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アリス IN 異世界日本
アリスの魚釣り?
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【キャンプ場】
その頃、日本に居るアリスはキャンプ2日目の朝を迎えていた。今朝の食事はレトルトの米ではなく、炊飯釜を使って米を炊いていた
「ねぇ師範代。コレはなあにぃ?」
「クッカーセットと言うんだ。最近のはよく出来ていてね、キャンプ場専用の調理器具なんだよ」
「キッチンで使う鍋やフライパンと同じなのぉ?」
「アルミ製でね、熱伝導率が良いし軽くて傷にも強いしキャンプ仕様になっているんだよ」
「えーとぉ…そのぉ…良い物なのねぇ(汗)」
元々調理が苦手なアリスなので、どこがどうキャンプ用なのかは理解できないが、とりあえず良い物だと言う事は理解出来た
「お米の炊き加減は私と宗一郎で見ているから、アリスちゃん達はお父さんと魚釣りでもして来たら?」
優香は宗一郎がアリスにあまり関心を持たないように、自分の横に置いて監視する作戦に出たようだ。アリスの優しい人柄から敵対心は持てないが、宗一郎は取られたくない気持ちからだった
「アリスちゃん、釣りの経験は?」
「1回しただけ…よく分かんないやぁ…あは」
【魚釣り】
アリスは優香の父親から竿を借り、佐々木と2人から教えられた通りにやってみた
………………………………………………………………………………………………
「釣れないねぇ…」
「うーん、キャンプ場だから釣りをする人も多くて、魚の警戒心が強いのかも知れないね」
「クルーザーとか無いから沖には出れないし、浜辺では浅くて魚から人間が見えてるから警戒されてるのかもね」
「でも、足元には魚さんが泳いでいるよ」
釣りを始めてから1時間が経過したが、未だに1匹も連れていない。確かに彼らの足元を何匹かの魚が泳いではいるが…
「確かに居るけど…手では捕まえられないよ」
「そうかなぁ…うーん…」
そう言うと、アリスは足元の浅瀬を泳いでいく魚を見つめて黙り込んだ…何をする気だろう?と、黙って見守る2人…その時だった!
「ツェイィ!」
アリスはイキナリ勢い良く脚を蹴り上げた!
「ピチピチっ」なんと!アリスに蹴飛ばされた魚が、直接芝生の上に落ちて跳ねている
「おおーっ!」
「アリスちゃん、スゲー!」
2人はアリスの技に感心した。獣人族のアリスは釣り竿を使わずに、精神を研ぎ澄まし自然と一体化して魚の動きを読む事で、脚で魚を釣り上げたのだ。むしろ獣人族のアリスには、道具を使うよりも身体で取る方が簡単なようだ
【朝食】
「えっ!?この魚たち、アリスちゃんが竿を使わずに取ったの!?」
「マジかよ!?凄いねアリスちゃん、ソレは見たかったなぁ!」
優香と宗一郎は、焼いている魚が竿で釣ったものではなく、アリスが蹴り上げて捕まえた物だと聞き興奮している
「えへへー、それ程でもあるかなぁ!」
キャンプに来てから(いや、私生活でもそうだが…)常に教えてもらう立場だったアリスが、初めてみんなから剣以外で褒められたので上機嫌になっていた
【車の中】
「うわあっ!やっぱり車って凄いねー!この子は何て動物なのぉ?」
キャンプ場に向かう車内の時は、興奮したアリスはただ歓喜の声を上げているだけだったが、キャンプ場を後にして乗り込んだ今は、少しは慣れたのか?得意の質問攻めが始まっていた
「車は生き物じゃないよ。機械の乗り物なんだよ。人間が作り上げた道具なんだ」
惑星エリスアでは機械文明がほとんど栄えてないので、その説明ではアリスは理解出来ていない
それでも新しい物に触れる度に一喜一憂するアリスの姿に、佐々木が今まで人前で魅せなかった笑顔をしているので、車を運転している師範代も嬉しそうにしている
「佐々木、良かったな!アリスちゃんと知り合えて」
「はい!彼女との出会いが俺を変えてくれたと思います」
佐々木は清々しい顔をしていた
ソレを横から眺めるアリス
「アタシが佐々木お兄ちゃんに、何かしたのかなぁ?」
アリスとしては、いつも通りに振舞っているだけなので、何がそんなに佐々木の役にたったのか?本人は何も気が付いていない
父親が母親に捨てられて落ちぶれた事。それが原因となって、彼の学生時代は特に女を敬遠する様に生きてきた事
それらが純粋無垢で、現代社会の汚れに染まっていないアリスとの出会いで癒された事を、佐々木は素直に話した
難しい話は分からないが、佐々木も苦労していて何らか自分が助けになれた事だけは理解した
「佐々木お兄ちゃんも大変だったんだねぇ……良い子してあげる…頭出しなさい!」
アリスは揶揄う(からかう)つもりは無いのだが、20歳の佐々木からすれば14歳のアリスに、頭を撫でられるのは流石に恥ずかしくて抵抗していると、ムキになったアリスに強引に頭を撫でられた
「ちょっと…恥ずかしいってw」
「そうぉ?…でも頭を撫でられると、安心してこないかなぁ?」
「………ん、そうだね」
最初こそ恥ずかしかったが、純粋な優しさのアリスの行為に、佐々木はただ安心感だけを感じていた
(この子を守りたい…出来たら俺が幸せにしてあげたい!)
佐々木は静かに心の中で、彼女への想いを強くしていった
ルームミラー越しに佐々木の表情の変化を読み取った師範代も、この2人が仲良くなってくれたらな。と思わずには居られなかった
「ねぇねぇ、次は何処に行くのぉ?」
アリス達を乗せた車は、次なる目的地へと向かった
続く
その頃、日本に居るアリスはキャンプ2日目の朝を迎えていた。今朝の食事はレトルトの米ではなく、炊飯釜を使って米を炊いていた
「ねぇ師範代。コレはなあにぃ?」
「クッカーセットと言うんだ。最近のはよく出来ていてね、キャンプ場専用の調理器具なんだよ」
「キッチンで使う鍋やフライパンと同じなのぉ?」
「アルミ製でね、熱伝導率が良いし軽くて傷にも強いしキャンプ仕様になっているんだよ」
「えーとぉ…そのぉ…良い物なのねぇ(汗)」
元々調理が苦手なアリスなので、どこがどうキャンプ用なのかは理解できないが、とりあえず良い物だと言う事は理解出来た
「お米の炊き加減は私と宗一郎で見ているから、アリスちゃん達はお父さんと魚釣りでもして来たら?」
優香は宗一郎がアリスにあまり関心を持たないように、自分の横に置いて監視する作戦に出たようだ。アリスの優しい人柄から敵対心は持てないが、宗一郎は取られたくない気持ちからだった
「アリスちゃん、釣りの経験は?」
「1回しただけ…よく分かんないやぁ…あは」
【魚釣り】
アリスは優香の父親から竿を借り、佐々木と2人から教えられた通りにやってみた
………………………………………………………………………………………………
「釣れないねぇ…」
「うーん、キャンプ場だから釣りをする人も多くて、魚の警戒心が強いのかも知れないね」
「クルーザーとか無いから沖には出れないし、浜辺では浅くて魚から人間が見えてるから警戒されてるのかもね」
「でも、足元には魚さんが泳いでいるよ」
釣りを始めてから1時間が経過したが、未だに1匹も連れていない。確かに彼らの足元を何匹かの魚が泳いではいるが…
「確かに居るけど…手では捕まえられないよ」
「そうかなぁ…うーん…」
そう言うと、アリスは足元の浅瀬を泳いでいく魚を見つめて黙り込んだ…何をする気だろう?と、黙って見守る2人…その時だった!
「ツェイィ!」
アリスはイキナリ勢い良く脚を蹴り上げた!
「ピチピチっ」なんと!アリスに蹴飛ばされた魚が、直接芝生の上に落ちて跳ねている
「おおーっ!」
「アリスちゃん、スゲー!」
2人はアリスの技に感心した。獣人族のアリスは釣り竿を使わずに、精神を研ぎ澄まし自然と一体化して魚の動きを読む事で、脚で魚を釣り上げたのだ。むしろ獣人族のアリスには、道具を使うよりも身体で取る方が簡単なようだ
【朝食】
「えっ!?この魚たち、アリスちゃんが竿を使わずに取ったの!?」
「マジかよ!?凄いねアリスちゃん、ソレは見たかったなぁ!」
優香と宗一郎は、焼いている魚が竿で釣ったものではなく、アリスが蹴り上げて捕まえた物だと聞き興奮している
「えへへー、それ程でもあるかなぁ!」
キャンプに来てから(いや、私生活でもそうだが…)常に教えてもらう立場だったアリスが、初めてみんなから剣以外で褒められたので上機嫌になっていた
【車の中】
「うわあっ!やっぱり車って凄いねー!この子は何て動物なのぉ?」
キャンプ場に向かう車内の時は、興奮したアリスはただ歓喜の声を上げているだけだったが、キャンプ場を後にして乗り込んだ今は、少しは慣れたのか?得意の質問攻めが始まっていた
「車は生き物じゃないよ。機械の乗り物なんだよ。人間が作り上げた道具なんだ」
惑星エリスアでは機械文明がほとんど栄えてないので、その説明ではアリスは理解出来ていない
それでも新しい物に触れる度に一喜一憂するアリスの姿に、佐々木が今まで人前で魅せなかった笑顔をしているので、車を運転している師範代も嬉しそうにしている
「佐々木、良かったな!アリスちゃんと知り合えて」
「はい!彼女との出会いが俺を変えてくれたと思います」
佐々木は清々しい顔をしていた
ソレを横から眺めるアリス
「アタシが佐々木お兄ちゃんに、何かしたのかなぁ?」
アリスとしては、いつも通りに振舞っているだけなので、何がそんなに佐々木の役にたったのか?本人は何も気が付いていない
父親が母親に捨てられて落ちぶれた事。それが原因となって、彼の学生時代は特に女を敬遠する様に生きてきた事
それらが純粋無垢で、現代社会の汚れに染まっていないアリスとの出会いで癒された事を、佐々木は素直に話した
難しい話は分からないが、佐々木も苦労していて何らか自分が助けになれた事だけは理解した
「佐々木お兄ちゃんも大変だったんだねぇ……良い子してあげる…頭出しなさい!」
アリスは揶揄う(からかう)つもりは無いのだが、20歳の佐々木からすれば14歳のアリスに、頭を撫でられるのは流石に恥ずかしくて抵抗していると、ムキになったアリスに強引に頭を撫でられた
「ちょっと…恥ずかしいってw」
「そうぉ?…でも頭を撫でられると、安心してこないかなぁ?」
「………ん、そうだね」
最初こそ恥ずかしかったが、純粋な優しさのアリスの行為に、佐々木はただ安心感だけを感じていた
(この子を守りたい…出来たら俺が幸せにしてあげたい!)
佐々木は静かに心の中で、彼女への想いを強くしていった
ルームミラー越しに佐々木の表情の変化を読み取った師範代も、この2人が仲良くなってくれたらな。と思わずには居られなかった
「ねぇねぇ、次は何処に行くのぉ?」
アリス達を乗せた車は、次なる目的地へと向かった
続く
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