79 / 100
夢忘れ編
「大丈夫。致命傷です」
しおりを挟む
【ユグドラシル】
半機械人となっていた、呑み喰い屋の店長の娘の少女。彼女は、膝枕して魔力供給をしてくれていたミアナの心臓に、口から伸ばした直径1センチ程の注射針を伸ばして刺し込んだ!
「かはっ!?」
ナニが起きたのか?全く分からなかったミアナ。しかし、それは彼女だけでなく同じ空間に居るホルンとエリエスも一緒。それだけでなく半機械少女の父親も呆然と口を開けて驚いていた
「……ぐぅぅ。舐めるなぁ!!」
今まで大人しい表情ばかりを見せていたミアナだったが、生命の危機を感じたのがトリガーとなり、彼女が奥底に隠している怒りに火を灯した
「ぬぅぅあぁぁぁ!!!」
右手の平に、一瞬で凄まじい程の魔力を集約させたミアナは、そのまま半機械少女の心臓目掛けて掌底をブチ込んだ!
「バグオオォォォん!!」
素早く口内から伸ばしていた注射針を戻した半機械少女だったが、ミアナの魔力を集約させた掌底を回避しきれず半径5メートル程の爆発が発生した
「おい、魔族の女。大丈夫か?」
爆発で発生した砂塵により、立っているシルエットが攻撃を当てたミアナなのか?店長の娘で半機械の少女なのか?ハッキリ分からないので、用心して少しずつ近付くホルン
「危ないっ!下がりなさいっ!」
砂塵の中に立っていたのは…ミアナではなく半機械少女だった。彼女は、近付いてきたホルンを捕らえようと手を伸ばしたのだが…エリエスの言葉で危険を察したホルンは飛行魔法を使い、僅かな時間で半機械少女と距離を取った
「ケヘヘヘヘ♪」
ミアナの魔力を込めた掌底を回避しきれなかった半機械少女の左胸部は、服と一緒に人口皮膚も削げ落ちていて、中の機械構造があらわになっていた
「ジェニファー!!」
そう叫んだのは店長の旦那だった。おそらくソレが半機械の少女の名前なのだろう
父親に名前を呼ばれた彼女は、店長の方を見たが彼女が見つめたのは…彼の背後にある呑み喰い屋の店内に通じる扉だった
「ケハハハハハ♪」
扉の向こうに、強い魔力を持つ者の更なる気配を感じたジェニファーは、扉目掛けて走り出したのだが…
「おっと!?まさか貴女、この私を素通りしようなんて考えてませんよね?」
ミアナから大量の魔力を吸い、溢れるエネルギーで身体が薄く発光し始めているジェニファーは、迷わずに仮想世界であるユグドラシルから出ることを考えているのを察知したエリエス
エリエスは、ミアナの魔力を吸収した彼女がとてつもなくパワーアップしていると理解した
そんな彼女が、アリス達が待っている呑み喰い屋へ行こうとしているので、エクスカリバーを構え扉の前に仁王立ちしてジェニファーを本気で迎え撃とうとしている
「ま、待ってくれ剣士さん!娘は…あの子は…強い魔力を供給してもらって…感情が高ぶってるだけなんだ。剣を収めてくれ!」
エリエスの凄まじい気配をスグ横で感じていた店長は、自分の娘がタダでは済まないと確信し、娘を見逃して欲しいと頼み始めた
「まだ…あの少女が自分の娘だと思っているのですか?彼女は…とっくに貴方の娘ではなくなっていたのですよ?」
エリエスは店長に、半機械少女は既に普通の少女でもなければ、娘でもないことを伝えた
「ケヘヘヘヘ!」
ミアナの魔力を吸ってパワーアップした自分の強さに、余程の自信を持っているのか?ジェニファーは扉とエリエス目掛けて真っ直ぐに突っ込んできた
「基礎型超人類エリエス、エクスカリバー・ロマーニャと共に参ります!」
突進してくるジェニファーから、かなりの強さを感じたエリエスは、名乗りをあげながら自分の闘気を練り上げた。本気モードで試合する時のクーパー家の礼節だ
「バキィィィん!…ベキッ」
「なっ!?素手でロマーニャの1激をを!?」
一旦全身を縮め、一気にエネルギーを爆発させて突進したエリエスの渾身の、エクスカリバーの斬撃を左腕1本でガードしたジェニファー
「ケヘヘヘヘ…」
ガードした左腕を直視する半機械少女。エクスカリバーが直撃した部分の機械が少し破損させられたのを確認し、目の前の赤毛の剣士が脅威的な存在だと認識した
「ジェニファー!もう、止めるんだっ!」
昔の彼女の父親だけが今も彼女を自分の娘だと信じていて、これ以上暴れないで欲しいと切に懇願していた。が…
「ケヘヘヘヘへへ♪」
「危ない、下がって!」
しかし、半機械少女はかつて父親だった男に向かい突進を始めた。邪魔者を排除するだけの冷たい視線が、必死に訴えている彼に向けられた
「ギイィィん!…くうぅ…ドサッ」
父親に向けられた手刀をエクスカリバーでガードしたエリエスだったが、その時の衝撃で後方へ飛ばされ地面に倒れた
「ケハハハハハっ♪」
邪魔者だったエリエスを、取り敢えず排除する事に成功したジェニファーは、外の世界へと通じている扉の中へと入っていった
「待て!」
「大丈夫か?」
起き上がるエリエス。駆け寄ってきたホルン
「私はあの女を追います。ホルンさんは…あの魔法使いを観てやってください。では…」
立ち上がったエリエスは愛剣エクスカリバーを強く握りしめると、覚悟を決めた目付きでジェニファーの後を追い扉の中へ走り出した
「魔法使い?……あ!魔族の貴様、大丈夫か?生きているのか?」
呑み喰い屋の店内へ向かった半機械の少女ジェニファー。ソレを追って行ったエリエス。娘の変わり果てた姿に呆然と膝から崩れ落ちた店長。ようやく大ダメージを負っているミアナに気を回したホルン
「かはっ…はぁはぁ…大丈夫。致命傷です」
ミアナは半機械少女ジェニファーに刺された左胸から大量出血をしており、彼女を象徴する魔女っ子衣装が紅く染められていた
「とても大丈夫とは言えんな…どこまで回復してやれるか分からんが、少し大人しくしていろ?」
「はぁはぁ…大丈夫と言いました。この程度なら自力で回復出来ます…す、少しは時間が必要ですが…それよりも、貴女もあの少女を追い掛けた方が良いのでは?」
敵とは言え、目の前で瀕死のダメージを負っているミアナを、出来る限りで回復してあげようとしたホルンだったが…意外なことにミアナは彼女の提案を否定した
「そりゃ、早く追い掛けた方が良いのだろうが…貴様、それ程のダメージで本当に大丈夫なのか?」
「こんなこともあろうかと…自己蘇生術式を体内に組み込んでありますので…大丈夫ですよ。はぁはぁ…私はこの国の戦争に関わる気はサラサラありません…早く行ってください…」
敵対関係抜きで治療を申し出たホルンだったのだが、ミアナは敵対関係の人族側の軍師である彼女が自分の治療をしてしまうと、彼女の自軍での立場を悪くするだろうと気遣ったようだ
「本当に大丈夫なのだな?…くたばって恨んで出るなよ?…確かに敵対はしているが、こんな事で死ぬんじゃないぞ!」
ミアナの目に、恨みつらみのようなモノを感じなかったホルンは、彼女に「死ぬなよ!」と言葉を送ると走り出し、扉の横で放心している店長の横を通り抜けて店内へと戻って行った
【蘇生術式開始】
エリエスやホルンが扉に入ってこの世界から消えて数分が経過した頃…
「パキ、ペキパキ…」
左胸から派手に出血し、息も絶え絶えに地面に仰向けで倒れていたミアナの子宮付近から…魔法で出来たツタのようなモノが生えてきて、やがてソレは彼女の全身を包み込んだ
……………………………………………
「ベリバリ…ふぅ、師匠が言われた通りでした。常に蘇生術式は組み込んでおくものですね、まさか、こんな目に合わされてしまう日が来るなんて…」
魔法のツタは、サナギの様に球体となりミアナを包み込んでから約1時間が経過すると…中から殻を破るように彼女が這い出てきた
「しかし…妙ですね。あの機械少女がこの世界から居なくなって結構な時間が経過しましたが…まだ変わらずこの空間は維持されている…何か仕掛けがありますね」
出てきた彼女は…全く怪我もしていないどころか、新しい服に着替えていた
「ふむ。まだ、そんな所で放心していたのですか?」
復活したミアナは、この世界と店内を結ぶ扉の前にやって来たが、未だに店長が膝を着いた姿勢で固まっていたので声を掛けた
「た、頼む。娘を助けてやってくれ。娘は…たぶん、おそらく、貴女の強過ぎる魔力で気が動転しているだけなんだ!おそらく、たぶん…」
「ブチッ!」
彼の言い分を聞いたミアナは、更に歩み寄り膝を着いている彼を見下ろして言い放った
「ナニを言っているのですか?貴方の娘さんは既に死んでいるのですよ?…それよりも、私は貴方の娘さんの手で1度殺されたんです。その事についての謝罪すら無いのですか?」
ミアナは激怒していた。おそらく、昔マリニウムで勇者パーティの一員として修行していた時に、彼女の強さに恐怖した仲間から生命を狙われた時か?この間、そのマリニウムで自己中心的な領主にトドメを刺した時以来の怒りが、彼女の心を支配していた
「頼むよ、娘は優しい良い子なんだ。助けてやってくれ、頼むから…」
「そうですか…【滅圧(グラディード)】。ブシャッ!!」
ミアナは師匠である徳川 有栖のオリジナル魔法である、超重力を用いた超圧縮魔法で目の前の男をミンチ状へと変化させた
「ソコに有ったのですか…」
ミアナは店長だった肉の塊の中に手を差し込むと…中から黒いクリスタルを取り出した
「コレは、地球という星から来たという古代人が創った神器でしょうね?…お師匠様に献上した方が良いですね。そうしましょう」
ミアナは異空間ポケットに、店長だった肉塊から発見した賢者の石のような道具(アイテム)を収めた
「さて、そろそろ私も行きますか?…オボロ様がまだ生き延びていてくださると良いのですが…」
ミアナは、自動作用した蘇生術式が完了するまでに、1時間以上が経過する事を知っている。自分を殺した半機械少女に、魔族側の姫さまが殺されていないことを願い、彼女も店内へと通じる扉を開けた
続く
半機械人となっていた、呑み喰い屋の店長の娘の少女。彼女は、膝枕して魔力供給をしてくれていたミアナの心臓に、口から伸ばした直径1センチ程の注射針を伸ばして刺し込んだ!
「かはっ!?」
ナニが起きたのか?全く分からなかったミアナ。しかし、それは彼女だけでなく同じ空間に居るホルンとエリエスも一緒。それだけでなく半機械少女の父親も呆然と口を開けて驚いていた
「……ぐぅぅ。舐めるなぁ!!」
今まで大人しい表情ばかりを見せていたミアナだったが、生命の危機を感じたのがトリガーとなり、彼女が奥底に隠している怒りに火を灯した
「ぬぅぅあぁぁぁ!!!」
右手の平に、一瞬で凄まじい程の魔力を集約させたミアナは、そのまま半機械少女の心臓目掛けて掌底をブチ込んだ!
「バグオオォォォん!!」
素早く口内から伸ばしていた注射針を戻した半機械少女だったが、ミアナの魔力を集約させた掌底を回避しきれず半径5メートル程の爆発が発生した
「おい、魔族の女。大丈夫か?」
爆発で発生した砂塵により、立っているシルエットが攻撃を当てたミアナなのか?店長の娘で半機械の少女なのか?ハッキリ分からないので、用心して少しずつ近付くホルン
「危ないっ!下がりなさいっ!」
砂塵の中に立っていたのは…ミアナではなく半機械少女だった。彼女は、近付いてきたホルンを捕らえようと手を伸ばしたのだが…エリエスの言葉で危険を察したホルンは飛行魔法を使い、僅かな時間で半機械少女と距離を取った
「ケヘヘヘヘ♪」
ミアナの魔力を込めた掌底を回避しきれなかった半機械少女の左胸部は、服と一緒に人口皮膚も削げ落ちていて、中の機械構造があらわになっていた
「ジェニファー!!」
そう叫んだのは店長の旦那だった。おそらくソレが半機械の少女の名前なのだろう
父親に名前を呼ばれた彼女は、店長の方を見たが彼女が見つめたのは…彼の背後にある呑み喰い屋の店内に通じる扉だった
「ケハハハハハ♪」
扉の向こうに、強い魔力を持つ者の更なる気配を感じたジェニファーは、扉目掛けて走り出したのだが…
「おっと!?まさか貴女、この私を素通りしようなんて考えてませんよね?」
ミアナから大量の魔力を吸い、溢れるエネルギーで身体が薄く発光し始めているジェニファーは、迷わずに仮想世界であるユグドラシルから出ることを考えているのを察知したエリエス
エリエスは、ミアナの魔力を吸収した彼女がとてつもなくパワーアップしていると理解した
そんな彼女が、アリス達が待っている呑み喰い屋へ行こうとしているので、エクスカリバーを構え扉の前に仁王立ちしてジェニファーを本気で迎え撃とうとしている
「ま、待ってくれ剣士さん!娘は…あの子は…強い魔力を供給してもらって…感情が高ぶってるだけなんだ。剣を収めてくれ!」
エリエスの凄まじい気配をスグ横で感じていた店長は、自分の娘がタダでは済まないと確信し、娘を見逃して欲しいと頼み始めた
「まだ…あの少女が自分の娘だと思っているのですか?彼女は…とっくに貴方の娘ではなくなっていたのですよ?」
エリエスは店長に、半機械少女は既に普通の少女でもなければ、娘でもないことを伝えた
「ケヘヘヘヘ!」
ミアナの魔力を吸ってパワーアップした自分の強さに、余程の自信を持っているのか?ジェニファーは扉とエリエス目掛けて真っ直ぐに突っ込んできた
「基礎型超人類エリエス、エクスカリバー・ロマーニャと共に参ります!」
突進してくるジェニファーから、かなりの強さを感じたエリエスは、名乗りをあげながら自分の闘気を練り上げた。本気モードで試合する時のクーパー家の礼節だ
「バキィィィん!…ベキッ」
「なっ!?素手でロマーニャの1激をを!?」
一旦全身を縮め、一気にエネルギーを爆発させて突進したエリエスの渾身の、エクスカリバーの斬撃を左腕1本でガードしたジェニファー
「ケヘヘヘヘ…」
ガードした左腕を直視する半機械少女。エクスカリバーが直撃した部分の機械が少し破損させられたのを確認し、目の前の赤毛の剣士が脅威的な存在だと認識した
「ジェニファー!もう、止めるんだっ!」
昔の彼女の父親だけが今も彼女を自分の娘だと信じていて、これ以上暴れないで欲しいと切に懇願していた。が…
「ケヘヘヘヘへへ♪」
「危ない、下がって!」
しかし、半機械少女はかつて父親だった男に向かい突進を始めた。邪魔者を排除するだけの冷たい視線が、必死に訴えている彼に向けられた
「ギイィィん!…くうぅ…ドサッ」
父親に向けられた手刀をエクスカリバーでガードしたエリエスだったが、その時の衝撃で後方へ飛ばされ地面に倒れた
「ケハハハハハっ♪」
邪魔者だったエリエスを、取り敢えず排除する事に成功したジェニファーは、外の世界へと通じている扉の中へと入っていった
「待て!」
「大丈夫か?」
起き上がるエリエス。駆け寄ってきたホルン
「私はあの女を追います。ホルンさんは…あの魔法使いを観てやってください。では…」
立ち上がったエリエスは愛剣エクスカリバーを強く握りしめると、覚悟を決めた目付きでジェニファーの後を追い扉の中へ走り出した
「魔法使い?……あ!魔族の貴様、大丈夫か?生きているのか?」
呑み喰い屋の店内へ向かった半機械の少女ジェニファー。ソレを追って行ったエリエス。娘の変わり果てた姿に呆然と膝から崩れ落ちた店長。ようやく大ダメージを負っているミアナに気を回したホルン
「かはっ…はぁはぁ…大丈夫。致命傷です」
ミアナは半機械少女ジェニファーに刺された左胸から大量出血をしており、彼女を象徴する魔女っ子衣装が紅く染められていた
「とても大丈夫とは言えんな…どこまで回復してやれるか分からんが、少し大人しくしていろ?」
「はぁはぁ…大丈夫と言いました。この程度なら自力で回復出来ます…す、少しは時間が必要ですが…それよりも、貴女もあの少女を追い掛けた方が良いのでは?」
敵とは言え、目の前で瀕死のダメージを負っているミアナを、出来る限りで回復してあげようとしたホルンだったが…意外なことにミアナは彼女の提案を否定した
「そりゃ、早く追い掛けた方が良いのだろうが…貴様、それ程のダメージで本当に大丈夫なのか?」
「こんなこともあろうかと…自己蘇生術式を体内に組み込んでありますので…大丈夫ですよ。はぁはぁ…私はこの国の戦争に関わる気はサラサラありません…早く行ってください…」
敵対関係抜きで治療を申し出たホルンだったのだが、ミアナは敵対関係の人族側の軍師である彼女が自分の治療をしてしまうと、彼女の自軍での立場を悪くするだろうと気遣ったようだ
「本当に大丈夫なのだな?…くたばって恨んで出るなよ?…確かに敵対はしているが、こんな事で死ぬんじゃないぞ!」
ミアナの目に、恨みつらみのようなモノを感じなかったホルンは、彼女に「死ぬなよ!」と言葉を送ると走り出し、扉の横で放心している店長の横を通り抜けて店内へと戻って行った
【蘇生術式開始】
エリエスやホルンが扉に入ってこの世界から消えて数分が経過した頃…
「パキ、ペキパキ…」
左胸から派手に出血し、息も絶え絶えに地面に仰向けで倒れていたミアナの子宮付近から…魔法で出来たツタのようなモノが生えてきて、やがてソレは彼女の全身を包み込んだ
……………………………………………
「ベリバリ…ふぅ、師匠が言われた通りでした。常に蘇生術式は組み込んでおくものですね、まさか、こんな目に合わされてしまう日が来るなんて…」
魔法のツタは、サナギの様に球体となりミアナを包み込んでから約1時間が経過すると…中から殻を破るように彼女が這い出てきた
「しかし…妙ですね。あの機械少女がこの世界から居なくなって結構な時間が経過しましたが…まだ変わらずこの空間は維持されている…何か仕掛けがありますね」
出てきた彼女は…全く怪我もしていないどころか、新しい服に着替えていた
「ふむ。まだ、そんな所で放心していたのですか?」
復活したミアナは、この世界と店内を結ぶ扉の前にやって来たが、未だに店長が膝を着いた姿勢で固まっていたので声を掛けた
「た、頼む。娘を助けてやってくれ。娘は…たぶん、おそらく、貴女の強過ぎる魔力で気が動転しているだけなんだ!おそらく、たぶん…」
「ブチッ!」
彼の言い分を聞いたミアナは、更に歩み寄り膝を着いている彼を見下ろして言い放った
「ナニを言っているのですか?貴方の娘さんは既に死んでいるのですよ?…それよりも、私は貴方の娘さんの手で1度殺されたんです。その事についての謝罪すら無いのですか?」
ミアナは激怒していた。おそらく、昔マリニウムで勇者パーティの一員として修行していた時に、彼女の強さに恐怖した仲間から生命を狙われた時か?この間、そのマリニウムで自己中心的な領主にトドメを刺した時以来の怒りが、彼女の心を支配していた
「頼むよ、娘は優しい良い子なんだ。助けてやってくれ、頼むから…」
「そうですか…【滅圧(グラディード)】。ブシャッ!!」
ミアナは師匠である徳川 有栖のオリジナル魔法である、超重力を用いた超圧縮魔法で目の前の男をミンチ状へと変化させた
「ソコに有ったのですか…」
ミアナは店長だった肉の塊の中に手を差し込むと…中から黒いクリスタルを取り出した
「コレは、地球という星から来たという古代人が創った神器でしょうね?…お師匠様に献上した方が良いですね。そうしましょう」
ミアナは異空間ポケットに、店長だった肉塊から発見した賢者の石のような道具(アイテム)を収めた
「さて、そろそろ私も行きますか?…オボロ様がまだ生き延びていてくださると良いのですが…」
ミアナは、自動作用した蘇生術式が完了するまでに、1時間以上が経過する事を知っている。自分を殺した半機械少女に、魔族側の姫さまが殺されていないことを願い、彼女も店内へと通じる扉を開けた
続く
10
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


