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8月6日 いつものエブリデイ
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夏休みということもあって、起きたのはお昼近くだった。
まあ、夏休み関係なく休日は起きるのが遅い。部活もバイトもしていない高校生にとっては、普通の事だと思っていた。
俺の場合は、悪霊退治もあり、寝付いたのが明け方だったせいもある。悪霊退治は、長期の休み以外は基本、週末に活動していた。
「…腕、治っているな」
昨日あれだけ出血し、すっぱり切れていた傷はもう、跡形もなくなっていた。
この能力は、俺が「治そうと思ったとき」にしか発動しなかった。しかも、悪霊退治をしている時だけ。
普段の生活で怪我をしたときに、一度使ってみたが、まったく反応しなかった。
この違いは何だろう。
ーピロンー
無料通話アプリ、「RINE」がメッセージを受信した。送り主は友人の土谷だった。
ー今からコッチ来れるか? 俺んちでカードバトルやろうぜー
土谷の家はF市内だ。自転車と電車で往復一時間ほど。正直めんどくさかったが、暇を持て余しているので、向かうことにした。
土谷が言ってるカードゲームとは、子供向けのカードゲームで、元々小学生の時にやっていたものだった。
高校に入学し、土谷と親しくなった時に誘われてまた始めた。最初は子供向けとバカにしていたが、昔やっていた時とは大きくゲームの性質が変わり、再び興味を引かれ始めた。
「俺は盤面を整えてから攻撃に移るタイプだからな。まずはこいつを召喚する」
土谷の家に着き、早速ゲームを開始する。土谷のデッキは、素早く大型のモンスターを召喚し、圧倒的な質量で勝つデッキタイプだ。序盤はモンスターを召喚するためにカードを使い、条件がそろったところで切り札を召喚。その圧倒的な能力で、一気にとどめを刺す、というやり方を好む。
「じゃあ、それを召喚して終了か?俺の番を始めるぞ?」
ルールは簡易的で、相手の6枚の防御札を破壊し、直接相手をたたけば勝利するというやつだ。
「オーケー。もたもたすると勝っちまうぞー」
カードを1枚引く。俺のデッキは相手の妨害をして、相手が何もできなくなってからゆっくり安全にとどめを刺すというデッキだ。
「呪文カードを生贄ゾーンに」
カードを使うには、カードに書かれているだけの生贄が必要だ。生贄ゾーンというものがあり、ターン中に一度カードを置ける。生贄カードは、ゾーンに置かれている限り、ターン中一度だけ使うことができる。その生贄の枚数が多いほど、能力やパワーは強い。土谷はこの生贄ゾーンのカードを、素早く溜め、大型モンスターを出してくる。
「生贄3枚使用し、『死神の呼び声』を唱える」
このカードは呪文カード。モンスターとは違って使い捨てだが、その分少ない生贄でいい効果があったりする。
「げっ、手札破壊カードかよ…ほんと性格悪いなぁ…」
今使ったカードは、相手の手札を破壊する。どのカードゲームでもあまり好かれない戦法だ。
俺はこういった戦い方を得意としており、確実に勝ちに行くスタイルだ。
「だが、今破壊されたことで、墓地にカードがたまったぞ」
基本的に墓地にカードが行ってしまうと、戻ってくることはなかなかないが、能力によって、生贄を必要とせずに、墓地から召喚できるやつがいる。
「おれの新しい切り札だ!ブルーサファイア・ドラゴン召喚!」
こいつが今、このゲームのパワーバランスを壊してしまっているカードだ。出てくるだけで相手の防御札を全部無力化してしまう。召喚には苦労するが、土谷のデッキならばあっという間に出てきてしまう。
「またかよ…もう勝ち目ないだろ….これ」
俺はため息ついて、カードをバラバラと落とす。今のカードで、こいつに対抗できるやつはないといってもいいだろう。それほど圧倒的だった。
「ははー、降参かね?」
「まあな…やっぱつえーわ」
俺も使えたらな、とは思っているが、なにぶん値段が高すぎた。たかがカードだとは思うが一枚数万円などのものもあるカードゲームだ。とても高校生の俺には手が出ない。土谷はバイトをしており、そのほとんどがカードに消えているという。
「資産こそ=、ゲームの強さなのだよ、この時代。ハハ」
札束を持ち、優雅に笑っている土谷。大人の世界ではカードに限ったことではない話だ。
「そろそろ帰るわ、暇なら市内のカードショップ行かないか?」
「お、いいね。行こうぜい」
土谷の家を出て、カードショップへ向かう。風北町にカードショップはない。だから俺は、F市内に来た時にたまに寄っていく。
コンビニで5枚入りのパックを買うこともできるが、本当に欲しいものが入っているとは限らない。それなら、少々高くても、ショップで買った方がいいと思っていた。
ざっと店内を見る。だが、めぼしいカードはなく、俺は早々に切り上げた。
土谷はまだ見ているそうなので、俺はここでさよならした。
帰り道は、ひたすらカードの事を考えて帰宅した。
まあ、夏休み関係なく休日は起きるのが遅い。部活もバイトもしていない高校生にとっては、普通の事だと思っていた。
俺の場合は、悪霊退治もあり、寝付いたのが明け方だったせいもある。悪霊退治は、長期の休み以外は基本、週末に活動していた。
「…腕、治っているな」
昨日あれだけ出血し、すっぱり切れていた傷はもう、跡形もなくなっていた。
この能力は、俺が「治そうと思ったとき」にしか発動しなかった。しかも、悪霊退治をしている時だけ。
普段の生活で怪我をしたときに、一度使ってみたが、まったく反応しなかった。
この違いは何だろう。
ーピロンー
無料通話アプリ、「RINE」がメッセージを受信した。送り主は友人の土谷だった。
ー今からコッチ来れるか? 俺んちでカードバトルやろうぜー
土谷の家はF市内だ。自転車と電車で往復一時間ほど。正直めんどくさかったが、暇を持て余しているので、向かうことにした。
土谷が言ってるカードゲームとは、子供向けのカードゲームで、元々小学生の時にやっていたものだった。
高校に入学し、土谷と親しくなった時に誘われてまた始めた。最初は子供向けとバカにしていたが、昔やっていた時とは大きくゲームの性質が変わり、再び興味を引かれ始めた。
「俺は盤面を整えてから攻撃に移るタイプだからな。まずはこいつを召喚する」
土谷の家に着き、早速ゲームを開始する。土谷のデッキは、素早く大型のモンスターを召喚し、圧倒的な質量で勝つデッキタイプだ。序盤はモンスターを召喚するためにカードを使い、条件がそろったところで切り札を召喚。その圧倒的な能力で、一気にとどめを刺す、というやり方を好む。
「じゃあ、それを召喚して終了か?俺の番を始めるぞ?」
ルールは簡易的で、相手の6枚の防御札を破壊し、直接相手をたたけば勝利するというやつだ。
「オーケー。もたもたすると勝っちまうぞー」
カードを1枚引く。俺のデッキは相手の妨害をして、相手が何もできなくなってからゆっくり安全にとどめを刺すというデッキだ。
「呪文カードを生贄ゾーンに」
カードを使うには、カードに書かれているだけの生贄が必要だ。生贄ゾーンというものがあり、ターン中に一度カードを置ける。生贄カードは、ゾーンに置かれている限り、ターン中一度だけ使うことができる。その生贄の枚数が多いほど、能力やパワーは強い。土谷はこの生贄ゾーンのカードを、素早く溜め、大型モンスターを出してくる。
「生贄3枚使用し、『死神の呼び声』を唱える」
このカードは呪文カード。モンスターとは違って使い捨てだが、その分少ない生贄でいい効果があったりする。
「げっ、手札破壊カードかよ…ほんと性格悪いなぁ…」
今使ったカードは、相手の手札を破壊する。どのカードゲームでもあまり好かれない戦法だ。
俺はこういった戦い方を得意としており、確実に勝ちに行くスタイルだ。
「だが、今破壊されたことで、墓地にカードがたまったぞ」
基本的に墓地にカードが行ってしまうと、戻ってくることはなかなかないが、能力によって、生贄を必要とせずに、墓地から召喚できるやつがいる。
「おれの新しい切り札だ!ブルーサファイア・ドラゴン召喚!」
こいつが今、このゲームのパワーバランスを壊してしまっているカードだ。出てくるだけで相手の防御札を全部無力化してしまう。召喚には苦労するが、土谷のデッキならばあっという間に出てきてしまう。
「またかよ…もう勝ち目ないだろ….これ」
俺はため息ついて、カードをバラバラと落とす。今のカードで、こいつに対抗できるやつはないといってもいいだろう。それほど圧倒的だった。
「ははー、降参かね?」
「まあな…やっぱつえーわ」
俺も使えたらな、とは思っているが、なにぶん値段が高すぎた。たかがカードだとは思うが一枚数万円などのものもあるカードゲームだ。とても高校生の俺には手が出ない。土谷はバイトをしており、そのほとんどがカードに消えているという。
「資産こそ=、ゲームの強さなのだよ、この時代。ハハ」
札束を持ち、優雅に笑っている土谷。大人の世界ではカードに限ったことではない話だ。
「そろそろ帰るわ、暇なら市内のカードショップ行かないか?」
「お、いいね。行こうぜい」
土谷の家を出て、カードショップへ向かう。風北町にカードショップはない。だから俺は、F市内に来た時にたまに寄っていく。
コンビニで5枚入りのパックを買うこともできるが、本当に欲しいものが入っているとは限らない。それなら、少々高くても、ショップで買った方がいいと思っていた。
ざっと店内を見る。だが、めぼしいカードはなく、俺は早々に切り上げた。
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