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第10章 種を超えた妖精は夢と舞踊る編

古代超巨大戦艦攻略イベント 魔王幼女と混沌神な妖精

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呼び出されたら…… 幼い女の子が自由落下中でした。

「とりあえず……」

女の子に妖精の粉を使って【浮遊】を付与して、Fフィールドを展開。

「砲撃が邪魔だね」

女の子の回りの砲弾を魔弾で撃ち落とし、女の子を守ると……

「ウーちゃん、エリちゃん」

大きな狼とそれに跨がる少女に手を振る。

「これはこれは…… 可愛らしい魔王ちゃんね♪」

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 ~ 魔王幼女マコ ~

ウーちゃんの背中から落ちたら…… ピカってなって、妖精さんが出てきた。

「妖精さん?」

「妖精? なるほど、そう言う事か…… 私は妖精のカナ。魔王ちゃんのお名前は?」

「カナ……ちゃん? マコはマコだよ」

「マコちゃんね。よろしく」

ウーちゃんとエリちゃんが来たから、カナちゃんが「安全な場所に行きましょう」って、キラキラと飛んで行くのをウーちゃんに乗って付いてく。

「ここなら…… とりあえず、安全かな」

「お店と人がいっぱい!」

「ここは…… 安全地帯ですか?」

『フン、こんな事をするよりも、皆で、アレを攻めれば良いだろうが』

「そう言って、また返り討ちになるの?」

『くっ!』

「せめて…… マコちゃん達の装備を、どうにかしないとね」

「そうび?」

「そこからか……」

「すみません…… マコさまは…… なかなか人里に入れないので……」

マコのゲーム開始の初期位置は、森の中の遺跡だった。

サポートユニットのエリを連れて、森を歩いていたら…… 魔王種のウーに出会い、マコをウーが気に入りテイムされた。

それ以来、ウーが戦闘と移動をエリがマコの世話をする関係になり…… マコが魔王になった事で、ウーが人里を避けた結果……

「それで…… 初期装備のままなのね」

「はい……」

「? この服じゃあ…… ダメなの?」

マコが初期装備のワンピースのスカートを掴む。

「その服よりも、物が当たったりしても痛く無い服があるから…… 買い物しようか?」

「うん♪」

『フン、我が戦うので、マコには「ウー…… マコさまのあ・ん・ぜ・ん・が、第一です!」…… チッ……』

「ウー…… シンプルな初期装備よりも、可愛い装備のマコちゃん…… 見たくない?」

『…… 今回の事もある…… 安全が第一だからな……』

ウーの尻尾が…… 激しく揺れた。

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「ここだよ♪」

「え~っと…… よう……せい……?」

「妖精工房です。マコさま」

「ダイヤ、この子達に合う装備を用意して」

「かしこまりました」

「ウーちゃん、エリちゃん、服がいっぱいだよ♪」

ダイヤが持って来た装備品に、マコの目が輝く。

「とりあえず、制限の無い装備品をお持ちしましたが…… ご予算はどのくらいでしょうか?」

初期装備のマコ達を見て、所持金が少ないと感じたのか? ダイヤが確認すると……

「よさん……?」

「お金、Gの事ですよ。マコさま」

「おかね…… ごーるど…… いっぱいあるよ♪」

『この前、我が生意気な竜を倒したからな』

ウーが倒した竜は巣持ちで、かなりの財産を溜め込んでいたそうだ。

「じゃあ、好きなの選べば良いよ。でも、動き回るならスカートじゃない方が良いかもね」

「わたし…… うまく歩けないの……」

「マコさま……」

『マコ…… 気にするな! 我が背に乗っていれば良い』

マコは、生まれて間もない頃に…… 大事故に巻き込まれて、足が麻痺する怪我をした。

長い治療で傷は完治したが…… 足を動かす事を知らずに育った為に、歩く事が出来なかった。

「うまく立てないし…… 歩けないから…… リハビリにって、ゲームを買って来てくれたの」

「じゃあ、歩く練習もしないとね♪」

「カナちゃん?」

「カナさん!」

『貴様!』

「私もね…… 少し前までは、身体が動かせなかったの」

「「『!?』」」

「ほんとうに……?」

「ええ…… 今も一人での長時間の動きは無理…… でもね。この世界なら自由に動けるの♪」

玩具の着せ替え人形サイズ妖精姿のカナエが、マコの回りを自由に動き回る。

「わたしも…… できるかな?」

「大丈夫、出来るよ。それにね…… 新世界こっちで練習すると、あっちリアルで身体が動きやすくなるの」

「わたし…… がんばる!」

「それじゃあ、装備を選びましょうか?」

「うん♪」

みんなで相談しながら、マコの装備を選ぶ。

「マコちゃんは、テイマーでしょ?」

「ていまー?」

「マコさま、ウーみたいな子とお友達になる職業です」

『マコには、我がいれば良い。他はいらぬ』

「ウーちゃん、わたしは…… 友だちがいっぱい欲しいよ」

『マコ!? 我だけでは不満か?』

「まぁまぁ、さっきの戦いを見ると…… ウーだけで、マコちゃんを守りながら戦うのは…… 無理でしょう?」

「確かに…… マコさまを乗せたウーが戦うのは、マコさまが危険です」

『くっ…… マコを危険に晒すのは、我も本意ではない』

「ウーの代わりに戦う子がいれば、ウーはマコちゃんの守りに専念出来るよ。私に心当たりがあるから」

『しばらくは…… マコの足代わりに専念するとしよう』

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「どう…… かな?」

新しい装備をしたマコが恥ずかしそうに、カナエ達を見る。

『マコ、良いぞ♪』

『お似合いです。マコさま♪」

「これなら、大丈夫だね♪」

マコは…… 長い黒髪をツインテールにして、小さい悪魔の翼の付いた黒いロングコートの中に赤いミニスカエプロンドレスと黒いロングブーツを身に纏っていた。

スカートの下は…… スパッツである。

「装備も決まったし…… 新しい友達を作りに行こうか?」

「「『ともだち?』」」

首を傾げるマコ達を連れて、カナエは妖精工房を後にした。

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