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第10章 種を超えた妖精は夢と舞踊る編

古代超巨大戦艦攻略イベント 魔王幼女マコと喋って飛び出す絵本?

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「ここなら…… 大丈夫」

カナエは…… マコ達を連れて、〝レンタルエリア〟に来ていた。

レンタルエリアは…… イベント中に借りれるプライベートエリアで、主にソロプレイヤー達がパーティープレイの練習に使ったりしている。

「カナちゃん、ここで…… なにするの?」

「今から…… 色んな子を召喚するから、好きな子とお友達になると良いよ♪」

「「『!?』」」

「そんな事が…… 出来るのですか?」

「しょう…… かん?」

『マコ…… 我の様な者達を喚ぶ魔法の事だ』

「ウーちゃん? おおきなオオカミさんをよぶの?」

「狼だけじゃないけどね。色んな子を紹介するから…… 仲良くなった子をテイムすると良いよ♪」

カナエが刻印術で、レンタルエリアの地面に〝転移陣〟を印字した。

「それじゃあ…… 行くよ♪」

カナエが召喚魔法に見せかけて……〝ダンジョン〟から〝ダンジョンマスター〟として、〝あの子達〟を呼び込んだ。

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「お友だちが…… いっぱい♪」

〝もふもふ〟にまみれて、笑うマコと……

『フン、我よりも貧弱な奴等よ』

不機嫌なウーに……

「ウー、仲良くしないと…… 解っているでしょうね?」

ウーに…… にこやかに釘を刺すエリ。

「マコちゃん…… 大丈夫なの?」

「うん♪ ちゃんと仲良くするよ♪」

ベビー系のもふもふに抱き付きながら、マコが笑う。

「まさか…… 呼び込んだ先からテイムするとは……」

最初に魔王種のウーをテイムした事で…… マコのテイムスキルは、Lvがカンストしていた。

「流石に…… この数は…… 連れては、歩けないですね……」

「マコちゃん、拠点…… この世界にお家ある?」

「おうち? ないよ」

『我がいれば、必要無い!』

「ウーがいたので…… 人里に入れずに…… 安全な拠点を用意出来ませんでした…」

何か理解してないマコと偉そうなウー…… そして、疲れた顔のエリが気不味そうにしている。

「う~ん…… マコちゃん」

「なぁに?」

嬉しそうに、もふもふを抱くマコに……

「まだ…… テイム出来る?」

と、カナエが聞いた。

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「マコさま! 来ます!」

超巨大戦艦攻略に戻ったマコ達に、モンスター達が迫る!

「グリちゃん、おねがい♪」

『了解…… 10ページ、17ページ、38ページを開放します』

マコの持つ〝本〟が浮き上がりページを捲る…… 開かれたページが光り、ページに描かれた者達が現れる!?

「スクちゃん、ドンちゃん、マーちゃん、みんなでガンバろうね♪」

「『「はい♪」』」

スクちゃんは…… マコくらいの子供の天使像が完全武装したヴァルキリーゴーレム。

ドンちゃんは…… ベビーガードタートル。亀型モンスターで、物理ダメージ耐性と魔法ダメージ耐性を持つ上に状態異常に対しても高い耐性を持つ…… 赤ちゃんでも強力な鉄壁の盾役。

マーちゃんは…… 魔法を覚えた座敷童子で見た目は…… 日本の着せ替え人形風の顔にゴスロリドレスを着せた感じの可愛い子で、妖術が使えるのに魔法を使える様に頑張った努力家の座敷童子の一人。

『ウーとスクは前に! ドンは結界を…… マーは、マスターマコを守りながら後方から魔法攻撃…… エリさんはサポートを……』

マコの手の上に浮く本から、戦闘指示が飛ぶ!

魔法生命魔導書【グリモワール】…… カナエが作った本型魔法生命モンスター。

元は、カナエが魔法を封じ込めて射ち出せる魔導書として作ったが…… マコの職業に対して最適化して、テイムした相手を収納して飼育出来る魔導書に作り直した。

収納する相手に合わせて、ページ内の環境が最適な環境に変わる機能を持つ。

例えるならば…… 持ち運びが出来る本型動物園!

飼育などの経験が無いマコの為に…… カナエが対話学習機能を追加し、意思のある装備品として扱える様に改良した。

カナエが…… マコの飼育学習とエリの負担軽減の為に、マコに渡す前に〝いろいろ〟としてから渡したのだが…… 機能を条件付きで封じて渡したので…… マコは、喋って飛び出す絵本みたいだと思った。

「その感じで、グリモワール…… お友達と相談しながら、頑張ってね?」

「うん♪」

立つ練習の為に、グリモワールを開きながら立つマコを、エリとカナエが支えながら戦闘が続く。

その様子を…… 遠くから見たプレイヤー達は……

「何だ!?」

「本から…… 天使と亀とゴスロリ幼女!?」

「サモナー…… 召喚魔法か?」

「魔導書……って、武器なのか?」

「使い捨ての札なら知ってるけど……」

「魔導書は…… 何度も使えるのか?」

「私に聞かないでよ! あんなの初めて見るわ……」

「魔導書か…… 本を売ってる場所なら…… 何処だ?」

「がぁ! 気になる!」

プレイヤー達が騒がしくなる中……

「また…… とんでもない物を作ったなぁ……」

「本かぁ…… お料理の本なら欲しいな♪」

「わたし達では…… 使う人はいませんね」

「新しいクランメンバーが増えそうね……」

「俺よりも、クランリーダーしてないか?」

「新しい友だち♪ ユキと同じくらい…… かな?」

リン達、クマカジャーメンバーは…… 新たなクランメンバー候補として、マコ達を違う意味で興味深く見ていた。

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