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夢忘れ編
動揺する少女たち
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【ヒルドルブ砦】
「バタンッ!」
ロミーが寝ている部屋のドアを勢い良く開け入って来たのは、20歳手前のスタイルの良い女性で、軽めのアーマードレスに身を包み頭髪はポニーテールでまとめている
「姫様の意識が戻ったと言うのは本当かっ!?」
「これこれクリス。姫様はまだ怪我も癒えておらんし起きられたばかりなのだ。もっと静かに入ってこんか…」
「す、すみません。お父様…」
騎士隊総隊長の【アジダス・ネイビス】の娘のクリストファーは第2騎士団の隊長を任されている。姫の目覚めに笑顔を魅せたクリストファーだったが…
「…えと、ごめんなさい。貴女がクリストファーさんなの?」
「そんな!?姫様…もしや記憶を無くして?」
「そうなのだ。姫様は致命傷とも言えるダメージを受けていたようだ。神官長の【クリープ・ランド】が、寝ずの治療を続けてくれたおかげで御命だけは助かったのだが……」
アジダスはハッキリしないモノの言い方をする。何か気になるところでもあるのだろうか?
「何ですか、お父様?」
「あ、いや…かなり良くなかったのだが…1時間ほど前から急に容態が良くなってな、回復された理由が全く分からないようだ。が、とにかく姫様はまだ安静にしてもらわねばならんのだ」
「分かりました…それでは姫様のちほど…」
そう言うとクリストファーは静かに部屋を出ていった。彼女の寂しそうな顔が気になっているロミーはアジダスに問うた
「彼女の顔はとても苦しそうに見えましたけど…私と彼女の間には、何か特別な事があったのでしょうか?」
「その…姫様とクリスは幼い頃から親しくさせてもらっていましたので…記憶を無くされているとはいえ、幼なじみの自分の事までも忘れられているのが…少しツラかったのでしょうな…」
「そうでしたか…それは悪い事をしてしまいました…早く記憶を取り戻さないと…」
目覚めたばかりの少女ロミーは、演技などではなく本当に何も思い出せないようだ
「いえ、とにかく姫様には身体の回復に専念してもらわなければなりませんよ?」
「分かりました…」
「それでは私は軍部の再編成をせねばなりませんので、失礼させていただきます。が、くれぐれも無理はなさらぬ様にお願いしますぞ」
「分かりました」
そう言うと…おそらくこの地域で1番偉い人であると思われる、アジダスはロミー部屋を後にした。その娘さんのクリストファーも出ていったので、部屋に残っているのはベッドに寝ているロミーと…
「混乱されていますか?」
「あの、失礼ですけど貴女は?」
私以外に部屋に残っているのはロミーともう1人、メイドさんの様な衣服に身を包んだ小さな女の子だ
「クーニャです…やっぱり私の事も覚えておられませんか?…分かっていても少しショックですね…」
「クーニャ…その、ごめんなさい…」
「いえいえ良いんです。クリス様の事でさえ覚えておられないようなので、私の事を覚えてるハズがないですから…」
そう言ったクーニャという女の子も寂しそうな表情を浮かべた。ロミーが生きていたのは喜んでいるようだが…忘れられているのは寂しいようだ
「私は3年前に魔族に襲われた村から、クリス様とロミー様に助けていただきました。そして、天涯孤独になってしまった私をロミー様が雇ってくれました…例え記憶を無くされていても、ロミー様にお仕えする気持ちには何も変わりはありません」
「ごめんなさい。それと、ありがとう」
会話が途切れ部屋に静寂が訪れた。記憶を無くしているロミーは、何らかの話をしようと考え色々と思案している感じだ
話題を探して窓から外を見ると…眼下に沢山の騎士や兵士が見えた。怪我の治療を受けている者や、稽古をしている者がいる
(多くの人たちの顔に疲労が見えているけど…目は死んでいない感じかな?みんな勝利の為に一致団結して頑張っているみたい)
「んっ?何かしら?良い匂いがするわ…」
眼下で訓練していた騎士や兵士たちが武器を置き、食事の配給を受けるようだ
「そうでした。そろそろお昼の時間ですね…姫様、食欲はありますか?どんな感じの物が食べたいですか?」
「そうね…野菜や果物が食べたいわ。肉とかの味の濃い食べ物は、今はちょっと遠慮したいかな?」
「分かりました。少しお待ちくださいね」
そう言うとクーニャは部屋を出た
(クリストファーさんとクーニャ。同じく【ク】から始まる2人だから姉妹かな?と思ったけど違うみたい…逆にアジダスさんとクリストファーさんが親子だなんて…顔とか似ていないのに、分からないものだわ)
ロミーは魔族に襲われて大怪我をして意識不明の重体になったと言っていた。しかし、ロミーには大きな怪我をした後の時の様な、関節を襲う鈍い痛みとかはほとんど感じられない
その代わりに無理過ぎな過度なスケジュールをこなし続けた後のような、気持ち悪さと頭痛が彼女を襲っていた
(何だろう?変な感じ…ふぁ…眠くなってきた)
1人になって考え事をしていたら急に睡魔に襲われたロミー。クーニャが軽食を作りに行ってくれてる、そんなに時間も掛からないと思ったのだが、その時間を待つ余裕も無く眠り落ちていった
【夢の中】
「ロミータ。我が息子を身を呈して助けてくださり凄く感謝しています。時間を掛ければいずれ貴女の身体も事故の前まで回復させられますが…貴女は何か望みがありませんか?
もし願いがあるのなら、惑星神ガイアの名に誓いソレを叶えましょう」
「私は…叶うのなら…こんな息苦しい世界じゃなくてファンタジーな世界で、お姫様と慕われるような生活を…」
「それが貴女の望みなのですね?…分かりました。惑星神ガイアの名にかけて、その願い成就させてみせましょう…」
夢の中で美しい女性と会話している自分の姿を見るロミー。彼女と彼女が住む【マナティート地方】は今後どうなって行くのか?
続く
「バタンッ!」
ロミーが寝ている部屋のドアを勢い良く開け入って来たのは、20歳手前のスタイルの良い女性で、軽めのアーマードレスに身を包み頭髪はポニーテールでまとめている
「姫様の意識が戻ったと言うのは本当かっ!?」
「これこれクリス。姫様はまだ怪我も癒えておらんし起きられたばかりなのだ。もっと静かに入ってこんか…」
「す、すみません。お父様…」
騎士隊総隊長の【アジダス・ネイビス】の娘のクリストファーは第2騎士団の隊長を任されている。姫の目覚めに笑顔を魅せたクリストファーだったが…
「…えと、ごめんなさい。貴女がクリストファーさんなの?」
「そんな!?姫様…もしや記憶を無くして?」
「そうなのだ。姫様は致命傷とも言えるダメージを受けていたようだ。神官長の【クリープ・ランド】が、寝ずの治療を続けてくれたおかげで御命だけは助かったのだが……」
アジダスはハッキリしないモノの言い方をする。何か気になるところでもあるのだろうか?
「何ですか、お父様?」
「あ、いや…かなり良くなかったのだが…1時間ほど前から急に容態が良くなってな、回復された理由が全く分からないようだ。が、とにかく姫様はまだ安静にしてもらわねばならんのだ」
「分かりました…それでは姫様のちほど…」
そう言うとクリストファーは静かに部屋を出ていった。彼女の寂しそうな顔が気になっているロミーはアジダスに問うた
「彼女の顔はとても苦しそうに見えましたけど…私と彼女の間には、何か特別な事があったのでしょうか?」
「その…姫様とクリスは幼い頃から親しくさせてもらっていましたので…記憶を無くされているとはいえ、幼なじみの自分の事までも忘れられているのが…少しツラかったのでしょうな…」
「そうでしたか…それは悪い事をしてしまいました…早く記憶を取り戻さないと…」
目覚めたばかりの少女ロミーは、演技などではなく本当に何も思い出せないようだ
「いえ、とにかく姫様には身体の回復に専念してもらわなければなりませんよ?」
「分かりました…」
「それでは私は軍部の再編成をせねばなりませんので、失礼させていただきます。が、くれぐれも無理はなさらぬ様にお願いしますぞ」
「分かりました」
そう言うと…おそらくこの地域で1番偉い人であると思われる、アジダスはロミー部屋を後にした。その娘さんのクリストファーも出ていったので、部屋に残っているのはベッドに寝ているロミーと…
「混乱されていますか?」
「あの、失礼ですけど貴女は?」
私以外に部屋に残っているのはロミーともう1人、メイドさんの様な衣服に身を包んだ小さな女の子だ
「クーニャです…やっぱり私の事も覚えておられませんか?…分かっていても少しショックですね…」
「クーニャ…その、ごめんなさい…」
「いえいえ良いんです。クリス様の事でさえ覚えておられないようなので、私の事を覚えてるハズがないですから…」
そう言ったクーニャという女の子も寂しそうな表情を浮かべた。ロミーが生きていたのは喜んでいるようだが…忘れられているのは寂しいようだ
「私は3年前に魔族に襲われた村から、クリス様とロミー様に助けていただきました。そして、天涯孤独になってしまった私をロミー様が雇ってくれました…例え記憶を無くされていても、ロミー様にお仕えする気持ちには何も変わりはありません」
「ごめんなさい。それと、ありがとう」
会話が途切れ部屋に静寂が訪れた。記憶を無くしているロミーは、何らかの話をしようと考え色々と思案している感じだ
話題を探して窓から外を見ると…眼下に沢山の騎士や兵士が見えた。怪我の治療を受けている者や、稽古をしている者がいる
(多くの人たちの顔に疲労が見えているけど…目は死んでいない感じかな?みんな勝利の為に一致団結して頑張っているみたい)
「んっ?何かしら?良い匂いがするわ…」
眼下で訓練していた騎士や兵士たちが武器を置き、食事の配給を受けるようだ
「そうでした。そろそろお昼の時間ですね…姫様、食欲はありますか?どんな感じの物が食べたいですか?」
「そうね…野菜や果物が食べたいわ。肉とかの味の濃い食べ物は、今はちょっと遠慮したいかな?」
「分かりました。少しお待ちくださいね」
そう言うとクーニャは部屋を出た
(クリストファーさんとクーニャ。同じく【ク】から始まる2人だから姉妹かな?と思ったけど違うみたい…逆にアジダスさんとクリストファーさんが親子だなんて…顔とか似ていないのに、分からないものだわ)
ロミーは魔族に襲われて大怪我をして意識不明の重体になったと言っていた。しかし、ロミーには大きな怪我をした後の時の様な、関節を襲う鈍い痛みとかはほとんど感じられない
その代わりに無理過ぎな過度なスケジュールをこなし続けた後のような、気持ち悪さと頭痛が彼女を襲っていた
(何だろう?変な感じ…ふぁ…眠くなってきた)
1人になって考え事をしていたら急に睡魔に襲われたロミー。クーニャが軽食を作りに行ってくれてる、そんなに時間も掛からないと思ったのだが、その時間を待つ余裕も無く眠り落ちていった
【夢の中】
「ロミータ。我が息子を身を呈して助けてくださり凄く感謝しています。時間を掛ければいずれ貴女の身体も事故の前まで回復させられますが…貴女は何か望みがありませんか?
もし願いがあるのなら、惑星神ガイアの名に誓いソレを叶えましょう」
「私は…叶うのなら…こんな息苦しい世界じゃなくてファンタジーな世界で、お姫様と慕われるような生活を…」
「それが貴女の望みなのですね?…分かりました。惑星神ガイアの名にかけて、その願い成就させてみせましょう…」
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続く
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