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アリス IN 異世界日本

王都クラウンに到着

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【沖田家道場】
惑星エリスアから襲来した【ヴォイドカウ】に対する今後の方針は決まったのだが…
優香や師範代は、昨日の別れ際に「14歳のアリスに手を出すなよ?」と言っておいた事を一応確認するつもりでいたのだが…

「はあぁぁぁ!?…やったんか?昨日あれだけ釘刺したのに、やったんか?」

話し合いが終わった後に、2人を見るとアリスは佐々木の背後に回り彼の服を掴んでいる。その姿に確認する意味が無い事を理解させられた師範代は、佐々木を連れて別の部屋に移動した



【応接室】
「佐々木…お前、アリスちゃんを抱いただろ?…どうするんだ?彼女との別れは必ず来るぞ!その時ツラい想いをするのは分かっているだろう?」

師範代は佐々木にとって、女性関係に軽いトラウマを持っている事を理解している上で釘を刺したのだが…

「後悔はしません……ソレに、彼女が帰らない事を選択する。もしくは、その術が見付からない可能性だってありますし…」

「……まぁ良い。どの道、覚悟と責任は持つんだぞ!別れの日が来ても、みっともない真似はするんじゃないぞ!」

「はい…」

師範代はアリスと身体を重ねた事が、佐々木の新たなトラウマにならない事を祈った
それからは早めの【ヴォィドカウ】の発見と討伐に向けて、街の人と協力して捜索した。アリスも佐々木と2人で参加していた。が…

「あれ以来ウシ男さん、見付からないね…」
 

「アリスは避けられているかも知れないね。アイツが初めて痛い目にあわされた相手なんだからね」

「そうかぁ…困ったなぁ…」

アリスはエリスアから、ヴォイド虫を連れてきてしまった責任を取らなければ!と思って少し焦っていた
それと、みんなの努力も虚しく危険な種族である【ヴォィドカウ】が見付からない日々が続いていた



【王都クラウン付近】
「今回の移動は珍しくモンスターや揉め事に巻き込まれる事なく、無事に到着しそうですの!」

「王都クラウンにとって【商業都市ヘルメス】は、城下町以上に買い物に訪れる重要な街だ。ソコとの行き来に不備がある様では余たち王族の威厳に関わる。シッカリ警備はさせているからな!」

流石に1番近い主要都市【ヘルメス】と【王都クラウン】の道中は、シッカリ確保している事を明言するキングス

「ソレにこの馬車の快適さ、今回は良い旅だったねヒイロ♪」
 

「あぁ、王様への挨拶をしたら城下町の観光を楽しませてもらおうな。俺も王都に来たのは初めてだからな」

カルーアの感想に、クラウンへの来訪が初めてだと語るヒイロ。ソレは2人で観光を楽しみたいな!と言う誘いも含んでいた



【城門前】
王都クラウンは世界各地の王国の中でもリーダー的存在。万が一にもココを落とされる訳にはイカない。それだけに高さ3メートルを越す立派な壁が、王都と城下町をグルリと守っていた

「余は国王ロードの第一子キングスである。城門を開けよ!」

キングスの号令に即座に開門する衛兵たち。しかし…ヒイロは数人居る衛兵たちの中に、自分たち一行に面白くなさそうな目線を向ける者が居ることに気が付いた

「気付かれましたか?……父である王は民の為に国政を頑張ってくださっているのですが…全ての民からの信頼を得るのは難しいです…」

キングスの妹であるケイトスは、全ての民からの信頼を得られていない事に悲しみを浮かべていた

「どれだけ善行を重ねても、反抗勢力は無くならない…ソレはこの世界でも地球でも同じなんだね…」

今回の旅、キングスは行路の安全性に自信を持ってはいたがイシス防衛戦、並びに対マルバァスの英雄であるカルーアを運んでいる
その為、万が一の事態で何かある訳にはいかなかった。ソレで異世界勇者見習いの優輝のパーティを護衛に招集していた……馬車の脇からミクイの独り言が聞こえる

「くぅ!こんな近くにサーシャちゃんが居るのに…王子様たちの手前…可愛がれないなんて苦痛!」

馬車の周りを姿を消して護衛しているミクイがボヤいていた

「優輝、あんたさぁ…そろそろ馬の乗り方くらい覚えた方が良いよ?」

「わ、分かってるけど俺がひとりで乗ろうとすると、どの馬も暴れるんだから仕方ないだろう!」

「ふふ、威厳が足りないんじゃあないのかい?」

「エルフっ娘、それは同感だ」

馬での移動は、手綱を握るミントスの背中に乗るしかない優輝だった


馬車は中央路を静かに進み、クラウン城へ向かう。王子と姫の帰還に歓喜の声をあげる市民達に、キングスとケイトサは笑顔で手を振った。しかし、そこでもキングス達に含みのある目線を送る者達がチラホラ見受けられた



【謁見室】
玉座へと敷かれた紅いカーペットから2メートルほど離れた位置に、ズラリと騎士たちが大勢並んでいる
そのカーペットの上を堂々と歩みを進めるキングスとケイトス

「父上、キングスとケイトス、ハイエルフの英雄【カルーア】とその家族たちを連れ凱旋しました!」

「キングスよ、此度の仕事ご苦労であった。臣下達よ、非常に大切な客人だ!十分に礼を尽くした歓迎をして欲しい!
時にヒイロよ。カルーア嬢との関係は聞き及んでいる。彼女は今後も大切になる存在だ、ソナタの活躍にも期待しておるぞ…まずは食事を取り道中の疲れを癒して欲しい」

国王ロードはヒイロ達を歓迎し、食事を取るように勧めた。今回の旅が何事も無く、カルーアとサーシャにとって良い思い出になる事を願うヒイロだった



続く
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