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第9章 新世界狂想編 

因縁が片付いたと思ったら… フラグだった様です

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「じゃあ、名残惜しけど…… いったん、お別れね」

親友が私から離れながら、そう言った。

「うん…… 運営さんだもんね」

運営側の彼女が、あまり私と仲が良いのは…… 良くないよね。

「そんな顔しないの! またすぐに会えるから♪」

「え!?」

「またね♪」

そう言って、彼女は消えると…… 私達以外止まっていた時が動き始めた。

「で、帝国勇者アレが動かないけど…… なんで?」

現実リアルで逮捕されたはずの帝国勇者のアバターが、親友にひっ叩かれて…… 縛られた状態で顔面スライディングして、土下座の体勢からピクリともしない。

「アカウント無しで消えない…… バグか?」

「また呼ばないと……」

「ぎゃあ~!?」

「「「!?」」」

「毒薬師の身体が影に!?」

「闇移動! 誰が?」

「不味い! 狙いは勇者だ!」

帝国勇者の上半身は、影に飲まれた。

「力が抜ける? 限界突破のタイムオーバー!?」

「くっ! 間に合わないぞ!」

影から、聖女を引き剥がしたジノさんが叫ぶ!

「させません! 必殺の【ロケットショットガングローブ】!」

影に飲まれて行く帝国勇者に向かい、私は、右手の指先を揃えた状態で狙いを定めて叫んだ!

ドッゴン!

次の瞬間…… 私の右手にはめていた【ショットガングローブ】が飛んだ!

バン!

帝国勇者の下半身に命中したショットガングローブが散弾で、帝国勇者の下半身を吹き飛ばしたのを確認した処で…… 私の意識が途切れた。

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 ~ ??? ~

「ふっ…… ふははは…… あはははははははは…… 手に入れた…… ついに、手に入れたわ。【堕ちた聖人】の身体を!」

「我等の悲願……」

「多くの同胞達が散ったが…… 彼等は我等に希望を残した」

「しかし…… 半身が失われている…… 大丈夫なのか?」

「心配は…… 無い。ロデスが残した術式と玄黯の資料と設備がある」

「なるほど…… その身体から、【あの方】の新たな身体うつわを作るのですね」

「そう…… 我等の全てをかけて、最高の身体うつわを作るのよ」

「コイツは…… どうする?」

「堕ちた聖人の仲間か……」

「魔王こわい獣王こわいヒーローこわい……」

「いい感じに…… 壊れているな」

「久しぶりですね…… 我等の同胞が誕生するのは」

「では、始めよ」

「「「「「その恐怖を喰らいて、同胞まじんに生まれ変わるがよい」」」」」

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 ~ 王国 冒険屋 ~

「…… 見覚えがある天井だ。また…… 気絶するとは……」

あの後、【神格化】の反動か? 気絶判定を受けて…… ログアウト。

気絶判定が取れたので、ログインして目覚めたら…… 冒険屋の私の部屋?でした。

「…… この部屋…… こんなに広かった?…… え!? ベッドでか!」

目覚めた私が部屋を見回すと…… 部屋全体が巨大化してる!?

「マスター、お目覚めですか?」

困惑する私に話し掛けて来たのは、何処かで見覚えがある…… 巨人の幼女?

「え…… マスター? もしかして…… フェアリエ!?」

「はい、マスター」

「その姿は……」

フェアリエの姿は、光の加減で七色に光るプラチナブロンドの長い髪の幼女。

服装は、ロッテ達が作った通常装備のアーマードレスのアーマーを外したドレスを着ている……

「ここは…… フェアリエの部屋?」

「ここは、王国の冒険屋のマスター部屋です」

「…… 何時の間に…… 冒険屋が巨大化したの?」

「冒険屋は巨大化していません。マスターが小型化しました」

「え……」

「マスターが意識を失ったので、私が【人化】して此処まで運びました。ベッドに寝かせたマスターが小型化を初め…… マスターとリンクして、私もこの姿になりました」

フェアリエの言葉に、改めて部屋を見回す…… 全てが巨大に見える。

「私…… 小人になった……」

たぶん、今の私は…… 身長が25㎝も無いだろうな……

私も、登場作品が違うけど、家名?が同じな○ャムちゃん○リスちゃんのファ○姉妹の仲間入りか? カナエ・○ァウと名乗り、コックピットで耳元で怒鳴らないといけないかな?

「つまり…… 一般的な妖精フェアリーの姿になってるって事か……」

「マスター?」

「まあ…… とりあえずは、みんなの処に行こう」

ベッドから起きて、立ち上がる…… 自動サイズ調整のおかげで、起きたら裸のお約束は…… 回避成功!

「じゃ、行こう」

ドアに向かって浮遊する…… 

「(ちょっと遠いな……)はっ!? ドアが開けれない!」

私は…… 巨大なドアノブが回せず、ドアノブの上に崩れ墜ちる。

「マスター、お任せ下さい」

崩れ墜ちた私を頭に乗せて、フェアリエがドアを開けた。

 ・
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フェアリエの頭に乗って、みんなの元へ向かう……

「きゃ~❤」

「へっ…… ぐえ!?」

みんなのいる部屋に入った瞬間…… 誰かに鷲掴みにされた!?

「可愛い❤」

「ちょ! ちょっと!? 出る! 色々(内臓が)出ちゃう!?」

薄れそうな意識の中で、鷲掴みにしている相手を見ると…… 冒険者の姿をした【親友】でした。

(何故いる!? やめて~、振らないで! 出ちゃう! いろいろと、出ちゃう!?)

初死に戻りの危機は、巨乳と幼女の次は…… 親友の手でした。

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