スターダスト・ジョーカーズ

劇団バスターズ

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8月13日 信頼

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待ち合わせ時刻。今日は康平さんの家にて、作戦会議らしい。

「今回のスターダストについては、ある程度確証はある。この男だ」

康平さんはそういうと、写真を一枚テーブルの上に置く。畳の部屋に立派なテーブル。それを俺たちは囲んで写真をのぞき込む。写真の男は、どこにでもいそうな40代くらいの少し腹が出ている中年男性だった。
写真を囲む俺たちを、部屋の端から見守っていた「一人の老人」が口を開く。

「名前は西谷和男という。まぁどこにでもおるオッサンじゃな、コンビニの雇われ店長をやっておるそうだ」

口を開いたご老人は「森谷公寿(もりたに こうじゅ)」さん、康平さんのお爺さんだった。昨年まで、プロ野球球団のサンシャインバスターズでコーチをやっていたそうだ。

「昨日その男を見てきたが、どうも様子がおかしくてな…」

康平さんのおじいさんも、能力を使えるらしい。どんな能力かは教えてくれなかったが、どうも探知系の応力らしいことは、話を聞いていると理解できた。

「康平君のおじいちゃん、おかしいって、どういう風に?」

みすずさんが口を開く。未鈴さんだけではないが、みんな表情が引き締まっていた。

「単純に様子がおかしいのじゃ。普通でないことは見てわかる」

見てわかるほどということは、相当なものなのだろう。俺はまだ未経験だから分からないが、みんなの表情を見て気を引き締めた。

「光一くん」

康平さんのおじいさんは、こちらに向き直し、真剣なまなざしで俺の名を呼んだ。

「なんでしょう?」

「キミ、一人でスターダストと戦っていたそうだな」

恐らく康平さんに聞いたのだろう、俺はこれまでの経緯をすべて話した。妹のこと、スターダストを一人で倒していたこと、殺されかけたところをジョーカーズに助けてもらったこと。

「ふむ…驚いたものじゃな。よく一人で戦っていたものじゃな」

「普通は絶対にありえない。必ず誰かのサポートが必要だからな」

と康平さんが言う。確かに、スターダストは反転世界にいるのだから、「俺はいったいどうやって反転世界へ行っていたのか」。

「恐らく、波長が合うのだよ、光一君は」

波長…。康平さんのおじいさんが言うには、反転世界は、今いる世界とは少しズレた空間に存在している。幽霊が見える人がいるように、波長が合ってしまうと反転世界に「吸い込まれてしまう」という。例えるなら、ラジオのチャンネルを合わせるものだという。

「その入り口を意図的に作れるのが、未鈴さんなんだよね」

みちるが言う。それがゲートの能力。

「光一君も、意図してはできないようじゃが、似たような能力を持っとるという事じゃ」

蓄えた長い白髭をさすりながら言う。

「でも、それって正直危ないことだったんだよね…。スターダストに襲われちゃう人と同じ状況だったわけだし」

みもりが言う。

「そうじゃな…普通は襲われてしまっていたはずじゃ。じゃが、キミはこうして生きておる」

「それもあってスカウトしたんだ」

と康平さんは言う。

「ふむ…」

どこか暗い表情を見せる康平さんのおじいさん。

「光一君、これは危険な事なんじゃ、命を落とすかも知れない事なんじゃ」

これ、とはジョーカーズの活動という事だろう。おじいさんは、いくら能力があっても命を落とすことがあるという。

「一介の高校生が、命をかけてやらなくてはならない事なのかは分からん」

「わしはとても賛成はできん。君らには未来がある…それでもやるのかね?」

真剣な顔つき。よほど、過去に何かあったのだろうと思った。
でも俺の気持ちに、変化はなかった。
好奇心という言葉ではとても片付けられない気持ちが、俺にはあった。

「やります」

そう言った。

「ふむ…」

するとおじいさんは、長いあごひげをさすりながら考え事をしている。
暫くすると、低い声でこう言った。

「キミには何か…覚悟が見えるようじゃなぁ…。子に短い時間の会話と、キミの目を見ただけじゃが…」

キミには大切な何かを思う気持ちが見えると、おじいさんは言った。

「キミはどうやら信頼に値する人間らしい…。この子らを、頼んだぞ」

そう言うと、おじいさんは部屋を立ち去った。
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