40 / 85
笑う当主と踊る幽霊
11 ー2ファンファーレが響きわたる時
しおりを挟む
「嫌!嫌!来ないで。誰か、誰か助けて」王女が金切り声をあげる。
そう、彼の瞳は何も写していないのでしょうね。
あぁ、解る、解るのよ。王女の気持ちが。
私も、心の悲鳴をあげていた時期が有るから。
ズキッと、心臓が痛みを感じてしまう。
「アルバニア、大丈夫か」
「大丈夫、少し驚いてしまったの」
お兄様が私を抱き込む様に守ってくれている。
騎士達も、落ち着いたみたいね。
王女とギルバートを囲んでいるの。
彼らもやみくもに手を出せないのよ。
一触即発、そんな事態に陥っているのが解るわ。
「何でお前がここにいるんだ!」
「ギルバート、止めろ!」
「王子殿下、いらしゃったんですね。直ぐにでも始末し御側に侍りますから、少しお待ち下さい」
「ギルバート止め・・・・」
彼の腕が頭上高く剣を持ち上げるわ。
スローモーションがコマ送りにされてる様に見えるの。
「死に損ないめ!今度こそあの世に行け!」
「ギルバートー・・・・」
「ギルバート、止めてー!」
王子の声に、オーロラの声が被る。
まるで、それが合図の様に「王子!見ていて下さい!」剣が・・・・。
かキーン!!
金属同士がぶつかる音が響き渡ったの。
間に合ったのかしら?
騎士達どギルバートの剣と剣での攻防戦が始まるやいなや、直ぐに終わりを迎えたの。
多勢に無勢の、以前の事だったわ。
そう、騎士達はプロの中のプロですものね。
騎士達が乱暴にギルバートを連行しようとしていると「ギルバート!お願い・・・・お願いギルバートを」オーロラの声が聞こえるの。
何がしたいのかしら、心が急激に冷えていくわ。
『お願い、プライドを持って欲しいの。王子妃とはそんな軽い立場では無いのよ』心が叫んでしまう。
私が幼い時から目指していた立場は、そんな軽い立場では無いはず。
ねぇ、そうでしょ、そうで有って欲しいの。
「お願い・・・・アルフォンス・・・・ギルバートは、ギルバートは・・・・」
「あんた何をバカな事考えてるの!」
そうでしょう、そう思うのが当たり前よ。
王女殿下の言っている事は、珍しいけど解るのよ。
「あっ」
彼女は、何で私を見てるのかしら?
嫌な、嫌な予感がしてしまう。
「お願い、お願いがあるんだ。ギルバートを、ギルバートを・・・・」
オーロラが私に手を伸ばして来たの。
バッシーン!!
「小姓、テアルスティア侯爵に無礼だ!」
ヴァジールがオーロラの手を叩き落として、威嚇する。
「そんな、僕はアルフォンスの・・・・」
王子がオーロラの口を塞いだの。
「王子殿下、新しい小姓なのですか?」
「ああ、迷い混んでしまったみたいだ」
オーロラを地べたに座らせ、頭を抑え床に顔を擦り付けたの。
そう、彼女を無傷でこの場から連れ出すには、この方法しか無いのよ。
「殿下、この場には不釣り合いな者ですわ」
「その様だな、誰か、この小姓を連れ出せ」
王子は終始、オーロラの口を塞いでいた。
「テアルスティア侯爵、礼を言う」
私は、ただ無言で頷いたの。
そうね、美しい物語が見たいだけ。
だから礼を言われるような事はないのよ。
継承権を持つ第二王子の正妃とは、時として、政治的に難しい立場に立つ時が有る。
だが、平時に置いては皇太子妃を補佐し影に徹する覚悟が必要。
私は、幼いながらに妃教育で教えられたの。
だからこそ望む。
もし、妃としての義務が果たせ無いならば。
その時は、夢を与え続けなさい。
国民が国の活力になるように、万民に夢と希望を。
だから、途中降板は許さない。
彼女に救いを与える義務が、私には無いのよ。
騎士達がギルバートを連行し、王子の従者達はオーロラを連れ出した部屋の中は、嵐の去った後、そのものだったわ。
う~ん、何か、何か忘れているんだけど気のせいね。
ウサギ・・・・。
とりあえず、後にしましょう。
それよりも、大変な事が起こった様な。
何か、匂うのよ。
異変を感じたのは、アルバニアだけでは無かった。其所にいる全員が感じたのだ。
皆が、そっーと王女を見詰めてしまったの。
「なっ何よ!何を見ているのよ」
王女の顔が、茹で蛸の様に変わっていったわ。
「王女殿下、ヤっちゃいましたね」
やる気の無い王女付きの女官が発言する。
何て事なんでしょう。皆、遠慮していたのよ。
王女殿下は、まだ若い乙女なのよ。
発言した彼女を、勇者認定するわ。
だから、ここは私の出番よ!胸を張るわよ!
「アルバニア?」
アルバニアの様子に不安を誰しもが感じた。
「お兄様、任せて下さい」
更に不安を感じてしまうのだ。
そう、彼の瞳は何も写していないのでしょうね。
あぁ、解る、解るのよ。王女の気持ちが。
私も、心の悲鳴をあげていた時期が有るから。
ズキッと、心臓が痛みを感じてしまう。
「アルバニア、大丈夫か」
「大丈夫、少し驚いてしまったの」
お兄様が私を抱き込む様に守ってくれている。
騎士達も、落ち着いたみたいね。
王女とギルバートを囲んでいるの。
彼らもやみくもに手を出せないのよ。
一触即発、そんな事態に陥っているのが解るわ。
「何でお前がここにいるんだ!」
「ギルバート、止めろ!」
「王子殿下、いらしゃったんですね。直ぐにでも始末し御側に侍りますから、少しお待ち下さい」
「ギルバート止め・・・・」
彼の腕が頭上高く剣を持ち上げるわ。
スローモーションがコマ送りにされてる様に見えるの。
「死に損ないめ!今度こそあの世に行け!」
「ギルバートー・・・・」
「ギルバート、止めてー!」
王子の声に、オーロラの声が被る。
まるで、それが合図の様に「王子!見ていて下さい!」剣が・・・・。
かキーン!!
金属同士がぶつかる音が響き渡ったの。
間に合ったのかしら?
騎士達どギルバートの剣と剣での攻防戦が始まるやいなや、直ぐに終わりを迎えたの。
多勢に無勢の、以前の事だったわ。
そう、騎士達はプロの中のプロですものね。
騎士達が乱暴にギルバートを連行しようとしていると「ギルバート!お願い・・・・お願いギルバートを」オーロラの声が聞こえるの。
何がしたいのかしら、心が急激に冷えていくわ。
『お願い、プライドを持って欲しいの。王子妃とはそんな軽い立場では無いのよ』心が叫んでしまう。
私が幼い時から目指していた立場は、そんな軽い立場では無いはず。
ねぇ、そうでしょ、そうで有って欲しいの。
「お願い・・・・アルフォンス・・・・ギルバートは、ギルバートは・・・・」
「あんた何をバカな事考えてるの!」
そうでしょう、そう思うのが当たり前よ。
王女殿下の言っている事は、珍しいけど解るのよ。
「あっ」
彼女は、何で私を見てるのかしら?
嫌な、嫌な予感がしてしまう。
「お願い、お願いがあるんだ。ギルバートを、ギルバートを・・・・」
オーロラが私に手を伸ばして来たの。
バッシーン!!
「小姓、テアルスティア侯爵に無礼だ!」
ヴァジールがオーロラの手を叩き落として、威嚇する。
「そんな、僕はアルフォンスの・・・・」
王子がオーロラの口を塞いだの。
「王子殿下、新しい小姓なのですか?」
「ああ、迷い混んでしまったみたいだ」
オーロラを地べたに座らせ、頭を抑え床に顔を擦り付けたの。
そう、彼女を無傷でこの場から連れ出すには、この方法しか無いのよ。
「殿下、この場には不釣り合いな者ですわ」
「その様だな、誰か、この小姓を連れ出せ」
王子は終始、オーロラの口を塞いでいた。
「テアルスティア侯爵、礼を言う」
私は、ただ無言で頷いたの。
そうね、美しい物語が見たいだけ。
だから礼を言われるような事はないのよ。
継承権を持つ第二王子の正妃とは、時として、政治的に難しい立場に立つ時が有る。
だが、平時に置いては皇太子妃を補佐し影に徹する覚悟が必要。
私は、幼いながらに妃教育で教えられたの。
だからこそ望む。
もし、妃としての義務が果たせ無いならば。
その時は、夢を与え続けなさい。
国民が国の活力になるように、万民に夢と希望を。
だから、途中降板は許さない。
彼女に救いを与える義務が、私には無いのよ。
騎士達がギルバートを連行し、王子の従者達はオーロラを連れ出した部屋の中は、嵐の去った後、そのものだったわ。
う~ん、何か、何か忘れているんだけど気のせいね。
ウサギ・・・・。
とりあえず、後にしましょう。
それよりも、大変な事が起こった様な。
何か、匂うのよ。
異変を感じたのは、アルバニアだけでは無かった。其所にいる全員が感じたのだ。
皆が、そっーと王女を見詰めてしまったの。
「なっ何よ!何を見ているのよ」
王女の顔が、茹で蛸の様に変わっていったわ。
「王女殿下、ヤっちゃいましたね」
やる気の無い王女付きの女官が発言する。
何て事なんでしょう。皆、遠慮していたのよ。
王女殿下は、まだ若い乙女なのよ。
発言した彼女を、勇者認定するわ。
だから、ここは私の出番よ!胸を張るわよ!
「アルバニア?」
アルバニアの様子に不安を誰しもが感じた。
「お兄様、任せて下さい」
更に不安を感じてしまうのだ。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる