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「それで、君の話をまとめると、君はグランディル家のメイドで、仕事中に迷子になり、分からないままに道を進んでいると、偶然、俺の部屋に着いた・・・ということだね。」
皆さま、こんばんはでございます。
隠し通路を進んでいたら、何故か第3王子殿下の部屋に着き、まさかの本人とご対面を果たした私、セシリアは、ただいま事情聴取というものを受けております、はい。
まだかろうじて生きております、はい。
第3王子殿下はというと、放心状態だった私の手をひき、高そうな椅子に座らせ、高そうな紅茶をこれまた高そうなティーカップに王子自ら入れてくださいました。
えぇ、とても、美味しゅうございます、はい。
「その通りでございます。どうかお慈悲を頂戴いたしたく存じます。」
ここは下手にでましょう。見た感じ優しそうですし、もしかしたら無罪放免してもらえるかもです。
「へー、ちなみに、もう隠してることはないよね。」
「はい、もちろんでございます。第3王子殿下を謀ろうなどとは考えておりませんでございます。」
変な敬語になりましたけど大丈夫。私は記者。このくらいの境地、自力で解決して見せますよ。秘儀、愛想笑いっ。
「ふーん、そうか。もしかしたら、君はグランディル家にメイドとして潜入してた密偵で、グランディル家の秘密を探してたところ隠し通路を発見し、調べてる途中でここに着いた、とかかなと思っていたんだけど・・・早めに本当のこと言った方が賢明だよ。」
ははは。美形の笑みは美しいだけじゃないと知りました。
一言いわせてほしい。
王子様の微笑みマジ怖い。
レイズフリード王国第3王子アレン殿下。
16歳という若さで王立騎士団と王立魔術士団の両方の頂点である総将軍の地位につかれました大天才様です。
剣の腕前は王国一、魔力量も桁外れで、戦闘で彼の右に出るものはいないとまで言われた最強の魔法剣士様。
戦争では無慈悲なまでに敵国を追い詰め、付いたあだ名「冷酷なる戦王子」。
優しいだけの王子様なわけなかったですね。ははは。
「ふーん、じゃあ、君はあのハーゲル新聞社の記者でグランディル家に潜入していたら、隠し通路を見つけたと・・・。」
叔父さん、ゲロりました。申し訳ないです。
下の方から失礼しております。
えー、床にひれ伏しておりまして、あれですあれ、海を越えたところにあるといわれている神秘の国での正式な謝罪方法とかなんとかいわれている土下座とかいうやつです、はい。
とりあえず、王子様マジ怖い。
というか、うちの新聞社、王子様に知られているみたいですよ。
実家抑えられてますよ。ヤバいですよ。逃げられないですよ。叔父さ~んっ。
「まぁ、いいよ。今回は近衛に伝えないであげる。どうやらまだ、気づいてないみたいだしね。こんな気配の消し方もわからないポンコツ記者なのにね。後で鍛えなおしておくかな。」
マジですか。本当ですか。いいんですか。わーい、これで無事帰れます。えぇ、もちろん記事にはしませんよ。ポンコツ記者のくだりも笑顔で聞き流しますよ。怖いですからね。・・・あれ?
さっきから変わらない笑顔が怖いですよ、王子様?帰してくださるんですよね?なんでずっと見つめてくるんですか?というか腕つかまないでください。あ待って待って関節が極まってます。
「ただ、侵入したのは本当のことだし、何にも無しで帰すわけにはいかないかな。」
ガクブルですよ。何をされるんでしょうか。
私、ただの庶民だし、一般人だし、身代金とれないですよ・・・。
「じゃあ、お前。今日から俺の密偵だから。しっかり働けよ。」
・・・?あれ?何だろう、空耳かな?
俺の密偵とか聞こえた気がするけど、しかも違うニュアンスで感じたんですけど。
ははは、そんなわけないですよね。私一般人。貴方第3王子。既にいっぱい部下がいますよね。
「お前はグランディル家にそのまま潜入していればいい。あー、3日に1回でいいや、今ぐらいの時間に、報告にこいよ。わかったな?」
話し方まで変わってる!?セシリアさんの本日最大ビックリ賞受賞案件ですよ!
「あの、」
「なんだ?」
「もしかして、こっちが素だったりとか、しないですよね・・・?」
上辺だけでも優しい王子様が私の生命の安全的にも良いかなぁ、なんて。
「あぁ、こっちが素だが?お前は俺のモノになるんだし、猫被る必要ねぇからな。」
王子キャラからその辺の傭兵キャラにジョブチェンジですか、そうですか。
貴族のお嬢様たちの夢をぶち壊しですね。
まぁ、私としては、こっちの方が親しみやすいですけど。
傭兵とかゴロツキとか慣れてますから。
皆美味しい情報持ってるんですよね~。それにお菓子くれるし。
顔は怖いけど、意外といい人多いんですよ。
いつも高い高いしてくれます。私もう16歳なんですけどね。とりあえず、
「お断りします。」
もう、こうなったら自棄ですよ。断っても、王子様の密偵になっても、死亡フラグしかないですからね。
「くくくっ、俺に歯向かうか。面白いな、お前。」
「私にはちゃんとセシリアって名前があるんですから、お前って言わないでください。」
この名前は母がつけてくれた大切な名前なんです。大事なものですからね。
お前なんて適当な呼び方で上書きしないでください。
「セシリア・・・、なるほど、やはりリズベルトの姪か。」
いろいろバレてる!やばい、調子に乗って墓穴掘りました。
私のバカ。個人情報ばらしてどうすんのよっ。
「何故私の叔父のことを、はっ、まさか・・・叔父さんのストーカー?」
気持ち悪いです。
確かに叔父さんは姪の私から見てもイケメンですけどね。
本当に男女両方からモテますけど、まさか王子様もですか?
変態はもう間に合ってます。
衛兵さーんっここに変態がいまーす。
「ふっ、そんなわけないだろう。」
いま鼻で笑いましたよ、この男っ!!皆さん、信じられます。ありえないですよ。美形だからってなんでも許されると思うなよっですよ。
確かに似合ってたけど!カッコよかったけど!!
変態予備軍が反撃してくるんじゃないですよ!!
「リズベルトがよくセシリアの話をするからな。会話の大体9割ぐらいがセシリア関連だ。セシリアのことは初めてリズベルトと会った日のことから知っているし、詳しく語れるぞ。今から語ろうか?2日はかかるだろうな。」
おーじーさーんーっ!
何してくれてるんですか!!
一国の王子様に、私の話を勝手にしないでくださいっ!!
というか、知り合いなんですか?私、知らなかったんですけど!
「まぁ、今夜はもう遅い。帰った方がいいんじゃないか?」
はっ、今何時っ。もう3時じゃないですかっ!ヤバいですっ、ナタリーが起きちゃいます!!
「帰りますっ!」
「次は3日後だからな。」
「来ませんから!」
「ちなみに、俺、明日グランディル公爵と会うけど・・・いいのか?」
「~~~~~っ、来ますっ!それでは!!」
もうもうもうっ、絶っ対すぐにこの関係を終わらせてやるんだからっ。
それで王子様の変態記事書いてやるんだからっ覚えときなさいよ~!!
皆さま、こんばんはでございます。
隠し通路を進んでいたら、何故か第3王子殿下の部屋に着き、まさかの本人とご対面を果たした私、セシリアは、ただいま事情聴取というものを受けております、はい。
まだかろうじて生きております、はい。
第3王子殿下はというと、放心状態だった私の手をひき、高そうな椅子に座らせ、高そうな紅茶をこれまた高そうなティーカップに王子自ら入れてくださいました。
えぇ、とても、美味しゅうございます、はい。
「その通りでございます。どうかお慈悲を頂戴いたしたく存じます。」
ここは下手にでましょう。見た感じ優しそうですし、もしかしたら無罪放免してもらえるかもです。
「へー、ちなみに、もう隠してることはないよね。」
「はい、もちろんでございます。第3王子殿下を謀ろうなどとは考えておりませんでございます。」
変な敬語になりましたけど大丈夫。私は記者。このくらいの境地、自力で解決して見せますよ。秘儀、愛想笑いっ。
「ふーん、そうか。もしかしたら、君はグランディル家にメイドとして潜入してた密偵で、グランディル家の秘密を探してたところ隠し通路を発見し、調べてる途中でここに着いた、とかかなと思っていたんだけど・・・早めに本当のこと言った方が賢明だよ。」
ははは。美形の笑みは美しいだけじゃないと知りました。
一言いわせてほしい。
王子様の微笑みマジ怖い。
レイズフリード王国第3王子アレン殿下。
16歳という若さで王立騎士団と王立魔術士団の両方の頂点である総将軍の地位につかれました大天才様です。
剣の腕前は王国一、魔力量も桁外れで、戦闘で彼の右に出るものはいないとまで言われた最強の魔法剣士様。
戦争では無慈悲なまでに敵国を追い詰め、付いたあだ名「冷酷なる戦王子」。
優しいだけの王子様なわけなかったですね。ははは。
「ふーん、じゃあ、君はあのハーゲル新聞社の記者でグランディル家に潜入していたら、隠し通路を見つけたと・・・。」
叔父さん、ゲロりました。申し訳ないです。
下の方から失礼しております。
えー、床にひれ伏しておりまして、あれですあれ、海を越えたところにあるといわれている神秘の国での正式な謝罪方法とかなんとかいわれている土下座とかいうやつです、はい。
とりあえず、王子様マジ怖い。
というか、うちの新聞社、王子様に知られているみたいですよ。
実家抑えられてますよ。ヤバいですよ。逃げられないですよ。叔父さ~んっ。
「まぁ、いいよ。今回は近衛に伝えないであげる。どうやらまだ、気づいてないみたいだしね。こんな気配の消し方もわからないポンコツ記者なのにね。後で鍛えなおしておくかな。」
マジですか。本当ですか。いいんですか。わーい、これで無事帰れます。えぇ、もちろん記事にはしませんよ。ポンコツ記者のくだりも笑顔で聞き流しますよ。怖いですからね。・・・あれ?
さっきから変わらない笑顔が怖いですよ、王子様?帰してくださるんですよね?なんでずっと見つめてくるんですか?というか腕つかまないでください。あ待って待って関節が極まってます。
「ただ、侵入したのは本当のことだし、何にも無しで帰すわけにはいかないかな。」
ガクブルですよ。何をされるんでしょうか。
私、ただの庶民だし、一般人だし、身代金とれないですよ・・・。
「じゃあ、お前。今日から俺の密偵だから。しっかり働けよ。」
・・・?あれ?何だろう、空耳かな?
俺の密偵とか聞こえた気がするけど、しかも違うニュアンスで感じたんですけど。
ははは、そんなわけないですよね。私一般人。貴方第3王子。既にいっぱい部下がいますよね。
「お前はグランディル家にそのまま潜入していればいい。あー、3日に1回でいいや、今ぐらいの時間に、報告にこいよ。わかったな?」
話し方まで変わってる!?セシリアさんの本日最大ビックリ賞受賞案件ですよ!
「あの、」
「なんだ?」
「もしかして、こっちが素だったりとか、しないですよね・・・?」
上辺だけでも優しい王子様が私の生命の安全的にも良いかなぁ、なんて。
「あぁ、こっちが素だが?お前は俺のモノになるんだし、猫被る必要ねぇからな。」
王子キャラからその辺の傭兵キャラにジョブチェンジですか、そうですか。
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まぁ、私としては、こっちの方が親しみやすいですけど。
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確かに叔父さんは姪の私から見てもイケメンですけどね。
本当に男女両方からモテますけど、まさか王子様もですか?
変態はもう間に合ってます。
衛兵さーんっここに変態がいまーす。
「ふっ、そんなわけないだろう。」
いま鼻で笑いましたよ、この男っ!!皆さん、信じられます。ありえないですよ。美形だからってなんでも許されると思うなよっですよ。
確かに似合ってたけど!カッコよかったけど!!
変態予備軍が反撃してくるんじゃないですよ!!
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おーじーさーんーっ!
何してくれてるんですか!!
一国の王子様に、私の話を勝手にしないでくださいっ!!
というか、知り合いなんですか?私、知らなかったんですけど!
「まぁ、今夜はもう遅い。帰った方がいいんじゃないか?」
はっ、今何時っ。もう3時じゃないですかっ!ヤバいですっ、ナタリーが起きちゃいます!!
「帰りますっ!」
「次は3日後だからな。」
「来ませんから!」
「ちなみに、俺、明日グランディル公爵と会うけど・・・いいのか?」
「~~~~~っ、来ますっ!それでは!!」
もうもうもうっ、絶っ対すぐにこの関係を終わらせてやるんだからっ。
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