ケチ・クレーマー

ショー・ケン

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ケチ・クレーマー

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 ある男、ともかく他人や、物事にケチをつけるのが好きだ。そのせいで職を転々としている。周囲もそれをほおっておくので悪化する。だがそうなる理由があった。新卒で入った会社で、上司にあることない事文句をいわれパワハラを受けたので、ストレスの吐き場所がなくなり、ネット空間に、あらゆる企業やタレントなどの不満を垂れる。周囲も止められないし、しかし悪化するばかりだった。

 ある時みかねた友人が彼にあった職人気質の仕事を探そうと彼を合同職業説明会につれていった時のこと、一つのブースに立ち寄りった。親友はうかつだったのだが、彼はそのブースの中に入るなり、ブルブルと震えはじめた。彼は、ゴリラのような企業の社員をみて、発作をおこした。
「も、もう二度とあんたのパワハラを受けない!!俺は、自己防衛の方法を知ったのだ!!俺は、他人より他人の文句を言い続けることで、やっとトラウマから解放されたのだ!!」
 そういって、説明会を飛び出していった。友人は悟った。
(そういえば、彼の言っていたパワハラ上司の特徴と、説明会の社員の顔の特徴がにていたなあ……)

 やがて男はそれから一週間ほど仕事もせず引きこもることになる。見かねた友人が、元気さえ出してくれればと彼の家を訪ねる。ゴミだらけの部屋、ありとあらゆる商品には、文句やクレームの付箋が張られている。
(よわったな)
 二人でネットサーフィンをして、様々な仕事を探す、そしてネットのライターの仕事をみつけ、本当にわずかな利益しか得られないが副業としてどうだとすすめた。すると彼はいった。
「ネットが仕事の差配をするのは、必ず先方のほうに特別利益があるからだ、それにネットニュースなんて、しょうもないものばかり、あんなもので記事を書く人間は恥を感じないのか」
 そこへ、一通のメールが来る。
「私、ネットニュース・評判ドットコム株式会社の○○です、転職情報サイトに登録された情報からご連絡をさせていただきました、あなた様は、職業倫理、社会規範に並外れた知見をお持ちだと伺いました、あなた様の能力を見込んでお願いしたいことがあります、”コンプライアンス・コンサルタント”の仕事にご興味はありませんか?」
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