12 / 30
葛藤
しおりを挟む
アレポは連行されながら、頭の中でこんな事を考えていた。
(私が、嘘つきだったからいけないのかもしれない……私は、パルシュを応援しながら、彼に冒険者になってほしくなかった、それでも自分は冒険者になりたくて……パルシュは危険な目にあってほしくない、我儘で、それでも応援しているふりをしてきたから、だからなの?)
ふと、牢のある暗がりの室内から暗くなりかけた夕日にてらされて外に出ると、一瞬目がまぶしくてやられてしまった、だがすぐ元に戻り、アレポは連行される、ふと村に隣接する林の中から、何者かがのぞいているような雰囲気を感じた。それはあの―トマス―となのった異形の青年の影のような気がした。
「助け……」
と言いかけたとき、その言葉は、口まで出かけてとまった。
(これでよかったのかもしれない、あの時もそうだった、パルシュの両親が死んだときも)
遠くをみると、空には災害の予兆、巨大な青い魔力を纏う黒い雲が迫っている。
「まずい……くる」
そうか、と納得する。自分は生贄なのだ、パルシュの両親のように、そして目の前にたつ人間たち。
死からよみがえったノース、イベラ、ルアンスがいた。ノースが口を開く。
「ごめんな、生きて戻って、俺たちの信頼するパーティメンバーが、俺の危機をすくってくれたんだ、お前たちと違って、俺には頼れる仲間がいるからなあ」
そして村人たちは皆体をしばられて動けない状態で車座に座らされている。その中央に椅子があり、そこにアレポは座らされたのだった。
ノースが続ける。
「さて、イベラ」
イベラがふと前にでて、椅子に手をかける。
「わかったわ、ノース」
ふとイベラは美しい顔をゆがめ手を伸ばしアレポのアゴにてをかける、そしてつばをはきかけた。
「よくも、私のかわいいリーダーをひどい目にあわせようとしたわね、私たちが隠れて魔法をかけてなかったら、リーダーは死んでいたわ、このアバズレ」
「その言葉、そっくりそのまま返すわ」
「!!」
思い切り足をひいて、蹴り下ろすイベラ。その膝が、アレポの腹部にあたる。村人たちがざわつく。
「いいわ、なんであなたが選ばれたのかおしえてあげる」
そういって、イベラはアレポの髪をつかんでもちあげ、その顔をじっくりとみつめた。
「あんたは特殊な能力を持っている、村人たちも、そしてパルシュも、そのことを隠している……あんたはねえ、生きた……」
「そこまでだ!!」
と、思いもかけずノースが叫んだ。イベラは悪態をつきながら、今度はナイフを取り出した。
「災いをよんでもらうわよ……ルメラグメルラルメラグメルラ……」
幾度か同じ呪文を詠唱すると、次はナイフを思いきり天高く掲げ、勢いよくふりおろしたのだった。
「災厄を封じるために!!死ねええ!!!」
(私が、嘘つきだったからいけないのかもしれない……私は、パルシュを応援しながら、彼に冒険者になってほしくなかった、それでも自分は冒険者になりたくて……パルシュは危険な目にあってほしくない、我儘で、それでも応援しているふりをしてきたから、だからなの?)
ふと、牢のある暗がりの室内から暗くなりかけた夕日にてらされて外に出ると、一瞬目がまぶしくてやられてしまった、だがすぐ元に戻り、アレポは連行される、ふと村に隣接する林の中から、何者かがのぞいているような雰囲気を感じた。それはあの―トマス―となのった異形の青年の影のような気がした。
「助け……」
と言いかけたとき、その言葉は、口まで出かけてとまった。
(これでよかったのかもしれない、あの時もそうだった、パルシュの両親が死んだときも)
遠くをみると、空には災害の予兆、巨大な青い魔力を纏う黒い雲が迫っている。
「まずい……くる」
そうか、と納得する。自分は生贄なのだ、パルシュの両親のように、そして目の前にたつ人間たち。
死からよみがえったノース、イベラ、ルアンスがいた。ノースが口を開く。
「ごめんな、生きて戻って、俺たちの信頼するパーティメンバーが、俺の危機をすくってくれたんだ、お前たちと違って、俺には頼れる仲間がいるからなあ」
そして村人たちは皆体をしばられて動けない状態で車座に座らされている。その中央に椅子があり、そこにアレポは座らされたのだった。
ノースが続ける。
「さて、イベラ」
イベラがふと前にでて、椅子に手をかける。
「わかったわ、ノース」
ふとイベラは美しい顔をゆがめ手を伸ばしアレポのアゴにてをかける、そしてつばをはきかけた。
「よくも、私のかわいいリーダーをひどい目にあわせようとしたわね、私たちが隠れて魔法をかけてなかったら、リーダーは死んでいたわ、このアバズレ」
「その言葉、そっくりそのまま返すわ」
「!!」
思い切り足をひいて、蹴り下ろすイベラ。その膝が、アレポの腹部にあたる。村人たちがざわつく。
「いいわ、なんであなたが選ばれたのかおしえてあげる」
そういって、イベラはアレポの髪をつかんでもちあげ、その顔をじっくりとみつめた。
「あんたは特殊な能力を持っている、村人たちも、そしてパルシュも、そのことを隠している……あんたはねえ、生きた……」
「そこまでだ!!」
と、思いもかけずノースが叫んだ。イベラは悪態をつきながら、今度はナイフを取り出した。
「災いをよんでもらうわよ……ルメラグメルラルメラグメルラ……」
幾度か同じ呪文を詠唱すると、次はナイフを思いきり天高く掲げ、勢いよくふりおろしたのだった。
「災厄を封じるために!!死ねええ!!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる