銀河(ユリース)最弱の賞金稼ぎと、朽ちゆく惑星(ほし)のハンドガン

ショー・ケン

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第一章

迷宮、古代兵器ドルス

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 ふと、カルシュが瞬きをした瞬間。次に目を開けた瞬間に周囲が暗くなった。
「何だ?これ」
 ロジーがいう。
「カルシュ……おもったんだけど、こんな施設自動で明かりがついているはずがないわ、古代施設だもの、いくらなんでもその必要もないし……」
「ええ、ごめんなさい、言おうか迷ってたんだけど、私が立ち入ったときはこんな風に整備されていなかった“何者か”がいると思って間違いない」
「ケヒィ!!」
 その瞬間、松明のようなあかりが一本ちかづいてきて、すぐに離れたのを感じた。カルシュは頬につめたいものを感じ手を伸ばす。匂いを嗅ぐ。
「血だ」
「ねえ、まって!!だれかいる!!」
 そのたいまつの明かりは、やがてどんどんとふえ、5人、10人と増えていった。カルシュはロジーに命じる。
「ロジー、頼む」
「はい!!」
 ロジーは形を変えると、ゴーグルのような姿になった。カルシュがそれを装着する。周りを見渡す、と、周囲にはガラの悪い見るからに盗賊らしきものたちがいる。
「なるほど、アジトだったか」
「どうしたの?」
「暗視モード、だ」
「きゃっ」
 カルシュがサトナの手を握る
「いいから、ついてきて、俺が案内する」
「……」
 その二人の様子を、遠くから見ている影があった。

 迷路のような道を走っていく。
「ねえ、どういけばいいの?」
「一番地下だから、迷路にみえるけど、必ず最後にはたどり着くわ」
 しばらくはしって、サトナが息切れがするというので、カルシュは立ち止まる。
「大丈夫?」
「ええ、それより、もうおってこないかしら」
「まあ、これだけ走れば大丈夫だろう」
 ふと、カルシュが呼吸をととのえ、胸に手を伸ばした瞬間。
“カルシュ・カルシュ……”
 どこかから、声がする。
「なんだ?この声」
“カルシュ……カルシュ”
 カルシュは頭をかきむしる、思い出せ層で思い出せない、この声。どこかで聞いたような。
“カルシュ……私よ”
「はっ!!お前は、そんなはずはない、お前は、キネク!!」
 頭の中に少女の頃のキネクの映像が思い浮かんだ。内側黒色の金髪ショートボブ、素朴で優し気な顔をした少女。
「そうよ、私はキネク……といいたいところだけど、誤解をとくわね、あなたの頭にアクセスして、もっとも愛する人間の記憶をもらったわ、そして再現しているだけ、その声を」
「いったい、何のために!!」
 どうやらカルシュにしか聞こえない声のようだ。カルシュが一人で喋っているようにみえ、サトナは困惑してよびかける。
「??カルシュ……」

 頭の中の声は続ける。
“カルシュ、取引があるの、私をここから出して、自由にして、そうしたらあなたに相応の物を与えましょう”
「相応のものって!!?」
“きっとあなたが喜ぶものよ、あなたの願いの全て”
 そこでカルシュは、ふと、キネクの事を考えた。
「キネク……死んだ人と会話ができるか?」
“ふん、できるわ、それどころか、生き返らせることだって、まあそんなつまらない事でもいいでしょう、はやく私のもとへきなさい、まあそれでも、いくつかの障害をのりこえなければならないのだけど”

 その声が終わるか終わらないかのうちに、カルシュの目の前に見覚えのある老人―村人たちと、村長の姿があらわれた。

 地下―盗賊の首領が、狭い通路をいったりきたりしている―
「くそう……とうとう地下まできやがった、面倒だな……やつら強いし、まあ“特性の軍勢”が負けるとも思えんが……ただ、故障した星間アーマーの修理が間に合わない……いや、何かこういう時に、いい事、いいアイデアが思い浮かべば……」
 ふと、こぶしをくんだ右手と広げた左手をポンとあわせた。
「そうだ!!起死回生だ!」
 何をおもったか、ずんずんとその通路の奥へ進んでいく。その奥には二人の盗賊守衛が、縦にライフルをかまえ門番をしていて、厳重で巨大な鉄扉があった。
「ジャマだ」
 頭領グラッツァが躍り出ると二人の守衛が前にライフルを縦に構えたまま、道をふさぐ。
「何をしている?」
右の守衛「は、頭領のいいつけです、何人も通すなと」
「今は緊急事態だ!!!どけ!!」
左の守衛「しかしながら、この先は危険です、レーザー、矢、落とし穴、ありとあらゆるトラップがあります」
「そんな事はわかっている!!だが、いちかばちかだ、敵の強さをあなどるな」
守衛二人「できません、あなたをなくしたら、私たちはどうすればいいのすか」
「通せ、ならば私一人でしぬのが気に食わねば、お前らもついてこい」
守衛二人「……」
 やがて道を開ける守衛。
「あけろ」
 静かに扉に手をかけ、守衛二人で鉄扉をあけた。そこには、ちょうど牢獄のようなつくりの簡素な部屋に一対の椅子と机。その上に宝箱がおいてあった。
「ああ、この日をいくら待ちわびたことだろう、お前に殺されるなら、このまま死んでも構わない、“古代兵器ドルス”よ」
 そうして彼が思い切って一歩をふみいれた。
《パスン》
 彼の革靴が空気を逃がした音がした。ただ、それだけだった。彼は自分の顔をなでひっぱる。やがてうしろをふりかえりいう。
「みたか?」
 つぎに大きく口をにへら、とゆがませて歯をあらわにした。すべてが金歯のその歯を。おおまたで奥へとすすむ。
《ドスン、ドスン、ドスン!!》
 やがてその机のすぐ前にたどりつき、宝箱の上蓋にてをかけようとした瞬間だった。
《ピィイイン》
 宝箱の中が光ったと思うと、その宝箱の正面の壁から地面に水平の閃光がはしった。グラッツァは、腹部にてをやる。
「な…………」
 やがて、その場にくずれおちた。
「なんなんだ、こりゃーー!!!」
 次の瞬間、またも閃光が走ったかと思うと、彼の体は燃え上がり、やがて、一瞬のうちに炭と化してしまった。

 その宝箱から声が響く。届くものにだけ聞ける声が。
“早く、ここへ、私のもとへ、カルシュ……”
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