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冒険と成長の三姉妹

アリス VS エリエス

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【アルバート家 中庭】
ヒイロはアリスに長さの違う2本の剣を渡した

「短い剣もミスリルで作っておいたぞ。この2本で戦えば、少しは戦力差も埋まるだろう」

「お兄ちゃん、ありがとう!これなら、良い勝負が出来そうだわ!」

一般の冒険者は余裕のある者でも、鋼製の武器を使っている
その上が【ミスリル】
その上が【クレリア】
魔法付与に特化した【アダマンタイト】
最上級が【オリハルコン】とされている

鋼からワンランク上に行く毎に、値段も跳ね上がって行くので、【ミスリル】製の武器なら本来かなり優位なのだが…

「へぇー、貴方2本もミスリルの剣を持ってるのね…やるじゃない!でもね…エクスカリバー・エリエスcustomは、伝説級の武器だって事を教えてあげる♪出ておいで、ロマーニャ!」
 

エリエスがエクスカリバーに語りかけると、剣から光の霧が吹き出した,やがてソレは人の形を成した。20代半ばくらいの美女が浮かんでいる

「皆さま初めまして、エクスカリバーの精霊【ロマーニャ】と申します。宜しくお願いしますね」

そう言うと、ニコリと笑みを浮かべ、エクスカリバーの中に戻って行った

「い、今のは何ですの?」

「まさか!精霊を宿しているのか?価値で言えば、アダマンタイトやボクのクレリアより更に上の剣だ!……その存在は聞いてはいたけど、ボクも見るのは初めてだよ」

各地を冒険してまわったアドルですら、見るのは初めてと言う超レアな剣だった

「ふふん!驚いたかしら?驚いたわよね!ロマーニャは戦闘中に私のサポートをしてくれるのよ!ミスリル程度では足元にも及ばないわ!」

実際、彼女が言うようにとんでもない一品だ
国宝級として扱われてもおかしくない

「アリスお姉さま、剣にヒールを付与しておきますの。これで戦闘中に、オートでいくらか回復してくれますの」

「ありがとうねサーシャ、…行ってくるね」

「装備では圧倒的にアリスが負けているな。剣に宿る程の精霊だ、かなりのチカラを秘めているに違いない!」

そう、ヒイロの予想は当たっている
工房の裏庭で、2人は向き合った

「致命傷を与える攻撃はNGとするよ。殺戮ではなく勝負だからね、もちろん降参も有りだからね…では、始め!」

アドルの掛け声とともに、2人は飛び込んだ
かなり洗練されてきている、アリスの2太刀の攻撃をエリエスは確実に防いでいる

「ヒイロ君、アリスちゃんは相当厳しいよ。向こうは2人の目で、攻撃を見ているからね」

アドルの言うように、アリスがトリッキーな動きで、エリエスの側面や背後から攻撃してもエリエスはキチンと回避している

「何で見えてない位置からの攻撃でも、回避出来ますの?」

「たぶん、ロマーニャって精霊が剣の位置から見える情報を、エリエスに教えてるんだと思うよ」

実際エリエスは、側面や背後にも目が付いているかのようにアリスの攻撃をかわしていた
数分後、披露からアリスの動きは鈍り始めたがエリエスの動きは変わらない

「剣からエリエスに、エネルギーが送られているみたいだね…これは実質2対1の戦いだね」

精霊のチカラで、見えないチカラを分析しているカルーア。恐らくその通りなのだろう
次第にアリスは追い込まれ始めた
手や足を何ヶ所か斬られ始めている

「ウゥゥゥ…」

アリスの負傷に、ハイラが唸り声をあげている
アリスに加勢に動こうとした時

「そこで見ておれ!」

ハイラはヘパイトスに一喝された。まるで蛇に睨まれた蛙(カエル)の様に、その場から動けなくなったハイラ

「アリス!あのチカラを使え!」

「分かった、お兄ちゃん!」

(あのチカラ?何か隠し技が?)
エリエスは用心して距離を取った

「うぅぅ…wryyyyyyyyyy!」

アリスは【ヴォイドゥルフ】化した!激的に飛躍したアリスのスピードとパワー

「な、何ですの、コレは!?」

流石のエリエスも気が動転したようだ。アリスの勢いの強い攻撃に、彼女も一般の少女の様にアリスに背を向けて回避した
アリスはエリエスの背後を取った!コレで勝負が付いた!

「キィヤァァ!」

完全に背後を取ったアリスだったが、エリエスは振り返りもせずに、攻撃するアリスを的確に攻撃して倒した…アリスに勝ったエリエス自身が驚いていた

「そういう事だね…」

「どういう事なんですの?」

「最後にアリスを攻撃したのは、エリエスじゃなくてロマーニャだ。って事さ」

アリスも獣化した状態でも、少し理性を残して戦える様になっていたが今回の相手は悪過ぎたようだ
ヘパイトスはエリエスに近付いた

「分かったかエリエス?世界は広い。お前1人では敵わない者も、まだまだ沢山居るという事じゃ」

「はい、分かりました…」

剣の性能で勝ちを拾ったエリエスにも、もしも今回、同じ性能の武器なら負けていた事を認めた。彼女は悔しさのあまり、目に涙を浮かべていた



続く
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