ようこそ幼い嫁候補たち ①

龍之介21時

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イシス王国&ドルイド王国編

試されるユウキ

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【喫茶ジュゴン】
フレメイル兄妹、アリスとアドルが【誓いの丘】に出掛けているので、この場に強者が不在だ。そんな中、喫茶店の店長が強面の男に脅されている現場に出くわした
モワーフ族のミモフが「店長を離すでしゅ!」と言いながらポカポカ殴っているが、まるで痛くもないようだ

「優輝、あの男…傭兵崩れか、元騎士だよ」

姿を消しているミクイが、優輝の耳元で他に聞こえない様に話しかけたが…

(なんだ?こんな光景…見覚えが…いつだったか……そうだ、日本に居た頃たまに遭遇した…)

優輝は【消去の魔女】に日本での記憶を提供した為、向こうでの記憶が薄れつつあったが…似た光景に強い想いがあるのか?日本で平凡な自分が困っている人を見かけても、見て見ぬふりをし続けた事を思い出した
(そうだよ、仕方ないじゃないか。「君子危うきに近寄らず」って言うじゃないか、こういう揉め事には関わらない方が…)

「……はぁwどちらの世界でも、ほとんどの人は必死で頑張ってるんだよ?たまたま転生者に選ばれただけで変われるの?甘ちゃんね、とんだ甘ちゃんだわ!虫唾が走る!!」

優輝は平凡な日本人少年でいた時の感覚から、目の前の揉め事を見ないようにしようとしたのだが……以前【消去の魔女】に言われた言葉が脳裏を掠めた

「ミモフを離せ!」
「離せよォ!」

強面の男に掴まれたミモフ。それを見てマモフとメモフが、男にポカポカ殴り掛かる。しかし、非力なモワーフ族の子供が2人がかりでポカポカしても、男は微動だにしなかった

「なんだテメーら!邪魔なんだよ!」

男はマモフとメモフを蹴り飛ばした。その状況でも動かない優輝を見たカルーアは、深いため息を吐いた

「本当にポンコツ勇者だねキミは、意気地無しにも程があるよ。そんなんで大切な人は守れないよ…」
 

「真の勇者と呼ばれる人って、強さも必要だろうとは思うけどさ…何よりも芯の強さが必要なんじゃないのかい?他人のフリなんて…勇者と呼ばれる者がする事じゃないだろ!!」

カルーアの攻撃手段は魔法と弓。どちらも狭い店内では、人助けをしながらの戦闘には不向きだ。もちろんサーシャのハンマーも同じだ

ソードを持つ優輝に期待したが、彼は地上げ屋の様な男の迫力に呑まれて身動き1つもしなかった
非力なミモーフ族の女の子でさえ、信じた正義を貫く為に戦っている。その様子を目の当たりにしても動けない優輝の心の弱さに呆れたカルーアは、自らが立ち上がる決意をした時だった

「そうだ!反則的なスキルとか、他者を圧倒する戦闘力とか…そういうのじゃ無かった。俺は何よりも心が弱いんだ…必要なのは、成し遂げる勇気なんだ!!」

弱い自分の心を振り払うかのように、優輝は心の中で叫んだ!男はミモフの首根っこを掴み、彼女をよく観た

「コイツ、希少種のモワーフ族か?…よく分からんが…メスなんじゃねーのか?…こりゃツイてるぜ。コイツを売れば大金持ちだ!ヒャッハー♪」

その言葉にカルーアとサーシャがキレそうになった。不利な店内とは分かっていたが、助ける為に動こうとした時……

「待て!その子を離せ!その子は俺の友達だ!乱暴は許せない!!」

「…なんだ今頃、優男(やさおとこ)がかっこつけんな!足震えてんしゃねーか(笑)」

「くっ………やかましいわっ!」

優輝はソードを抜き、男に突っ込んで行った



【お礼のミルクアイスとドリンクセット】
店長はみんなに店の名物を振る舞ってくれた。動きの硬かった優輝は、多少の怪我を負ったものの男を撃退した
男が玄関から逃げようとした所にドレイクがやって来た。男はドレイクに片手1本で持ち上げられ、店の天井に頭を擦り付けられながら「次にこの街で見掛けたら、自分で飯も食えない身体にしてやるから良く覚えておけよ!」
そう言われ放り投げられると、10メートル以上先に背中から落ちた

臥龍兵の大隊長に目をつけられた地上げ屋風の男は、大声で謝罪しながら逃げて行った

「お兄さん、ありがとでしゅ」

勇気を奮い立たせた優輝は、チカラが抜けたのか?その場に座り込んだ。ミモフは優輝の手を掴み上下にブンブンさせて、感謝の言葉を言っていた

「ははは…カッコ良くは無かったけどね…」

「小便チビった?」

「チビってねーから!」

カモフラージュを解いたミクイが、優輝を覗き込みからかう様な笑顔を魅せた

「ちょび~~~っと、見直したよ(笑)」

座り込んでいる優輝の頭を撫で撫でしながら、彼の勇気を褒めたカルーア

「お、俺だって男だからな…」

いっちょ前の事を言う優輝を、ミクイは更にからかう

「頑張ったご褒美にチューしてあげよか?」
 

「ちゅ、チュー!?」

「コイツ…童貞だな…」

「童貞だね」

「童貞ですの」

「もう!みんなして言わないでくれよ!」

ミクイは優輝を担ぎ椅子に座らせた

「優輝、頑張った。助けられたお姫様はココ」

そう言うとミクイは、ミモフを優輝の膝の上に乗せた

「ミモフ、ケーキ食べたいでしゅ!」

「ほら勇者様、助けた姫様がケーキをご所望だよ」

カルーアはケーキを彼らの方に差し出した

「あーん!」

「えっ、俺が食べさせてあげるの?」

「レディのエスコートは男の義務だろぉ?」

「わ、分かったよ…ミモフちゃん、はい、あーん」

パクっ!

「うーん、美味しいでしゅ!」

彼女を助けられた事に、少し満足感を得られた優輝だった

「お姉様!サーシャにもあーん!して欲しいですの!」

「真似するんじゃないよw…って本気かよ!…もう、仕方ないな」

あーん。をせがむサーシャに渋々ミルクアイスを食べさせたカルーアだった

「カルーア、アタシもぉ!」

「キミはわたしの姉さんだろ?アドルさんに頼みなよ!」

「そうだねぇ、そうするぅ!」

ため息をつくカルーア。満面の笑みの姉と妹
そんな三姉妹とミモフの笑顔を見つめる優輝は、モワーフ族の小さな勇気に、大事な事を教えられたと感じていた



続く
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