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第9章 新世界狂想編 

仮面のヒーロー… その名は、カオス

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「【元】は同じで、別れた…… だと」

「ああ…… だから、俺を……【聖女の楯】と呼ぶな!」

暗黒騎士が斬り掛かるが、デンライは斬り返す!

「甘い!」

「貴様がな!」

デンライの斬撃に合わせて、暗黒騎士が何かを放った!?

「ぐぅ!?」

「耐性持ちだろうが…… ダメージを伴う効果は、聞くだろう? 獣王」

「ぐぅぅ……」

「目を焼かれる痛みは…… 辛いか? なら、直ぐに楽にして殺るか?」

「くっ、聖女の楯…… がぁ!?」

暗黒騎士が、デンライの足を突き刺す!

「呼ぶなと、言った」

暗黒騎士が…… ゆっくりと、突き刺した大剣を引き抜く。

「がはっ…… なら、お前は…… 誰だ!」

「俺か? 俺は……【毒薬師】だ」

「な、悪名高いPKの毒薬師だと!?」

「そうだ。ただ単に…… あの女と組んで、実験していた…… だけだがな」

「お前は、何者だ!」

「元は…… 聖女の楯の人格の1つさ…… 奴は、【多重人格者】だったのさ」

「多重人格だと!?」

「そうだ…… そして、奴は知らない…… 俺と言う人格がいる事を!」

暗黒騎士どくやくしが苛立ち、大剣を振り回す!

「嫌な事は、全て俺! だから…… 奴から離れる為に! この世界に! 新たな身体を作る事にした! 長かった…… テストプレイで実験し過ぎて…… 弾かれた時は焦ったが…… 製品版で、奴のバイタルが登録出来た時は…… 喜びにうち震えた! そして…… 俺は、新たな身体を手に…… 自由になったのだ!」

「奴は! 聖女の楯は、どうした!」

「さあな…… 邪魔をしない様に…… 大量の薬を飲んでからログインして、この身体に移ってからログアウトしてないのでな。知らん」

「くっ!」

「そろそろ…… 貴様も、死ね獣王! グハァ!?」

暗黒騎士どくやくしに…… 飛んで来た人が激突した!

激突したのは…… 帝国勇者だ!

「珍しく…… ピンチか? デンライ」

「じ、ジノさん?」

「ちょっと、しみるぞ……」

ジノが、デンライに状態回復薬を使う。

「ぐぅ! い、つう…… ジノさん!? その姿は……」

「デンライ…… 黙っとけよ」

デンライは…… テストプレイで、知っていた!

ジノの【変身】スキルのデメリットを……

ジノの変身は…… 苦痛を伴う! 痛覚設定された身体を【別の物】に、瞬間的に作り変えるのだから…… 当然、痛みが生じるのだ!

そして、その苦痛は…… 変身を解くまで続くのだ!

「なんで!」

「【ベル】のパワーが…… まだ戻らないからな」

「でも!」

「大丈夫…… テストプレイよりは、ましになってる」

「本当か……」

「ああ…… だから、とっとと倒して戻るぞ」

「了解だ!」

「何してんだ! クズ勇者!」

「うるせぇ! 文句は、あの仮面野郎に言え!」

「…… 仲間割れか?」

「俺を…… コイツと一緒にするな!」

「おい…… 俺に逆らうのは、【聖女】に逆らう事だぞ」

「それがぁ…… な、きさまぁ…… 俺に…… 何をした!」

「フッ、お前の【身体】を…… 作ったのは、誰だ?」

「あのォォ女ァァァ!」

「真の自由が欲しいなら…… そこの仮面野郎と獣王を倒して、魔王を…… 聖女に献上しな。そしたら…… 喜んで自由にしてくれるぜ」

「クソがぁ……」ゴグゴグ…… ガッシャン!

暗黒騎士どくやくしが【液体】を飲み干すと…… 消えた!?

「ぐぅ!?」「がは!?」

ジノとデンライが吹き飛ぶ!?

「何が……」

「見えない攻撃か!?」

暗黒騎士どくやくしが現れる……

「俺の身体に合わせて、特別に調合した【魔薬】だ…… デメリット無しで、約10倍にステータスを跳ね上げる」

ドッゴーン!

突然の雷が、ジノとデンライ、暗黒騎士どくやくしを襲う!

「ぐぁ!?」「がは……!?」

「貴様……」

「俺を…… 忘れるなよ」

「その力は!?」

「魔王に受けた【呪い】を……【呪詛反転】スキルで、【力】に変えた」

帝国勇者は…… 魔王カナエに敗けた時、【呪い】を受けた。

その【呪い】は、弱体化する効果だったのだが…… 帝国勇者は【種族進化】する事で…… 新たなスキル【呪詛反転】を得て、【呪い】を……【反転】して【力】に変えたのだ。

「くっ……【魔人】に進化したのか!?」

「違うな…… 俺は【聖邪人せいじゃじん】…… 神に等しい種族だ。この様にな!」

暗黒騎士どくやくしの姿が消えて、ジノとデンライが吹き飛ばされる!

「がぁ!」「ぐぅ…… がぁは!」

ジノが吐血した。

「ジノさん!? やはり……」

「どうした? 仮面野郎は限界か?」

「死ね!」

姿を現した暗黒騎士どくやくしが、ジノに大剣を振り下ろした!?

その時、不思議な事が起こった!

「ぬぅ!?」

「何だ!?」

「じ、ジノさん……」

暗黒騎士どくやくしが、ジノを突き刺そうとした…… その瞬間!? ジノの身体から、光が溢れだす!

「お目覚めか? ベル」

『おはよう、マスター。マスターに合わせた最適化が終了したよ』

「なら…… やるか」

ジノがベルを装着する!

「『変身!!』」

ジノの体内の【混沌石カオスストーン】から、ベルに力が流れ込む!

「『光と闇を合わせ持つ……【シャイニングダークネスフォーム】!』」

闇に光が走る様に、黒に光のラインが走る仮面のヒーローが現れる……

「くっ!」

暗黒騎士どくやくしの姿が再び消えるが……

『そこ』トゴッ!

「が……!?」

ジノが拳を振ると、暗黒騎士どくやくしの顔面にヒット! 暗黒騎士どくやくしが吹き飛ぶ!?

「今更、強化した処で!」

帝国勇者が斬り掛かる!

「ワンパターンだ」ゴスッ!

ジノが避けながら、帝国勇者に腹パン!

「グホゥ……!?」

帝国勇者が腹を押さえて、後ずさる……

「何なんだ…… てめぇは!」

吹き飛ばされた暗黒騎士どくやくしが…… 叫ぶ!

「可愛らしい魔王が名付けてくれたな…… 俺の名は、カオス…… 仮面マスクヒーロー…… カオス! お前等の敵だ」

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