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第9章 新世界狂想編 

魔王対勇者パーティー… そして、魔王は因縁に気付く!?

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「くっ!」

私の零距離魔弾胎内撃ちで、膝をついた聖女あのこに魔力の流れが見える!?

私は後ろに下がると、地面から聖女あのこを囲んで光の槍が生える!

「光魔法…… 聖魔法か?」

「あの瞬間で…… この範囲の魔法も避けれるの!?」

聖女あのこを中心に半径50メートルぐらいが、地面から生えた光の槍で埋め尽くされているが……

ドゴーン!

「ヒィ!?」

「あれ…… 外れた?」

聖女あのこのすぐ横の光の槍を殴ってしまった。

どうやら…… 急な【神格化】に、私の思考が追い付いてないな? 身体だけが加速しているみたい……

「(ヤバイ! 例えるなら…… 壁の前に向かって【歩こう】と思って移動したら、一瞬で壁に激突してから気付く状態だ…… だから、撃ち込みが遅れる)よ!」

「ヒィヤァ!?」ドゴーン!

(かすったか?)

 聖女のローブが破ける……!?

カナエの【神眼】に光の矢が迫る……【光景】が見えた! カナエは後方の上空に移動すると、カナエのいた位置に光の矢が現れる。

「魔法が当たらない!?」

驚いた聖女あのこの顔を見ながら、私は確信した…… 私の神眼に〝未来〟が見えてる。

(神格を得た事で神眼がパワーアップした…… いや、神眼が本来の力を開放したのかな…… 神眼だし?)

とにかく、私の目に〝先の未来ビジョン〟が映る…… だから、聖女あのこと戦える!

ドゴーン!

「ガハァ!」

聖女あのこの腹に拳を当て…… 魔弾を胎内に撃ち込む!

「ごふぁ…… こぉ!?」

聖女あのこの魔法が発動する…… 範囲から回避。

「そう言う事か…… まさに【聖域】ね」

聖女あのこが死神PKの時との違い……〝固有結界〟と武器や格闘戦の〝直接攻撃〟が無い事。

「その固有結界……〝移動禁止〟…… もしくは、〝武器格闘攻撃禁止〟のデメリットがあるね」

「!?」

(やっぱりか…… 聖女あのこが〝魔法と召喚〟以外使わないから、おかしいと思ってたんだよね……)

何よりも、聖女が死神PKの時の鎌ギロチン攻撃でカウンターしていたら…… カナエに不利だった。

今のカナエは……

制御出来ない身体を未来視さきみで、無理に動かしてる状態だ…… 相手が武器持ちの戦士タイプなら…… 武器に突っ込み自爆する可能性もあるから……

聖女あのこが移動しないから…… 慣れない加速で撃ち込める!)

ドゴーン!
「ぐっ…… ごっはぁ!?」ビチャビチャ……

私の拳が聖女あのこの腹に当たる度に…… 聖女あのこの腹が弾けて散っては、飛び散った血肉と骨や臓器が【再生】される。

「(グロいな……)お腹じゃ…… 致命傷にならない? 心臓か頭を潰さないと…… ダメ?」

「くっ!」

(うん? 私の神眼に……)

【アイツ】が映る!?

「!?」

私はしゃがんで……〝浮遊〟で後ろに滑り込み!

「チッ! 外したか……」

私がいた頭の位置を……【帝国勇者】が殴ってる。

「勇者召喚…… 剣はどうしたの弱い者虐めの勇者さん?」

現れた帝国勇者は…… ボロボロでした。

「どうやら…… 死に戻り直後か、身代りアイテムで逃げて来たって…… 処かしら?」

実は…… ジノの必殺キックを受けて爆砕する瞬間…… 帝国勇者の身代りアイテムが発動!

爆発に紛れて暗黒騎士どくやくしの元へ…… 死に戻りは免れたが、ジノの攻撃で装備品はズタボロになっていた。

「うるせぇ! てめぇも軽装だろうが…… すぐにひん剥いてやる!」

「これで、三対一…… 魔王を捕らえて実験だ!」

「へ……」

「「「へ?」」」

「変態ぃ~!!!」

フェイスガードが割れた禍々しい兜を被った…… 全裸の男が現れた!?

「ちょ!? ちょっと! なんて物をお姉様に! 汚らわしい……」

「変態野郎!」

「違う! おのれ…… 獣王めぇ~!」

デンライの必殺技で、首だけになった暗黒騎士どくやくしは、聖女のスキルで身体を再生したが……

装備品は塵と消えて…… 兜以外は裸だった。

「え~っと…… 移動出来ない聖女にズタボロ勇者と変態裸兜を相手するの? ちょっとヤダな……(頭の構造が…… かなり怪しい感じの三人?を相手するのか……)」

「死ね! 魔王!」ドゴーン!ビチャ……

殴り掛かって来た帝国勇者の腹に…… 必殺の炸裂魔弾パンチ!

「頭が足りない勇者に……」

「食らえ!」

暗黒騎士どくやくしが投げた薬物を風魔法で返す!

ジュウ!
「ギャアァァァ!?」

暗黒騎士どくやくしに薬物が掛かると…… 変態の肌が溶けた。

「露出狂の変態裸兜……」

私は…… 後方に移動する。

「くっ!」ドゴーン!

私がいた範囲に…… 勇者と変態を巻き込んだ爆発が起きる!

「異常なストーカーか……」

勇者と変態が再生して…… 起き上がる。

「(どうやら…… 聖女あのこの固有結界は、味方パーティーで効果があるらしいね……)これって…… ピンチ?」

端から見たら、魔王対勇者パーティーなんだけど……

勇者パーティーのメンバーがダメダメだ。

「あっ……」

勇者達の同時攻撃!?…… を無視して、帝国勇者に突っ込む!

私には、未来視みえている……【仲間】の姿が!

「はっ!」

聖女あのこの魔法を…… 現れた【仮面のヒーロー】さんが拳で切り払い!

「うりゃ!」

飛び掛かる変態裸兜を魔○騎士な【獣王】君が大剣で叩き落とす!

その姿を見ながら…… 私は【あの日】以来ぶりの必殺技を放つ!

急加速して身体をひねりながら、帝国勇者の腹に頭突きを放つ…… あまりの威力に帝国勇者の装備品が砕け散り、帝国勇者はきりもみしながら吹き飛び…… 地面を転げ回り止まった。

「こ…… このクソガキが……」

帝国勇者がふらふらと立ち上がる姿に……

カナエの頭で【あの日】の事がフラッシュバックする……

「あの時の……【誘拐犯】!?」

帝国勇者に…… カナエが長い眠りについた原因の【男】の姿が重なった。

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