4 / 8
ランナ
しおりを挟む
エラグは、その時ようやく後頭部に柔らかい感触が当たっていることに気がついた。
「……?」
それが二つ、そして長いことを考えると、人間の足、太もものような感じをうけた。
「なぜ、膝枕?」
「!!!」
ランナは咄嗟に膝をどけて、あとずさりした。
「べべべべ!!別に介抱なんてしてないんだから!!あんたみたいなクズ!!」
ぐさり、と心に刺さるものを感じたが、エラグは気にせず起き上がった。
《ガサガサッ》
その時、ドルジは人差し指を立て口に当て皆に
《シッ》
と合図をおくった。
「フゴウ!!ゴブゴブミー」
「ウホ!!ブゴブゴ」
ゴブリンの群れが、警戒してあたりを見回っている。
「5匹か、いつもなら訳ないが、こっちは負傷者もいる、それにこいつはアブノーマルすぎる」
「ウムウウ、ムウ」
ガリンは頭を揺らす。
「……よし」
決意したように振り向くと、ドルジは、エラグと皆に命じた。
「こいつをおいていくぞ、エラグ、お前に隠れ実の魔法をかける、魔物に見つかりにくくなる魔法だ、下手な動きさえしなければ見つからないし、死ぬことはない」
そして、エラグの正面に座りこんで、眉間に皺を寄せ暗い顔で見つめた。
「お前がいると調子が狂う、この大国のギルドにお前を受け入れてくれる場所はなかったんだ、冒険者はあきらめるか、世界を放浪するんだな、俺たちほど器の広いものたちもいないが、それでも無理だったんだ、わかるか?あとは自分の運命を自分で背負え」
そういうと、敵が言ったのを確認し、小さく魔法陣を描き、エラグに魔法をかけた。
「ペペグ!!」
エラグは自分が自然の一部となったかのような感覚を覚えた。やがて、ドルジ一行がその場を立ち去ろうとしたとき、ランナだけが足をとめた。エラグをじっと見つめる。
「おい、ランナ、決定に文句があるのか!」
「べ、別に、あるわけないでしょ!!フン!!」
そういうとドスドスと足音をたててさっていった。
ランナは、最後尾にいて、ブツブツつぶやいていた。
「くっ……わりといい感じのクズだったな!!私はクズなんて好きじゃないけど!クズなんて!!」
エラグは、洞窟の中で一人静かに呼吸をして、空を見上げていた。そして呟いた。
「終わった、ごめんよ、カノン、俺は何も変われなかった……」
「……?」
それが二つ、そして長いことを考えると、人間の足、太もものような感じをうけた。
「なぜ、膝枕?」
「!!!」
ランナは咄嗟に膝をどけて、あとずさりした。
「べべべべ!!別に介抱なんてしてないんだから!!あんたみたいなクズ!!」
ぐさり、と心に刺さるものを感じたが、エラグは気にせず起き上がった。
《ガサガサッ》
その時、ドルジは人差し指を立て口に当て皆に
《シッ》
と合図をおくった。
「フゴウ!!ゴブゴブミー」
「ウホ!!ブゴブゴ」
ゴブリンの群れが、警戒してあたりを見回っている。
「5匹か、いつもなら訳ないが、こっちは負傷者もいる、それにこいつはアブノーマルすぎる」
「ウムウウ、ムウ」
ガリンは頭を揺らす。
「……よし」
決意したように振り向くと、ドルジは、エラグと皆に命じた。
「こいつをおいていくぞ、エラグ、お前に隠れ実の魔法をかける、魔物に見つかりにくくなる魔法だ、下手な動きさえしなければ見つからないし、死ぬことはない」
そして、エラグの正面に座りこんで、眉間に皺を寄せ暗い顔で見つめた。
「お前がいると調子が狂う、この大国のギルドにお前を受け入れてくれる場所はなかったんだ、冒険者はあきらめるか、世界を放浪するんだな、俺たちほど器の広いものたちもいないが、それでも無理だったんだ、わかるか?あとは自分の運命を自分で背負え」
そういうと、敵が言ったのを確認し、小さく魔法陣を描き、エラグに魔法をかけた。
「ペペグ!!」
エラグは自分が自然の一部となったかのような感覚を覚えた。やがて、ドルジ一行がその場を立ち去ろうとしたとき、ランナだけが足をとめた。エラグをじっと見つめる。
「おい、ランナ、決定に文句があるのか!」
「べ、別に、あるわけないでしょ!!フン!!」
そういうとドスドスと足音をたててさっていった。
ランナは、最後尾にいて、ブツブツつぶやいていた。
「くっ……わりといい感じのクズだったな!!私はクズなんて好きじゃないけど!クズなんて!!」
エラグは、洞窟の中で一人静かに呼吸をして、空を見上げていた。そして呟いた。
「終わった、ごめんよ、カノン、俺は何も変われなかった……」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる