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第9章 新世界狂想編 

ヒーローVS勇者と獣王VS暗黒騎士

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「神に等しい勇者の俺に敵うと…… 思うな!」

ドゴーン!

帝国勇者が雷を放ちながら、ジノに迫る!

「神の強さなら…… 知っているさ」

『カオスストーンフラッシャー!!』

「があ!?」

ジノの胸部から放たれた光線が、雷ごと帝国勇者を弾き飛ばす!

「断言しよう。お前は…… 魔神より、か・な・り! 弱い」

「なめるなぁ!」

『遅いよ♪』

帝国勇者が斬撃で凪ぎ払う瞬間! ジノが一瞬で間合いを詰めると、帝国勇者の腹にドロップキックを叩き込む!

「ゴファ!?」ドゴーン!

吹き飛ぶ帝国勇者。

「立て……」

「ぎ、貴様ぁ! 何故、俺の前に立ちはだかる!」

「理由か?」

帝国勇者が剣を構う直す……

ジノが帝国勇者の言葉に一瞬考えた…… 帝国勇者コイツを殴る理由…… ジノの脳裏にある光景が浮かんだ。

あの可愛くて愛らしい魔王の姿が……

「お前が…… 彼女を悲しませるからだ」

「はっ?」

「それが…… 無性にイラつく! だから、お前をボコる!」

「ふざけるな! そんな理由で俺の邪魔をするゴブア!」

帝国勇者の顔面にジノの拳が刺さる!

「それだけで、お前をボコる理由に…… 充分だ」

「ぐっ…… 許さん…… 貴様は殺す!」

「その前に俺がお前をボコる」

帝国勇者が斬り掛かり、ジノが受け止めて殴り返す! 帝国勇者がガードして互いに弾き飛ばされた……

「勇者である俺の」

「この世界を楽しむ者の」

「「邪魔をする!」」

「悪の貴様を」

「あの娘を泣かせた…… お前を」

「「今、此処で倒す!」」

「うおぉぉぉ!」

帝国勇者が必殺の一撃の構えをとる!

「やるぞ…… ベル」

『カオスパワーイグニション! いくよ! マスター!』

ジノの胸部の混沌石カオスストーンからベルを通して、ジノの両足に力が集束される!

「死ね!【ゴッドブレイブザンバー!!!】」

「トウ!」

帝国勇者が勇者職の必殺技を放った…… ジノが後方に飛ぶ!?

ジノが後方に宙回転しながら飛ぶと…… 空中で反転した!?

「『【カオスインパクト…… ブレイカぁぁぁ!!!】』」

ジノが必殺のキックを帝国勇者の必殺技に叩き込む!

「ぐう! なめるなぁぁぁ!」

ビキ…… ビキビキ……

帝国勇者がジノを押し返そうと堪えるが…… 剣の限界を超えた。

パキャン!

帝国勇者の剣が砕け散り、ジノが後方の空中に舞う!?

ジノは、さらに空中で反転をし…… 帝国勇者に必殺キックを放った!

「グハァ!?」

ジノの必殺キックが帝国勇者に突き刺さる!

「うおぉぉぉ!『【カオスクラッシュ!!!】』」

「ぐ、ぐあ!?」

帝国勇者が吹き飛ぶ! ジノが着地した瞬間ベルが……

『バーストエンド』

「ぎ、ぎゃあ!?」ドカーン!

帝国勇者が…… 爆散した。

 ・
 ・
 ・

 ~ デンライ ~

デンライと暗黒騎士どくやくしが鋭い斬撃の応酬を繰り返していた。

「てめぇ…… 何を企んでる!」

「薬師の俺がまともに斬り合うか! お前は、もうおしまいだ」

暗黒騎士どくやくしの身体から…… 煙幕が発生する!

「む!」

『主よ。この煙幕……【魔薬】じゃ』

「あはははは! さあ…… 獣王! 魔物かアンデッドになれ!」

「舐めてんのか?」

「な、何故!? 平然としている!」

『主と我に魔薬は…… 貴様の魔薬は効かん!』

獣呀の元になった魔神…… それは、魔神の魔薬により産み出された【神造魔神】だった。

人型の合成獣キメラを極限まで強化して、魔薬漬けにした狂戦士が神を殺し、真に魔神化した…… 狂気の産物の女性。

おのが快楽の為に死合う彼女の血肉は…… 高純度の魔薬を含んでいた。

その血肉を喰らい、ジノの血肉に含まれた混沌を喰らう事で生まれ変わった獣呀には、暗黒騎士どくやくしの魔薬まがいものなど…… 効くはずがない!

「クソが…… まだだ! まだ、俺には【コレ】が在る!」

暗黒騎士どくやくしが薬瓶を取り出して、一気に飲み干す!

「また強化薬か」

「ごふぁ…… 今の俺は、約20倍のステータスだ! 死ねぃ!」

『貴様が…… の!!』

ザシュ…… ブシャー!

「がは!? 何! 俺が見えないだと!?」

『ふむ…… 作られし身体が魔薬まがいものの大量摂取で限界の様じゃの?』

「な、ばかな……」

「てめぇが、てめぇの言う通りに聖女の楯の別人格なら…… てめぇ自身でリンク切った事になる」

「何を…… !?」

「気付いたか……」

『今の貴様は、緑人と同じ…… 死に戻りは無い!』

暗黒騎士どくやくしの身体は……【人造生命体ホムンクルス】。

本来の肉体とのリンクを切った暗黒騎士どくやくしの扱いは…… 緑人かモンスター(NPC)扱いで、死に戻りはしない。

「くっ!」

暗黒騎士どくやくしが薬瓶を投げながら、デンライに斬り掛かる!

『悪足掻きを』

「てめぇの興味本意で犠牲にした者の…… 痛みを感じながら、消えな!」

「ふざけるな! やっと自由に…… 独りになれたんだ!」

『なら、永遠に独りになるがよい!』

「死にたくない…… もっと知りたい…… もっと…… もっと…… 効率的な…… 大量破壊を……」

「獣王……『【戦襲連呀】』」

デンライが獣呀で、千の必殺の斬撃を放った!

「ぎゃあぁぁぁぁ! 俺の身体がぁぁぁぁ!?」

斬撃を受けた暗黒騎士どくやくしの身体が…… 四散して消滅する!

暗黒騎士どくやくしの身体が徐々に消滅して、残るは頭部だけになった時…… 暗黒騎士どくやくしの頭部が消えた!?

「『!?』 てめぇは!」

「クソがぁ…… もっと早く助けろ! クソ勇者!」

「うるせぇ! 文句なら、あの仮面野郎に言え!」

暗黒騎士どくやくしの首をぶら下げて現れたのは…… ジノに爆散されたはずの帝国勇者だった!

「聖女の元に急げ!」

「俺に指図するな!」

「待て!」

「待つかよ」

暗黒騎士どくやくしの首を持って、帝国勇者は転移した。

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