英雄密約

ショー・ケン

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英雄密約

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魔王を倒した英雄、一人の剣士と一人のやり使い。平和になったあとに、喧嘩が絶えなくなった。
あるバーで、二人はその日も喧嘩をしていた。
「誰のおかげで平和になったと思っている、皆平和ボケしている、お前もだ!!」
と剣士
「俺の補佐や横やりがなければ魔王は倒せなかった!」
と剣士。
「だが最後まで逃げなかったのは俺だけが、お前は最後、人任せにして、直接魔王と戦わなかったじゃないか」
「それは……」
 しばしの沈黙。やはり伝説の剣士は違うか。しかしいつにもまして気迫のある槍使いはいった。
「だが、本当にお前ひとりだけの力で勝てたのか!!」
 沈黙、弱い一撃、が、挙動不審になる剣士。そして槍使いに肩をくんで、何やらこそこそと話している。そして突然二人は喧嘩をやめ、別のバーへと移る。

 別のバーのトイレで二人は話している。
「魔王の最後を俺たちはみている、そうだな?」
 と剣士。
「そうだ!!俺たちは、両方とも逃げた!!」
 と槍使い。
「おい!!!その事だ、俺たちが逃げた後勝手に魔王は自滅した、崖から落下して……そのことは言わない約束じゃないか、だから俺たちは、英雄でいられるしたんまりと報酬をえたんだ、魔王のいなくなった世界で、俺たちの食い扶持は多くない」
 槍使いは自分に酔いが回っていることを自覚する。
「すまん」
「いや、俺も言い過ぎたよ、ちょっと調子にのりすぎた、平穏な日常になれ、魔王がどんなに恐ろしいか忘れたのは、俺たち以外じゃない、俺たち自体もそうだった、俺たちは人々から弱小パーティと罵られ、だがあの偶然の勝利で一躍英雄になった、この物語に酔いしれて、忘れていたじゃないか、伝説のほとんどが誇張だと、どっちがどれだけ、なんて重要な事じゃない、嘘がばれるより」
 その翌日から、二人は突然仲直りして、魔王がどれだけ恐ろしかったか、誇張して人々に話して聞かせた。
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