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懐の広いイケメン霊能者
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ある霊能力者、人望も容姿も優れ、キリッとした顔に堀の深くしっかりとした顔立ちのイケメン。
誰にでも親切で、お金のない人からはとらず、また、自分を疑う人間には無償で除霊をしてみせる。彼お手製の数珠は人気だ。
だがある女性のファンAさんが、その霊能者のもとに通い詰めていると、待合室で人々をみていると、彼の渡す数珠にふたつパターンがあるのに気が付いた。ひとつは木製のふつうの数珠。もう一つは、何かそれに言葉の書いてある数珠。そしてその数珠は往々にして、変色したり、傷をもったり、われたりしているものも多い。Aさんのは普通の数珠だ。
ある時暇を持て余して、待合室にて、変わったその数珠の持ち主(Bさん)に事情をきくと
「これは、無償で譲り受けたものです」
という。
(ああ、やっぱり無料のものは、そういう粗があるのか、それにしてもお金も受け取らずに労力を使うのだから、不満をいうまでもないだろう)
だが、AさんはたまたまそのBさんと仲が良くなり、同じ女性ということもあり、趣味の男性アイドルグループの話をしたり、ライブをみにいったりしたり食事をする仲になると、ある時その彼女がこんな事を打ち明けてくれた。
「私、もともとあの霊能力者を疑っていたんです」
彼女は両親が妙な宗教にはまって家庭崩壊をした過去があり、両親の離婚後、自分をひきとった母の苦労をみてきたし、宗教離れする様子をみてきたので、そういうものに怒りや恨みがあった。父は、未だにその信者らしい。
「だから、あの人に初めからつよくあたったし、お金なんて払うかっていったら、結構ですって、そしてあの数珠をくれたのよ」
Aさんはそこでピンときた。お金がない人に無償で渡す数珠というのは、普通の数珠なのではないだろうか、むしろ、自分に悪意を持っている人間や嫌な人間にはあの妙な言葉のかいてある別の数珠を送っているのではないか。
その数日後、Bさんがたまたまリビングにそれを置き忘れ、同居している母が、その数珠をみた。そしてBさんにこう訴えたのだ。
「これは呪いを集める呪術よ、間違いない、あの宗教の関係で呪いに関するものをよく調べたけれど、あの宗教は宗教といいながら人を呪う儀式によって金をもうけたりしていたから、こうした文言はよく見たわ」
そして、母にあの霊能者の件を話すと、もしかしたらあの宗教の関係者かもしれないと語った。
Aさんはこの話を聞き、すぐに数珠をお焚き上げするように勧めた。すると、悪運やケガが多く悩んでいたBさんが、そうしたものが一切なくなったのだった。
AさんとBさんはそれから、件の霊能者について色々と探り始めた。どうやら、自分に敵対する人だけでなく、強力な悪霊に取りつかれている人に対して、件の妙な数珠を渡しているようだ。
そして、今まで見もしなかった彼のアンチや被害者の会に足をむけると、何やら彼は裏で“呪術”に関する仕事を暗黙のうちにしているらしいという事がわかった。
Aさんは彼のファンだったが
(別に、いい人である必要はないけれど、まさかここまで悪いことをしているなんて)
と見損なったのだった。
それによりAさんとBさんは彼に相談に行くことをやめた。
それから数か月たったあるとき、風のうわさでその霊能者が結婚することをきいたのだったが、霊能者というにはアイドルなみにファンがいたので、もちろん怒ったり、執着したりするファンが多かったらしい、だが、その霊能者や恋人に悪さをしようとした人間はことごとく不幸になったのだという。
それでも結婚相手は幸せそうだし、Aさんは、人からもてはやされたりする人間や、聖人といわれる人間も所詮は人の子か。と思った。
無償で助けられる人もいるし、痛い目を見る人もいる。人によってはいい人であり、また別の人によっては悪人でもある。そもそも人間は、そうしたところは誰にでもあると思うので、Aさんは彼に対する執着をやめたのだった。
誰にでも親切で、お金のない人からはとらず、また、自分を疑う人間には無償で除霊をしてみせる。彼お手製の数珠は人気だ。
だがある女性のファンAさんが、その霊能者のもとに通い詰めていると、待合室で人々をみていると、彼の渡す数珠にふたつパターンがあるのに気が付いた。ひとつは木製のふつうの数珠。もう一つは、何かそれに言葉の書いてある数珠。そしてその数珠は往々にして、変色したり、傷をもったり、われたりしているものも多い。Aさんのは普通の数珠だ。
ある時暇を持て余して、待合室にて、変わったその数珠の持ち主(Bさん)に事情をきくと
「これは、無償で譲り受けたものです」
という。
(ああ、やっぱり無料のものは、そういう粗があるのか、それにしてもお金も受け取らずに労力を使うのだから、不満をいうまでもないだろう)
だが、AさんはたまたまそのBさんと仲が良くなり、同じ女性ということもあり、趣味の男性アイドルグループの話をしたり、ライブをみにいったりしたり食事をする仲になると、ある時その彼女がこんな事を打ち明けてくれた。
「私、もともとあの霊能力者を疑っていたんです」
彼女は両親が妙な宗教にはまって家庭崩壊をした過去があり、両親の離婚後、自分をひきとった母の苦労をみてきたし、宗教離れする様子をみてきたので、そういうものに怒りや恨みがあった。父は、未だにその信者らしい。
「だから、あの人に初めからつよくあたったし、お金なんて払うかっていったら、結構ですって、そしてあの数珠をくれたのよ」
Aさんはそこでピンときた。お金がない人に無償で渡す数珠というのは、普通の数珠なのではないだろうか、むしろ、自分に悪意を持っている人間や嫌な人間にはあの妙な言葉のかいてある別の数珠を送っているのではないか。
その数日後、Bさんがたまたまリビングにそれを置き忘れ、同居している母が、その数珠をみた。そしてBさんにこう訴えたのだ。
「これは呪いを集める呪術よ、間違いない、あの宗教の関係で呪いに関するものをよく調べたけれど、あの宗教は宗教といいながら人を呪う儀式によって金をもうけたりしていたから、こうした文言はよく見たわ」
そして、母にあの霊能者の件を話すと、もしかしたらあの宗教の関係者かもしれないと語った。
Aさんはこの話を聞き、すぐに数珠をお焚き上げするように勧めた。すると、悪運やケガが多く悩んでいたBさんが、そうしたものが一切なくなったのだった。
AさんとBさんはそれから、件の霊能者について色々と探り始めた。どうやら、自分に敵対する人だけでなく、強力な悪霊に取りつかれている人に対して、件の妙な数珠を渡しているようだ。
そして、今まで見もしなかった彼のアンチや被害者の会に足をむけると、何やら彼は裏で“呪術”に関する仕事を暗黙のうちにしているらしいという事がわかった。
Aさんは彼のファンだったが
(別に、いい人である必要はないけれど、まさかここまで悪いことをしているなんて)
と見損なったのだった。
それによりAさんとBさんは彼に相談に行くことをやめた。
それから数か月たったあるとき、風のうわさでその霊能者が結婚することをきいたのだったが、霊能者というにはアイドルなみにファンがいたので、もちろん怒ったり、執着したりするファンが多かったらしい、だが、その霊能者や恋人に悪さをしようとした人間はことごとく不幸になったのだという。
それでも結婚相手は幸せそうだし、Aさんは、人からもてはやされたりする人間や、聖人といわれる人間も所詮は人の子か。と思った。
無償で助けられる人もいるし、痛い目を見る人もいる。人によってはいい人であり、また別の人によっては悪人でもある。そもそも人間は、そうしたところは誰にでもあると思うので、Aさんは彼に対する執着をやめたのだった。
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