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第2話
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東條夏和という生徒は、大人しく真面目で小テストから期末試験まで一番を取るような模範的な生徒だった。中性的な顔立ちをしている事もあって、周りの生徒からは一目置かれる存在だ。
集団を嫌うのかいつも一人で行動していて、時折声を掛けると軽く頭を下げていつも足早に過ぎ去ってしまう。
何となく避けられているのかな、と思っていたが、別段悪い生徒では無かった。
「なにしてんの?」
鋭く冷たい言葉が頭上に刺さる。見下ろす氷のような目にゾッとして全身の血の気が引いていくのが分かった。
***
俺は次の授業で使う道具が見当たらなくて、いまは使われていない廃棄置き場となった体育倉庫まで探しに来ていた。いくら探しても見当たらないので疲れて倉庫の端に座り込む。ふと思い立ってスマホの写真見返した。
俺の高校教師生活での唯一の癒し。
それが上田陽一だった。
俺は密かに上田陽一を想っていた。間違った感情だと言うのは自分でもわかっている。でも、あの人懐っこい笑顔を向けられるとどうしようも無く胸がぎゅう、と締め付けられてしまうのだ。
隠し撮りしていた写真を見返す。少し見切れていたりブレていたりするのもあるけれどどれも宝物だ。その中で一番綺麗に撮れた写真に目を留める。
その写真の中で笑う上田に、胸がぎゅっと締め付けられて、同時に下腹部に熱がこもる。
俺はおもむろにベルトを外して、熱を持ったソレに触れる。
「っ、あ」
声が漏れそになって片手で口を塞ぐ。
「ん、うっ」
声を押し殺しながら自分のモノを上下に擦る。汗ばんできた太ももに張り付くズボンが鬱陶しくなって、パンツと一緒に膝下までずり下げる。
俺は上田の笑っている写真を見ながら、自慰に耽った。
最低だと自分でもわかっている。それでも辞められない自分の卑しさが嫌になる。
そんな事を考えながらも、体の熱は収まらない。むしろいけないことをしているというスリルに、興奮して硬度を増していく。
歳を重ねていっても恋愛対象の年齢が高校生以下から変わらないことに自分でも怖くなっていた。
俺はどうしてこうなんだろう、と思う。
そして、冒頭に戻る。
冷ややかな東條の目は何時もとはまるで別人の様で、恐怖で背に冷や汗が垂れる。
「で、なに?お前って高校生で興奮するくそショタコン野郎なわけ?」
乱暴な言葉をつかって捲し立てるように責める東條に、驚いて唖然とする。東條の感情的になった所を初めて見たからだ。
ち、と舌を鳴らす東條は嫌悪と憎悪の目で俺を睨みつける。俺はゾッとしてびくりと肩を竦めた。
「俺、どうしたらいい?東條、頼む……何でもするから、この事は誰にも言わないでくれ」
「へえ、何でも?」
はっ、と鼻にかけて嘲笑う東條。一瞬見えた口の中の鋭く尖った八重歯か見えた。
そして、俺は東條の言うことは何でもする、という条件でこの失態を黙ってくれるという事になった。
不安はあるが、黙っていてくれる事はとても助かる。こんな事がバレてしまったら、確実に俺の教員人生は終わりだからだ。
けれど、どうして東條は俺の失態を見てこんなにも憎悪しているのに黙ってくれるんだろう、と不思議に思った。
東條は一体、俺に何をさせたいんだろうか――。
何でもする、と言った手前何を言われても断る筋合いは俺には無い。それでも何をさせられるかも分からない恐怖に、不安になって胃がキリキリと痛くなった。
集団を嫌うのかいつも一人で行動していて、時折声を掛けると軽く頭を下げていつも足早に過ぎ去ってしまう。
何となく避けられているのかな、と思っていたが、別段悪い生徒では無かった。
「なにしてんの?」
鋭く冷たい言葉が頭上に刺さる。見下ろす氷のような目にゾッとして全身の血の気が引いていくのが分かった。
***
俺は次の授業で使う道具が見当たらなくて、いまは使われていない廃棄置き場となった体育倉庫まで探しに来ていた。いくら探しても見当たらないので疲れて倉庫の端に座り込む。ふと思い立ってスマホの写真見返した。
俺の高校教師生活での唯一の癒し。
それが上田陽一だった。
俺は密かに上田陽一を想っていた。間違った感情だと言うのは自分でもわかっている。でも、あの人懐っこい笑顔を向けられるとどうしようも無く胸がぎゅう、と締め付けられてしまうのだ。
隠し撮りしていた写真を見返す。少し見切れていたりブレていたりするのもあるけれどどれも宝物だ。その中で一番綺麗に撮れた写真に目を留める。
その写真の中で笑う上田に、胸がぎゅっと締め付けられて、同時に下腹部に熱がこもる。
俺はおもむろにベルトを外して、熱を持ったソレに触れる。
「っ、あ」
声が漏れそになって片手で口を塞ぐ。
「ん、うっ」
声を押し殺しながら自分のモノを上下に擦る。汗ばんできた太ももに張り付くズボンが鬱陶しくなって、パンツと一緒に膝下までずり下げる。
俺は上田の笑っている写真を見ながら、自慰に耽った。
最低だと自分でもわかっている。それでも辞められない自分の卑しさが嫌になる。
そんな事を考えながらも、体の熱は収まらない。むしろいけないことをしているというスリルに、興奮して硬度を増していく。
歳を重ねていっても恋愛対象の年齢が高校生以下から変わらないことに自分でも怖くなっていた。
俺はどうしてこうなんだろう、と思う。
そして、冒頭に戻る。
冷ややかな東條の目は何時もとはまるで別人の様で、恐怖で背に冷や汗が垂れる。
「で、なに?お前って高校生で興奮するくそショタコン野郎なわけ?」
乱暴な言葉をつかって捲し立てるように責める東條に、驚いて唖然とする。東條の感情的になった所を初めて見たからだ。
ち、と舌を鳴らす東條は嫌悪と憎悪の目で俺を睨みつける。俺はゾッとしてびくりと肩を竦めた。
「俺、どうしたらいい?東條、頼む……何でもするから、この事は誰にも言わないでくれ」
「へえ、何でも?」
はっ、と鼻にかけて嘲笑う東條。一瞬見えた口の中の鋭く尖った八重歯か見えた。
そして、俺は東條の言うことは何でもする、という条件でこの失態を黙ってくれるという事になった。
不安はあるが、黙っていてくれる事はとても助かる。こんな事がバレてしまったら、確実に俺の教員人生は終わりだからだ。
けれど、どうして東條は俺の失態を見てこんなにも憎悪しているのに黙ってくれるんだろう、と不思議に思った。
東條は一体、俺に何をさせたいんだろうか――。
何でもする、と言った手前何を言われても断る筋合いは俺には無い。それでも何をさせられるかも分からない恐怖に、不安になって胃がキリキリと痛くなった。
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