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イシス王国&ドルイド王国編
戦乱の予感
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【イシス王国北西の樹海】
「どうだ、何か発見出来たか?」
「いえ、特に何も見当たりません」
樹海の森を探索していてたのは、シュバッツ家当主【アイザー・シュバッツ】率いる王宮騎士主力の第1部隊だった
「ベイ・ガウザー配下の魔族たちが怪しい動きを見せている。との通報が最近多いからな…奴が攻めてくるなら、勇者アドルが帰還しているこのタイミングが危ないと思ったのだが…気にし過ぎたか?」
アイザーの予感は当たっていた
5年前、彼等が攻めて来た時はこの樹海から軍勢の本体を移動させて来ていた。攻めてくるなら、この樹海を使わない筈はない!と読んでいたのだ
「アイザー様!」
「どうした?何か見つけたか?」
「そこの切り株の所に、ハーピーが…」
騎士の1人が切り株に腰掛けているハーピーを見つけた
「人間のお兄さん、私たちの歌…聴いて…」
近くにもハーピーは2体居た
彼女達はアイザー達の返事を待たずに、甘く澄んだ音色を奏で始めた。魔族の動向を探りに来ていた彼等の緊張は、ハーピー達の音色で癒されていた
「これがハーピーの歌声ですか…素敵ですね…疲れがとれて…だんだん…眠く…」
「何!?…あっ!?みんな聞くんじゃない!コレは眠りの歌声だ!」
ヒーラーの言葉で催眠ヴォイスと気が付いたアイザーだったが…既に遅かった。騎士たちの半分以上が既に夢の中に居た
「貴様ら…ベイ・ガウザーに味方するのか…」
「……彼は私たちに住処(すみか)を提供してくれたわ…それに、商売目的で何度か人間達に、仲間が連れ去られているの。だから…彼らの為にゆっくり眠っててちょうだい」
……………………………………………
「ソイツらは寝たか?」
「はい、ベイ様。彼らはしばらくは目覚められません」
「良くやったな、俺が帰るまでソイツらが起きない様に歌い続けていてくれ」
「分かりましたわ」
そのやり取りを聞いていた、若い魔族の戦士長がアイザーに質問した
「殺さないのですか?今なら楽にヤレますが…」
「ソイツは5年前、この俺とサシで互角の勝負をした男だ。イシス城を落としたら叩き起こして、サシで決着を付けねばならんのだ!」
「承知しました!」
【貪欲の将】と呼ばれるアイザーは強さやスキルだけでなく、純粋な勝利にも貪欲だった
「予定地点まで、後どのくらいだ?」
「はい、あと30分程です」
アイザー達を眠らせてユーカ達から隔離することに成功したベイ達は、イシス城を陥落する為に部隊を移動させていた
【イシス謁見の間】
食事を終えたユーカ達は、アドル達を謁見の間に連れて行った
「お食事は口に合いましたか?…それは良かったです……アドル様、不躾ですが後で私と手合わせしてくださいませんか?」
戦士タイプの王女ユーカは、この5年で成長した自分をアドルに見て欲しいので、中庭での勝負を提案した
「アイカワラズね…カンガエルより、コウドウテキなのはカワラナイのね…」
ユーカの発言や素振りを見ていたリリアは、ボソッと呟きため息をついていた
「だっから!ユーカは王女だって言ってるだろ?大怪我したらどうするんだ?アドルさん、実力はコイツとほぼ同じの俺が代わりにやります」
「何言ってんのよ!稽古じゃほぼ互角だけど、私が本気でアドル様とヤリたいの!」
リリアがため息をついてしまうほど、ユーカのお転婆ブリは大概だった
「皆さん、ごめんなさい。兄とユーカちゃんは、いつもこんな感じなんです(汗)」
「アドルぅ、怪我させたら可哀想だから、代わりにアタシがやろうかぁ?」
「ははは、大丈夫だよ」
最近メキメキ上達していて、新しく氷結のスキルまで手に入れたアリスは、少々自信が付いてきたようだ。記憶をなくしているアドルの代わりに戦おうか?と提案する
「チェイムさんだっけ?身内に手のかかる人が居ると、お互い苦労するね…」
「はぁ……全くですね」
カルーアにしては珍しく、チェイムとは初対面ながらも気が合いそうな感じだったのが…
「んあっ!?…待って!何だい…この、高い魔力反応は…デカ過ぎる!…まるで、この城を落とす気なのか?」
城から近い位置に、尋常ではない膨大な魔力を感知したカルーア。彼女の声に反応した皆は一斉に窓の外に視線を飛ばした
「アソコよ、マゾクのグンゼイがナニかしているわ!」
カルーアと同じくらい高い魔力感知を持つリリアが、遠方に見える高台を指さした。ソコには数十人の魔族がいた
「あっ!?カレは…ベイ・ガウザー…」
「なんですって?チェイム!【拡張音域(ワールドヴォイス)】で緊急戦闘用意を呼びかけて!」
「ふっふっふ…今日こそ消えろ。イシス!爆縮熱波(バウルドネイド)!!」
ベイ・ガウザーは、その周りに10人の魔導師達を配置しており、彼等から供給された魔力を結集し特大の破壊魔法をイシス城に向けて放った!!
「ウソ!アレは…キンジュキュウだわ!」
リリアはすぐさま、ベイ・ガウザーと城との直線上に巨大な魔法結界を張った。その後に続き城の守備隊の魔道士たちも結界に魔力を注ぐ。ぶつかり合う2つの魔法!
「ダメ!もう、もたない!」
ベイ・ガウザーの放った禁呪がリリアの張った結界を破り、イシス城を目掛けて飛んで来る
続く
「どうだ、何か発見出来たか?」
「いえ、特に何も見当たりません」
樹海の森を探索していてたのは、シュバッツ家当主【アイザー・シュバッツ】率いる王宮騎士主力の第1部隊だった
「ベイ・ガウザー配下の魔族たちが怪しい動きを見せている。との通報が最近多いからな…奴が攻めてくるなら、勇者アドルが帰還しているこのタイミングが危ないと思ったのだが…気にし過ぎたか?」
アイザーの予感は当たっていた
5年前、彼等が攻めて来た時はこの樹海から軍勢の本体を移動させて来ていた。攻めてくるなら、この樹海を使わない筈はない!と読んでいたのだ
「アイザー様!」
「どうした?何か見つけたか?」
「そこの切り株の所に、ハーピーが…」
騎士の1人が切り株に腰掛けているハーピーを見つけた
「人間のお兄さん、私たちの歌…聴いて…」
近くにもハーピーは2体居た
彼女達はアイザー達の返事を待たずに、甘く澄んだ音色を奏で始めた。魔族の動向を探りに来ていた彼等の緊張は、ハーピー達の音色で癒されていた
「これがハーピーの歌声ですか…素敵ですね…疲れがとれて…だんだん…眠く…」
「何!?…あっ!?みんな聞くんじゃない!コレは眠りの歌声だ!」
ヒーラーの言葉で催眠ヴォイスと気が付いたアイザーだったが…既に遅かった。騎士たちの半分以上が既に夢の中に居た
「貴様ら…ベイ・ガウザーに味方するのか…」
「……彼は私たちに住処(すみか)を提供してくれたわ…それに、商売目的で何度か人間達に、仲間が連れ去られているの。だから…彼らの為にゆっくり眠っててちょうだい」
……………………………………………
「ソイツらは寝たか?」
「はい、ベイ様。彼らはしばらくは目覚められません」
「良くやったな、俺が帰るまでソイツらが起きない様に歌い続けていてくれ」
「分かりましたわ」
そのやり取りを聞いていた、若い魔族の戦士長がアイザーに質問した
「殺さないのですか?今なら楽にヤレますが…」
「ソイツは5年前、この俺とサシで互角の勝負をした男だ。イシス城を落としたら叩き起こして、サシで決着を付けねばならんのだ!」
「承知しました!」
【貪欲の将】と呼ばれるアイザーは強さやスキルだけでなく、純粋な勝利にも貪欲だった
「予定地点まで、後どのくらいだ?」
「はい、あと30分程です」
アイザー達を眠らせてユーカ達から隔離することに成功したベイ達は、イシス城を陥落する為に部隊を移動させていた
【イシス謁見の間】
食事を終えたユーカ達は、アドル達を謁見の間に連れて行った
「お食事は口に合いましたか?…それは良かったです……アドル様、不躾ですが後で私と手合わせしてくださいませんか?」
戦士タイプの王女ユーカは、この5年で成長した自分をアドルに見て欲しいので、中庭での勝負を提案した
「アイカワラズね…カンガエルより、コウドウテキなのはカワラナイのね…」
ユーカの発言や素振りを見ていたリリアは、ボソッと呟きため息をついていた
「だっから!ユーカは王女だって言ってるだろ?大怪我したらどうするんだ?アドルさん、実力はコイツとほぼ同じの俺が代わりにやります」
「何言ってんのよ!稽古じゃほぼ互角だけど、私が本気でアドル様とヤリたいの!」
リリアがため息をついてしまうほど、ユーカのお転婆ブリは大概だった
「皆さん、ごめんなさい。兄とユーカちゃんは、いつもこんな感じなんです(汗)」
「アドルぅ、怪我させたら可哀想だから、代わりにアタシがやろうかぁ?」
「ははは、大丈夫だよ」
最近メキメキ上達していて、新しく氷結のスキルまで手に入れたアリスは、少々自信が付いてきたようだ。記憶をなくしているアドルの代わりに戦おうか?と提案する
「チェイムさんだっけ?身内に手のかかる人が居ると、お互い苦労するね…」
「はぁ……全くですね」
カルーアにしては珍しく、チェイムとは初対面ながらも気が合いそうな感じだったのが…
「んあっ!?…待って!何だい…この、高い魔力反応は…デカ過ぎる!…まるで、この城を落とす気なのか?」
城から近い位置に、尋常ではない膨大な魔力を感知したカルーア。彼女の声に反応した皆は一斉に窓の外に視線を飛ばした
「アソコよ、マゾクのグンゼイがナニかしているわ!」
カルーアと同じくらい高い魔力感知を持つリリアが、遠方に見える高台を指さした。ソコには数十人の魔族がいた
「あっ!?カレは…ベイ・ガウザー…」
「なんですって?チェイム!【拡張音域(ワールドヴォイス)】で緊急戦闘用意を呼びかけて!」
「ふっふっふ…今日こそ消えろ。イシス!爆縮熱波(バウルドネイド)!!」
ベイ・ガウザーは、その周りに10人の魔導師達を配置しており、彼等から供給された魔力を結集し特大の破壊魔法をイシス城に向けて放った!!
「ウソ!アレは…キンジュキュウだわ!」
リリアはすぐさま、ベイ・ガウザーと城との直線上に巨大な魔法結界を張った。その後に続き城の守備隊の魔道士たちも結界に魔力を注ぐ。ぶつかり合う2つの魔法!
「ダメ!もう、もたない!」
ベイ・ガウザーの放った禁呪がリリアの張った結界を破り、イシス城を目掛けて飛んで来る
続く
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