「今日はあの『みみっちい』隊長さんは御一緒では無いのですか?」
スレヤーからの牽制にも細い笑みを浮かべ、店主がレイラに尋ねた。エルグレドの「価格交渉」を思い出し、レイラは笑みを浮かべ首を傾げる。
「彼は別の仕事に向かっていますわ。そんなことくらい、良く御存知なのでは無くて? ミゾベさんのお仲間なんでしょ?」
「ミゾ……」
微笑むレイラからの問いに店主は一瞬首をかしげるが、すぐに笑みを取り戻す。
「さあ? 何のことやら……という御返答ではダメですか? ドュエテ・ビ・レイラ・シャルドレッド次期高老大使」
「そういうこってすか……」
2人のやり取りにスレヤーは納得顔でうなずくと、剣を元の陳列棚に戻しながら言葉を続ける。
「装備屋なら、あちこちで情報収集もしやすいわなぁ。偏光魔法で身を隠しての店番ってことは、法術士か……。バスリムんとこの面子が店主の店なら、俺らが長居してても怪しまれねぇってことで?」
店主はスレヤーの言葉にニッコリと微笑む。そのタイミングで、一般旅装をしたバスリムが店内に入って来た。
「ああ! レイラさん、スレヤー伍長。お待たせしてしまいましたか? 申し訳ない! 馬車はそこの公園に停めて来たから、すぐに出発出来ます」
「あら? ミゾベさん。今日はいつもの御者服ではございませんのね?」
バズリムに笑顔を向けてレイラが尋ねる。
「ええ。今回は 街中だけの御者ではありませんしね。目立つ移動も控えたほうが良いので馬車も一般のモノを使っています。1台しか停めていませんし『御主人様』も乗っていますから、お2人で先に馬車に乗っていていただけますか? 私はこちらで少し装備を購入します……ので……」
レイラに向かい少し急かすような説明をしていたバスリムは、自分を見つめる3人の表情に気付き言葉を切った。
「あの……」
確認するようにバスリムは3人に視線を流す。
「『お客さん方』にはもうバレてるよ、バズ」
「え?」
店主の言葉にバスリムは驚きの声を漏らし、視線をレイラに固定した。
「タグアの町での合流をミッツバンに提案されたのはあなたでしょ? ミゾベさん。『お仲間』から何かの情報をいただくのかと思って、こちらのお店を選ばせていただきましたのよ」
「なん……で……え?」
当然のように語るレイラにバスリムは呆然とするが、すぐに笑みを取り戻す。
「さすがですね。分かった上でこちらを選ばれてたんですか……。レイラさんには是非とも今後、我々の組織に加わっていただきたいものです」
「ご遠慮しますわ。で、何を受け取りに?」
レイラが視線を店主に向ける。店主の手には布袋がすでに持たれていた。
「ほらよ、バズ。依頼の品だ」
店主はバスリムに向かい袋を投げ渡す。
「ミッツが言ってる『潰された洞窟』ってのは、サラハ村西の監視所から山側の森ん中だ。公務なら正式に許可をもらって入れば良い」
言葉の後半で店主の視線を受けたレイラとスレヤーは、軽くうなずいて見せる。
「大陸内のどこでも、自由に捜索する権限をゼブルン王よりいただいていますわ」
レイラの返答に店主は片方の口端を上げた。
「そんじゃ『こっち側』は安全だな」
「こっち側? なんだよ、その言い様」
店主の言葉尻を、スレヤーが不審げに問い詰める。袋の口を開きかけたバスリムが続けて店主に問いかけた。
「何か問題が?」
「抑留地の連中には話が通って無いって事だよ」
店主は「当然顔」で3人の顔をサッと見る。
「抑留地との指定境界線を侵せば、グラディーの連中が有無を言わさず襲いかかって来るってことだ。これまでにも、境界警備の連中が何人かやられてる。指定境界線だけは絶対に超えるなよ。あっち側の情報は……さすがに手に入って無いからな」
船尾で航跡を眺めるピュートを見つけ、エルグレドは声をかけながら近づいた。北上する船の左舷側から西日が射し、後部甲板をオレンジ色に照らす。一瞬だけ顔を向け反応したピュートは、すぐに視線を航跡に戻した。
「アツキくんは落ち着きましたか?」
「ルエル……エシャーが付いてる」
背後からのエルグレドの問いかけに、ピュートは視線を向けず答える。その右横にエルグレドは並び立った。
「エシャーさんのお名前、ようやく覚えましたか?」
「・・・」
微笑むエルグレドを、ピュートは無感情な瞳で見る。
「名前は初めから知ってる。『父』の隊の中で呼び慣れたコードのほうが楽だから『ルエルフ』と呼んでただけだ。……この隊の中では本名で呼ぶほうが都合良さそうだから、変更した」
「そうですか」
乗船して間もなく、エシャーから「いい加減に名前で呼んでよね!」と詰め寄られていたピュートの姿と、それをなだめていた篤樹の姿を思い浮かべ、エルグレドは満面の笑みでピュートの言葉にうなずいた。
部隊指揮に追われ、乗船後に3人とはゆっくり話す暇も無かったエルグレドだったが、篤樹が激しい船酔いに遭っているとの報告を受け、船内個室の使用許可を出したのが出航から1時間後。夕刻を迎えようやく指揮もひと段落し、甲板に出て来たところだった。
「ここで、一人で何をしていたんですか?」
エルグレドは船尾枠板に両手をつき、後方から追走する帆船を見ながらピュートに尋ねる。
「別に……何も。波の動きを見ていただけだ」
ピュートは手持無沙汰なのか、外套の中に手を入れ何かを触っている。
「……ユフにはいつ着くんだ?」
「今の季節なら、順調に行けば1週間……遅くても10日以内と船長さんは言ってましたよ」
エルグレドは質問に優しく答え、視線をピュートの外套に向けた。
「……それ、例の薬ですか?」
ピュートが外套の中で握っているモノを予想し、エルグレドが問いかける。ピュートは動きを止め、視線をエルグレドに向けた。
「あと、何日分残ってるんですか?」
優しい口調とは裏腹に、逆らい難い視線を向けられたピュートは、薬箱を握った右手を外套から出しエルグレドに見せる。
「ひと月はもたないくらいだ」
「そうですか……では、王都に戻るまではもちますね?」
ボルガイルにより生み出された人造人間ピュート……その誕生にはガザルの細胞が用いられている。エルグレドに匹敵する魔法術力と驚異的な治癒力、そして、常人を大幅に超える身体能力を有する強化人間―――しかしその代償は、ガザル細胞と人体細胞の拒絶反応による「短命体」であることが、ボルガイルの研究日誌から明らかになっていた。
拒絶反応を抑えるための特別な薬の製造方法は、ボルガイルの研究データにも残っていない。そのため、見本としてピュートの薬を数錠ユーゴ魔法院評議会に託し、早急に複製するように指示が出された。ヴェディスは数週間での製造を自信タップリに約束してはいたが……
1ヶ月……ですか……
再び航跡に視線を移したピュートの横顔を、エルグレドは笑みを浮かべたままジッと見つめる。
討伐本隊とは1週間遅れで合流予定……予定通りにガザルを滅することが叶い、王都へ帰還することが出来ても早くて20日強……ギリギリですね……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ミルベの港で篤樹たちを見送って3日目の昼―――レイラとスレヤーはタグアの町の武器屋に居た。タグアの町での合流をミッツバンから提案されたため、篤樹が「 成者の剣」を見つけた武器屋をレイラは待ち合わせ場所に指定したのだった。
「ちゃんと約束通りにミッツバンも来ますかねぇ……」
「さあ? 商才のある方ですし、自己保身能力も高い方ですから。余程のお馬鹿さんでなければ、私との約束を守って下さるのではなくて?」
店は本通りから2本奥まった裏通りに在る。装備品を扱う店が数軒並ぶ通りには、それほど多くの人は行き交っていない。レイラとスレヤーは予定通り早朝にタグアの町に入り、巡監隊詰所に自分たちが乗って来た馬車を置いて来た。ミッツバンに指示を出した集合時間はわずかに過ぎている。
「アッキーの剣は、この店に転がってたんですよねぇ……。俺用の『特別な武器』も無いすかねぇ……」
店主が接客にも出て来ない静かな店内を、スレヤーは端から物色している。レイラも退屈そうに、雑然と置かれている棚上の装備品を眺めていた。
「お連れの方がお出でになられたようですよ」
カウンターの中に突然姿を現わした店主が、やわらかな声を2人にかける。
「うおっ……居たのかよ!」
陳列されていた剣を片手にもったまま思わず声を上げたスレヤーとは対照的に、レイラはゆっくりカウンターへ振り返り、店主に笑みを向ける。
「連れ? 私たちより、店主さんのほうが親しい御友人なのではなくて?」
レイラからの問い掛けに、店主はニッコリ微笑んだ。直後、その首元にスレヤーが抜き身の剣を突き付ける。上げかけていた店主の指先がピタッと止まった。
「冗談のつもりかよ、おっさん? かなりマジな殺気ってのは、相手を選んで発しなよ?」
「ふふふ……お客さん……売り物で遊ばないでいただけますかな?」
笑みを浮かべたまま、店主は動じることなくスレヤーに語りかける。そのまま、首元に突き付けられた剣先へ右手を伸ばし、軽く押し返す。スレヤーはおとなしく剣を引き下げた。
「スレイに特別な武器は不要でしてよ。あなた自身が特別な使い手ですもの」
レイラからの言葉に照れ笑いを浮かべつつ剣を下げながらも、スレヤーは全身から臨戦態勢の気を放ち店主を牽制し続ける。
「今日はあの『みみっちい』隊長さんは御一緒では無いのですか?」
スレヤーからの牽制にも細い笑みを浮かべ、店主がレイラに尋ねた。エルグレドの「価格交渉」を思い出し、レイラは笑みを浮かべ首を傾げる。
「彼は別の仕事に向かっていますわ。そんなことくらい、良く御存知なのでは無くて? ミゾベさんのお仲間なんでしょ?」
「ミゾ……」
微笑むレイラからの問いに店主は一瞬首をかしげるが、すぐに笑みを取り戻す。
「さあ? 何のことやら……という御返答ではダメですか? ドュエテ・ビ・レイラ・シャルドレッド次期高老大使」
「そういうこってすか……」
2人のやり取りにスレヤーは納得顔でうなずくと、剣を元の陳列棚に戻しながら言葉を続ける。
「装備屋なら、あちこちで情報収集もしやすいわなぁ。偏光魔法で身を隠しての店番ってことは、法術士か……。バスリムんとこの面子が店主の店なら、俺らが長居してても怪しまれねぇってことで?」
店主はスレヤーの言葉にニッコリと微笑む。そのタイミングで、一般旅装をしたバスリムが店内に入って来た。
「ああ! レイラさん、スレヤー伍長。お待たせしてしまいましたか? 申し訳ない! 馬車はそこの公園に停めて来たから、すぐに出発出来ます」
「あら? ミゾベさん。今日はいつもの御者服ではございませんのね?」
バズリムに笑顔を向けてレイラが尋ねる。
「ええ。今回は 街中だけの御者ではありませんしね。目立つ移動も控えたほうが良いので馬車も一般のモノを使っています。1台しか停めていませんし『御主人様』も乗っていますから、お2人で先に馬車に乗っていていただけますか? 私はこちらで少し装備を購入します……ので……」
レイラに向かい少し急かすような説明をしていたバスリムは、自分を見つめる3人の表情に気付き言葉を切った。
「あの……」
確認するようにバスリムは3人に視線を流す。
「『お客さん方』にはもうバレてるよ、バズ」
「え?」
店主の言葉にバスリムは驚きの声を漏らし、視線をレイラに固定した。
「タグアの町での合流をミッツバンに提案されたのはあなたでしょ? ミゾベさん。『お仲間』から何かの情報をいただくのかと思って、こちらのお店を選ばせていただきましたのよ」
「なん……で……え?」
当然のように語るレイラにバスリムは呆然とするが、すぐに笑みを取り戻す。
「さすがですね。分かった上でこちらを選ばれてたんですか……。レイラさんには是非とも今後、我々の組織に加わっていただきたいものです」
「ご遠慮しますわ。で、何を受け取りに?」
レイラが視線を店主に向ける。店主の手には布袋がすでに持たれていた。
「ほらよ、バズ。依頼の品だ」
店主はバスリムに向かい袋を投げ渡す。
「ミッツが言ってる『潰された洞窟』ってのは、サラハ村西の監視所から山側の森ん中だ。公務なら正式に許可をもらって入れば良い」
言葉の後半で店主の視線を受けたレイラとスレヤーは、軽くうなずいて見せる。
「大陸内のどこでも、自由に捜索する権限をゼブルン王よりいただいていますわ」
レイラの返答に店主は片方の口端を上げた。
「そんじゃ『こっち側』は安全だな」
「こっち側? なんだよ、その言い様」
店主の言葉尻を、スレヤーが不審げに問い詰める。袋の口を開きかけたバスリムが続けて店主に問いかけた。
「何か問題が?」
「抑留地の連中には話が通って無いって事だよ」
店主は「当然顔」で3人の顔をサッと見る。
「抑留地との指定境界線を侵せば、グラディーの連中が有無を言わさず襲いかかって来るってことだ。これまでにも、境界警備の連中が何人かやられてる。指定境界線だけは絶対に超えるなよ。あっち側の情報は……さすがに手に入って無いからな」
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