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憎奪戦争編
予想外の事は起こるもの
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【冒険者ギルド】
聖騎士勇者隊と合流した三姉妹とコハラコ、ヨシュア、エルデスは…双子姉妹とエリエス、アテナと落ち合うために冒険者ギルドに寄った
「待ってたわ!」
「来たわねエルフっ娘♪」
三姉妹たちを出迎えた声はシェリーだ
横にシャルルとガルダンも居る。ホロワーズも来てくれている。更にエリエスも居るのだが…何やら様子がおかしい…
「あの…ごめんなさい。お祖母様なのですが…王都クラウンでの連戦と、前回の古代遺跡での戦いが腰に来て……ぎっくり腰になってしまわれて…申し訳ないですが、今回は不参加になると…」
「そうなんですの?でしたら、今回の再突入が無事に終わりましたらアテナ様の元に伺って看病しましょうか?」
「ありがとうございます!サーシャちゃんに見てもらえたら…お祖母様も少しは良くなるかも知れませんね」
「しっかし、舞闘女神の不参加は厳しいな」
「そうだね。Sランクの者でも息を飲む強さだからね…ダンジョン攻略、難しくなったかな?」
【生ける伝説】とまで言われるエリエスの祖母アテナの強さは最上位階級であるSランクの、更に上だと言われているから、ヨシュアとアドルの心配も理解できる
だが、その事よりも先にアテナの身体を心配するサーシャは、やはり優しい少女だった。その事はエリエスも気になっていたので、彼女の言葉に救われたようだ
「予想外の事は起こるものさ…でも、半幽半霊体(アストラバディ)やミオランダと戦闘をして、わたし達も強くなってるから…まだ悲観する事はないと思うよ」
「ほー」
「ふむふむ」
「なるほどねぇ」
まだまだ人見知りが完全には改善されないカルーア。その彼女が、こんな生命の危険なクエストで大きな事を言うのは非常に珍しい。それだけに、その2戦で得たモノの大きさに自信が有る!とカルーアの表情(カオ)が物語っていた
「それじゃあ行きましょうか?私(ワタクシ)もヒイロくんに直してもらったベイオネットを試してみたくて、ウズウズしていますからね♪」
王都クラウンの専属聖騎士であるミャンジャム。普段はその役職に恥じない丁寧な口調なのだが…戦闘が絡むと人が変わるのは相変わらずの様だ
舞闘女神を欠いた以外は、前回と同じメンバーで再び西の古代遺跡ダンジョンを目指し、彼らは冒険者ギルドを後にした
【アルバート家】
「ヒイロさん…コーヒーで…良いですか?」
「あぁ、ありがとう。頼むよ」
アルバート家には、三姉妹が冒険者ギルドに行く前に【サメ焼き屋】によって、クエストの間ヒイロの世話を頼まれたミルが戻っていて、甲斐甲斐しくヒイロの面倒を見てくれていた
「なぁミル…」
「何でしょうか?」
「その服は気に入っているのか?」
「はい…コーヒーです。…そうですね…サーシャさんが…時々買ってくれるんです…嬉しくてボク…」
(どう見ても女の子用の服なんだが…まぁ、ミルが嬉しいのならソレで良いか…)
ミルはヒイロの向かい合わせに座り、一緒にコーヒーを飲んでいる。まだ若いミルは砂糖とミルクたっぷりだ
(…にしてもミルのこの格好…知らない人が見たら…街の鍛冶師の良い年したお兄さんがショタの子に女装させて、喜んでいる変態野郎だと思われてもおかしくないよな…)
3日ほどサメ焼き屋を手伝いに行っていたミルが帰って来たのだが…改めて見ると…ミルがサーシャより年下の女の子に見えて仕方ないヒイロ
「帰ってきてもらって何だが…珍しく仕事が無くてな…コレといってしてもらう事も無いんだ」
「良いんですよ…ヒイロさんのご飯を作ったり…洗濯したり…してるだけでも…なんなら…一緒にお風呂入りますか?」
「( ゚∀゚):∵ぶほっ!?」
ここ数日、寿命延命の為とは言え、サーシャから過度なスキンシップをされまくった直後で、カルーアたちの留守に正直20歳のヒイロは滾るエナジーの処理に苦労する所なのだが…そこに、そんなセリフを可愛いミルから言われると間違いを犯しかねないヒイロだった
「ピンポーン!」
その時、来客を知らせるチャイムが鳴った
「あれ?誰だろう?」
「ボクが…出ますね…」
修理の依頼が珍しく無い状況で、この街の猛者の冒険者たちも古代遺跡ダンジョンへ向かった。この状況で鍛冶屋のヒイロの家を訪ねて来る者に、全く心当たりがなかった
「キミがヒイロ君だね。私はロベルト・アルバート。キミの義父の弟だ」
「義父の弟さん!?」
義父に遠い田舎に残してきた母親と弟が居ることは、話には聞いていたヒイロだったが…義父は親の反対を押し切り冒険者になる為に家を出た!
と聞いていたので、まさか義父の家族と逢う日が来るとは予想もしていなかった
「コーヒーです…どうぞ…」
「ミル君だったね。ありがとう、頂くよ」
ロベルトはミルが用意したコーヒーを飲む
彼がひと息ついたのを確認し、話し出すヒイロ。彼は大人だった。ミルは確かに可愛いが、じっくり見れば男なのは理解できる。しかし、敢えてソコには触れないでいてくれる
「あの…今回は俺にどういったご要件でしょうか?…こう言っては何ですが…何かあるこそ今さら訪ねて来られたんですよね?」
「ヒイロ君。キミは賢く育ったようだね。その通りだ。私はマリニウム国で王家の方々のお世話をさせていただいている者の1人なのだが…今回、王子の成人式が迫っていてね。彼の父親、つまり国王が我々に言ったんだ」
「息子の成人式に立派な武具を送りたい。むろん名工の業物(ワザモノ)を送りたいが、新たな時代を背負う息子には他所では見ない物が欲しい」
「…とね。他国の王家の人達が持たない業物(ワザモノ)……そうか!ソレを俺に作れと?」
「その通りだヒイロ君!キミは王族に武具を献上した事は無いだろう?…しかし、キミの腕は王都クラウンの名工【ヘパイトス様】が居るこの街でも、彼に迫る程の腕前だと聞いた
業物(ワザモノ)でありながら他所では見ない物。キミに頼むのが最適だと考えた。どうだろう、王子の為に作ってもらえないだろうか?」
今回マリニウム地方で起こりつつある騒動は、珍しくアルバート家の者たちを巻き込まないかと思われたが…意外な形で向こうから歩み寄って来た
戦闘員では鍛冶師としての助力を頼まれれば、ヒイロとしてはその申し出を断る理由は無いのだが…果たして彼のこの先に待つものは?
続く
聖騎士勇者隊と合流した三姉妹とコハラコ、ヨシュア、エルデスは…双子姉妹とエリエス、アテナと落ち合うために冒険者ギルドに寄った
「待ってたわ!」
「来たわねエルフっ娘♪」
三姉妹たちを出迎えた声はシェリーだ
横にシャルルとガルダンも居る。ホロワーズも来てくれている。更にエリエスも居るのだが…何やら様子がおかしい…
「あの…ごめんなさい。お祖母様なのですが…王都クラウンでの連戦と、前回の古代遺跡での戦いが腰に来て……ぎっくり腰になってしまわれて…申し訳ないですが、今回は不参加になると…」
「そうなんですの?でしたら、今回の再突入が無事に終わりましたらアテナ様の元に伺って看病しましょうか?」
「ありがとうございます!サーシャちゃんに見てもらえたら…お祖母様も少しは良くなるかも知れませんね」
「しっかし、舞闘女神の不参加は厳しいな」
「そうだね。Sランクの者でも息を飲む強さだからね…ダンジョン攻略、難しくなったかな?」
【生ける伝説】とまで言われるエリエスの祖母アテナの強さは最上位階級であるSランクの、更に上だと言われているから、ヨシュアとアドルの心配も理解できる
だが、その事よりも先にアテナの身体を心配するサーシャは、やはり優しい少女だった。その事はエリエスも気になっていたので、彼女の言葉に救われたようだ
「予想外の事は起こるものさ…でも、半幽半霊体(アストラバディ)やミオランダと戦闘をして、わたし達も強くなってるから…まだ悲観する事はないと思うよ」
「ほー」
「ふむふむ」
「なるほどねぇ」
まだまだ人見知りが完全には改善されないカルーア。その彼女が、こんな生命の危険なクエストで大きな事を言うのは非常に珍しい。それだけに、その2戦で得たモノの大きさに自信が有る!とカルーアの表情(カオ)が物語っていた
「それじゃあ行きましょうか?私(ワタクシ)もヒイロくんに直してもらったベイオネットを試してみたくて、ウズウズしていますからね♪」
王都クラウンの専属聖騎士であるミャンジャム。普段はその役職に恥じない丁寧な口調なのだが…戦闘が絡むと人が変わるのは相変わらずの様だ
舞闘女神を欠いた以外は、前回と同じメンバーで再び西の古代遺跡ダンジョンを目指し、彼らは冒険者ギルドを後にした
【アルバート家】
「ヒイロさん…コーヒーで…良いですか?」
「あぁ、ありがとう。頼むよ」
アルバート家には、三姉妹が冒険者ギルドに行く前に【サメ焼き屋】によって、クエストの間ヒイロの世話を頼まれたミルが戻っていて、甲斐甲斐しくヒイロの面倒を見てくれていた
「なぁミル…」
「何でしょうか?」
「その服は気に入っているのか?」
「はい…コーヒーです。…そうですね…サーシャさんが…時々買ってくれるんです…嬉しくてボク…」
(どう見ても女の子用の服なんだが…まぁ、ミルが嬉しいのならソレで良いか…)
ミルはヒイロの向かい合わせに座り、一緒にコーヒーを飲んでいる。まだ若いミルは砂糖とミルクたっぷりだ
(…にしてもミルのこの格好…知らない人が見たら…街の鍛冶師の良い年したお兄さんがショタの子に女装させて、喜んでいる変態野郎だと思われてもおかしくないよな…)
3日ほどサメ焼き屋を手伝いに行っていたミルが帰って来たのだが…改めて見ると…ミルがサーシャより年下の女の子に見えて仕方ないヒイロ
「帰ってきてもらって何だが…珍しく仕事が無くてな…コレといってしてもらう事も無いんだ」
「良いんですよ…ヒイロさんのご飯を作ったり…洗濯したり…してるだけでも…なんなら…一緒にお風呂入りますか?」
「( ゚∀゚):∵ぶほっ!?」
ここ数日、寿命延命の為とは言え、サーシャから過度なスキンシップをされまくった直後で、カルーアたちの留守に正直20歳のヒイロは滾るエナジーの処理に苦労する所なのだが…そこに、そんなセリフを可愛いミルから言われると間違いを犯しかねないヒイロだった
「ピンポーン!」
その時、来客を知らせるチャイムが鳴った
「あれ?誰だろう?」
「ボクが…出ますね…」
修理の依頼が珍しく無い状況で、この街の猛者の冒険者たちも古代遺跡ダンジョンへ向かった。この状況で鍛冶屋のヒイロの家を訪ねて来る者に、全く心当たりがなかった
「キミがヒイロ君だね。私はロベルト・アルバート。キミの義父の弟だ」
「義父の弟さん!?」
義父に遠い田舎に残してきた母親と弟が居ることは、話には聞いていたヒイロだったが…義父は親の反対を押し切り冒険者になる為に家を出た!
と聞いていたので、まさか義父の家族と逢う日が来るとは予想もしていなかった
「コーヒーです…どうぞ…」
「ミル君だったね。ありがとう、頂くよ」
ロベルトはミルが用意したコーヒーを飲む
彼がひと息ついたのを確認し、話し出すヒイロ。彼は大人だった。ミルは確かに可愛いが、じっくり見れば男なのは理解できる。しかし、敢えてソコには触れないでいてくれる
「あの…今回は俺にどういったご要件でしょうか?…こう言っては何ですが…何かあるこそ今さら訪ねて来られたんですよね?」
「ヒイロ君。キミは賢く育ったようだね。その通りだ。私はマリニウム国で王家の方々のお世話をさせていただいている者の1人なのだが…今回、王子の成人式が迫っていてね。彼の父親、つまり国王が我々に言ったんだ」
「息子の成人式に立派な武具を送りたい。むろん名工の業物(ワザモノ)を送りたいが、新たな時代を背負う息子には他所では見ない物が欲しい」
「…とね。他国の王家の人達が持たない業物(ワザモノ)……そうか!ソレを俺に作れと?」
「その通りだヒイロ君!キミは王族に武具を献上した事は無いだろう?…しかし、キミの腕は王都クラウンの名工【ヘパイトス様】が居るこの街でも、彼に迫る程の腕前だと聞いた
業物(ワザモノ)でありながら他所では見ない物。キミに頼むのが最適だと考えた。どうだろう、王子の為に作ってもらえないだろうか?」
今回マリニウム地方で起こりつつある騒動は、珍しくアルバート家の者たちを巻き込まないかと思われたが…意外な形で向こうから歩み寄って来た
戦闘員では鍛冶師としての助力を頼まれれば、ヒイロとしてはその申し出を断る理由は無いのだが…果たして彼のこの先に待つものは?
続く
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