5 / 68
若返る少女
しおりを挟む
警察はある家を見張っていた。家には女性だけ、少女、母、祖母の3人。複雑怪奇な事件を調査しつづけた地元警察は、ようやく少女の犯行を発見したのだ。初め警察は、おかしいとは思わなかった。十代の少女に出せる力ではないと、だが少女は、隣人の老いた爺さんを絞め殺し、その証拠を粉々にして土にうめた。材木を利用してつくった装置で腕力を補ったのだ。
警察は少女を逮捕した。それ以前に母にめぼしをつけていたが、あるベテラン警官がいったのだ。
「魔女は、人が望まないものを欲しがるのだ、わざわざ、母親に化けることがあろうか?少女が、何か魔術を利用したのだろう」
地元警察はずっと“魔女”の事を捜査していた。この地域に古くから語り継がれる“魔女”の伝説は、魔女は人を殺し、生き血をすすり長生きするというものだった。むろん、そんなことを疑えば、冤罪が生まれてしまう。だから、不可解な人間や事件を見張っていたのだ。人々もまたそうだった。魔女は確かにいると信じていた。ばかばかしいと思いながら。
この少女の家庭の不可解さはひとつだった。以前少女を虐待していたその母は、少女と引き離され、次に新しい養子をとった。その養子をとってからというもの、虐待の様子は一切みられなかった。
それどころか母は少女に何でも買い与え、様々な習い事にもいかせ、少女は近所で評判の子供となった。
だがおかしいのは少女の姿だ。2年3年もすれば変わるだろう少女の姿は、ここ5年ほど全くかわらなかった。少女も警察もそれを疑っていた。そこへきてこの事件だった。
世間の人はうわさした。
「養子にとった人が魔女だったなんて、かわいそうねえ」
「でも、暴力的な人だったんだもの、むしろ魔女に操られて更生してよかったんじゃない?」
パトカーが自宅に集まり、少女が警察につれていかれるころ、その家の老婆はほくそ笑んでいった。いつもは短い鼻を鷲鼻にして、秘密の杖をてにしながら。
「フフフ、まさか、こんな簡単にひっかかるとはねえ、証拠を残さずに人を操るというのは簡単だ、物理的に隣人を殺したのは母だというのに、ただ、指紋のある証拠を少女に回収させただけさ」
安楽椅子にもたれかかり、ギィギィとゆらす。
「養子なんて、よくあることだというのに、それに、世間の偏見はひどいものだ、魔女というのは、人の命をいただいて楽をして、楽しく若さをたもつものだと、だからずるいと、殺人なんて気にしちゃいない、自分の命じゃなきゃ、けど違うねえ、私は若さを犠牲にして、命をとったのだ、今回だってそうさ、誰もが魔女は自分より若く、楽しい日々を続けていると思うから嫉妬している、その嫉妬心を利用すれば、ずっと長く生きられるのさ、私は、美貌を放りだしても、長くいきたいのさ、どんな優れたものでも、何かを我慢しなきゃ、それをずっと続けるのは難しいのさ」
そして魔女は、傍に倒れている母親の生き血をグラスにうつし、すすった。
警察は少女を逮捕した。それ以前に母にめぼしをつけていたが、あるベテラン警官がいったのだ。
「魔女は、人が望まないものを欲しがるのだ、わざわざ、母親に化けることがあろうか?少女が、何か魔術を利用したのだろう」
地元警察はずっと“魔女”の事を捜査していた。この地域に古くから語り継がれる“魔女”の伝説は、魔女は人を殺し、生き血をすすり長生きするというものだった。むろん、そんなことを疑えば、冤罪が生まれてしまう。だから、不可解な人間や事件を見張っていたのだ。人々もまたそうだった。魔女は確かにいると信じていた。ばかばかしいと思いながら。
この少女の家庭の不可解さはひとつだった。以前少女を虐待していたその母は、少女と引き離され、次に新しい養子をとった。その養子をとってからというもの、虐待の様子は一切みられなかった。
それどころか母は少女に何でも買い与え、様々な習い事にもいかせ、少女は近所で評判の子供となった。
だがおかしいのは少女の姿だ。2年3年もすれば変わるだろう少女の姿は、ここ5年ほど全くかわらなかった。少女も警察もそれを疑っていた。そこへきてこの事件だった。
世間の人はうわさした。
「養子にとった人が魔女だったなんて、かわいそうねえ」
「でも、暴力的な人だったんだもの、むしろ魔女に操られて更生してよかったんじゃない?」
パトカーが自宅に集まり、少女が警察につれていかれるころ、その家の老婆はほくそ笑んでいった。いつもは短い鼻を鷲鼻にして、秘密の杖をてにしながら。
「フフフ、まさか、こんな簡単にひっかかるとはねえ、証拠を残さずに人を操るというのは簡単だ、物理的に隣人を殺したのは母だというのに、ただ、指紋のある証拠を少女に回収させただけさ」
安楽椅子にもたれかかり、ギィギィとゆらす。
「養子なんて、よくあることだというのに、それに、世間の偏見はひどいものだ、魔女というのは、人の命をいただいて楽をして、楽しく若さをたもつものだと、だからずるいと、殺人なんて気にしちゃいない、自分の命じゃなきゃ、けど違うねえ、私は若さを犠牲にして、命をとったのだ、今回だってそうさ、誰もが魔女は自分より若く、楽しい日々を続けていると思うから嫉妬している、その嫉妬心を利用すれば、ずっと長く生きられるのさ、私は、美貌を放りだしても、長くいきたいのさ、どんな優れたものでも、何かを我慢しなきゃ、それをずっと続けるのは難しいのさ」
そして魔女は、傍に倒れている母親の生き血をグラスにうつし、すすった。
1
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる