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第10章 種を超えた妖精は夢と舞踊る編

海底古代遺跡調査と訪ねて来た者達

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「コレは…… 緊急脱出装置か?」

「たぶん…… 女神像型機神のコックピットですね」

「って事は!? 古代人か!」

「もしくは…… ダンジョンマスターだな」

「鑑定しましたけど…… コックピット内の時間が停止してるみたいですね」

「コレの中身が何者か知る為にも、奥を調べる必要があるな」

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「これは…… 女神像型機神の下半身?」

古代遺跡の最深部に…… 何かに引きちぎられた台座に固定された機神の下半身と散らばった部品が転がっていた。

『マザーグースと同じ、システム系統の様ですね』

「レイ達にデータの回収を頼めるかな?」

『スパイダーとゴーレム達に、重要機材を回収させましょう』

ダンジョン化して間も無い様で…… くまなく探したけど、モンスター化した古代兵器以外、宝箱などは無かった。

「ダンジョン化した影響で稼働した生産ライン以外の兵器は…… 劣化が激しく、使い物にならないな」

「海の底だからな…… 劣化してない女神像型の方が可笑しいんだ」

「あの部屋は、特別の様です」

『厳重な封印の痕跡がありましたが…… ダンジョン化の影響で破られた様ですね』

「何が原因でダンジョン化したんだ?」

「たぶん…… 私達が倒したボスモンスターが原因」

「あの化物が?」

「あの生物部分がダンジョンマスターだったんだと思う。寄生型のモンスターがダンジョンコアに寄生して、この古代遺跡に住み着いた…… んじゃないかな?」

「ダンジョンコアに寄生するモンスターか…… 調査も済んだし、一度戻ろう」

「「了解」」

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 ~ 日ノ本 温泉旅館ぼうけん屋 ~

カッポ~ン♪
「ふぅ…… 後はレイ達の解析待ちかぁ……」

海底探索後…… 私とフェアリエは、ぼうけん屋の温泉に来ていた。

「出来る限り慎重に持ち出しましたけど…… 劣化とダンジョンマスターが荒らしたせいで、復元に時間がかかる様です」

「回収したコックピットは?」

「データが復元するまでは、小妖精月フェアリームーンで厳重な封印と監視をしてます」

「敵じゃなければ良いけどねぇ……」

温泉に浸かって身体を伸ばす私を見て、察したのか? フェアリエが聞いてきた……

「ジノさんとデンライさんは、次の依頼ですか?」

「行方不明の緑人の調査だって…… 月の遺跡調査は、月にいるプロプレイヤーがやるって」

「行きたかったんですね…… 月に」

「うん……」

月行きが無くなったので、レイ達の解析を待つ間に、どうするか考える。

「この後…… どうしようかな……」

「わた「曲者だ! であえ~! であえ~!」ちょっと待って下さい! 話を聞いてぇ~」

突然現れた全裸の少女を…… 巴達が捕らえた。

「貴女は…… 忍者娘?」

捕らえた少女は…… 勇者娘パーティーの忍者娘でした。

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「で、私に何か用?」

着替えて客間に行くと…… 正座で勇者娘パーティーが待ってました。

「「「「私達を鍛えて下さい! お願いします!」」」」

「あっ、え~っと…… その前に、あの子はいいの?」

土下座した勇者娘パーティーの後で…… 忍者娘が全裸で巴に尻叩きされていた。

「抜け駆けしたのが悪い!」

「私達を置いて行った!」

「一人で温泉に入ったし」

「そして、なによりも……」

「「「「先生の裸を見た! ギルティ!」」」」

「そこなの!?」

「尻叩きでは、生温い!」

「石を抱かせて」

「股裂き」

「水車に縛り付けましょうか?」

勇者娘パーティーが物騒な事を言い出した……

「何故に、その拷問を知ってるの?」

「「「「時代劇です」」」」

「あっ、そう……」

とりあえず…… 忍者娘にも着替えて貰い、改めて話し合う。

「うぅ~…… お尻がぁ」

「当然の罰だね」

「「「うんうん」」」

「で…… 鍛えて欲しいと?」

「「「「「はい!」」」」」

「何で、私に?」

「実は……」

「私達には」

「倒さないといけない」

「魔王が……」

「いるんです!」

「どう言う事かな?」

話を聞くと……

彼女達、勇者娘パーティーが新世界を始めた頃に遡った。

「当時の私達は、まだ初心者で…… よくわからないままに楽しんでました」

「そんな時です……」

「アイツが現れたのは」

「何かにつけて…… 私達にアドバイスと称して、絡んできました」

「とにかく、ウザイ効率ぼうで……」

「初期ジョブが冒険者の私に…… 冒険者はムズいから、はやく作り直したら?とか、まだ冒険者なの?とか……」

「煽ってたよねぇ~」

「自分は、上級者向けの魔法剣士のソロプレイヤーだったよねぇ~」

「で?」

「あまりにウザかったので…… 対戦を申し込み、一騎討ちする事になりました」

「その時の戦い方が…… 酷くて」

「虐めだよ…… あんなのは……」

「なんとか耐えてる内に、条件が満たされた様で…… 対戦終了直後に、勇者職にクラスアップしてしまい……」

「相手を魔王認定してしまった…… と?」

「はい……」

その戦いは…… かなり一方的だった様で……

「対人戦で格下相手に手足を切り刻み、目潰しに防具破壊して恥ずかしい目に合わせる……」

「耐えきれず、ギブアップした私に…… 俺が受けた嫌な攻撃だ。だから、冒険者はダメなんだ。ですよ! 頭に来て、この魔王が!……って、言っちゃったんです……」

「それが…… 魔王認定になった訳ね?」

「はい……」

戦い慣れてる魔法剣士魔王かぁ…… そんな奴がいるなら、うちの子達も危ないかも知れないなぁ…

「対策するか……(私なりにね♪)」

私は…… 魔王対策に勇者娘パーティーを鍛える事にした。

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