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外伝 とある新人生産プレイヤーは…… 気付いたら、神の子供(双子)の専属メカニックになってました!?

日蝕と月蝕を司る双子神

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「ここ?」

「そのはずだけど……」

モナが新型の試作をしている頃……

カノンとカンナは、まるで鏡の様に空を映す巨大な湖に来ていた。

カノンとカンナがいる【鏡神の湖】と言われる湖は…… 昼には光の最高神が、夜には闇の最高神が現れると言われる〝聖地巡礼〟の地だった。

「ここなら…… 会える?」

「たぶんね…… あれ?」

カノンとカンナが、水深が浅く靴底くらいの湖を歩いて中心部に向かっていると……

「暗くなって来た…… 雲?」

「雲は無かったけど…… うん? 太陽が……」

「太陽?」

「欠けてる…… 日蝕?」

カノンとカンナが空を見ると、太陽が黒く欠け始めて日蝕が始まった。

『『やっと来たね♪』』

「「えっ!?」」

重なる声にカノンとカンナが振り返ると……

「星が…… 夜? ここは…… カンナ?」

振り返ったカノンが見たのは、無数の星が煌めく夜の鏡神の湖だが……

「月が黒い…… 月蝕?」

何時の間にか、月蝕の夜になった鏡神の湖に一人…… カノンは立っていた。

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「カノン兄~! 何処~?」

月蝕の鏡神の湖にカノンが立っていた頃……

カンナは、日蝕の鏡神の湖に一人…… 残されていた。

「あれ? カノン兄…… のそっくりさん?」

気付いたら…… カンナの前には、カノンが立っていたが……

「やる気だね……」

その手には、愛用のライフルをカンナに向けて構えていた。

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ドッゴーン!
月蝕の夜の鏡神の湖に激しい水柱が立ち、波紋が広がる!

「装備は…… 本物と同じみたいだね?」

カノンが避けた斬撃で鏡神の湖の水面を叩いたのは…… カンナの姿をしていた。

「だけど!」

カノンが後方に跳びながら愛用のライフルを構え…… パン!

カンナの姿をした人物に発砲して、その反動でさらに後方に跳ぶが……

「!? さらに踏み込んで来る…… 反応までカンナみたいで、ちょっとイラって来たよ」

カノンの射撃を掻い潜り、カンナの姿をした人物がさらなる斬撃を放って来た!

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バーン!
鏡神の湖の水面に、射撃の着弾で水柱が上がる!

「カノン兄なみに…… 正確な射撃をありがとう!」

避け切れない射撃を、大剣で弾いたカンナが踏み込んで斬撃を放つが……

バン!

斬撃に合わせて、放たれた弾丸に大剣が弾かれる!

「くっ!」

カンナは、弾かれた大剣を手放さない様に握り締めては……

バン!バン!

「あぶな!?」

追撃の発砲を掻い潜り、さらに踏み込みのだった。

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「カンナの姿で無表情、おまけに大剣を振り回されるのは…… ちょっとリアルで夢に見そうだから…… そろそろ終わりにするよ」

そう言ってカノンは…… 斬りかかるカンナの姿をした人物を、大剣を避けては…… 投げ飛ばした!

「これで…… 終わりかな?」

カンナの姿の人物を投げ飛ばしたカノンは、直ぐに月蝕の月にライフルを構えて……

バン!

月を狙撃した。

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「これ以上は、夜のトイレに…… カノン兄の付き添いが頼め無くなるから…… 終わらせる!」

カンナの斬撃が届かない距離で、カノンの姿の人物がライフルを構えた……

「狙い通り……」

バン!

カノンの姿の人物がライフルを発砲すると、その弾丸にカンナが大剣を…… 野球のバットの様にフルスイングした!

「くっ!…… ホ~ムラン♪」

カンナが打ち返した弾丸は…… 日蝕の太陽を打ち抜くのだった。

「くっ!?」

「きゃ!?」

カノンとカンナが月蝕の月と日蝕の太陽を打ち抜くと……

「さすがだね……」

「本当に……」

よく似た二人の人物が現れた。

「あなた方は……」

「神さま?」

「そう、僕達は【闇と光の双子神】。僕が【日蝕の神】で……」

双子の白い髪で褐色の肌に白い服装の日蝕の神が名乗ると……

「私が【月蝕の神】だよ♪」

黒い髪に白い肌で黒い服装の月蝕の神が、嬉しそうに名乗る。

「僕は、カノンで……」

「私がカンナです♪」

カノンとカンナが名乗ると、闇と光の双子神が嬉しそうに微笑んだ。

「蒼人と神々の約束の通り、僕達の加護を君達に与えよう……」

ピコ~ン♪
『聖地巡礼で、プレイヤー初の【闇と光の双子神】に遭遇者が現れました。初遭遇者にボーナス特典と称号が贈られます』

「「えっ……」」

「アラ? じゃあ、試練達成のお祝いもしないとね♪」

ピコ~ン♪
『月蝕(日蝕)の試練をクリアしました。それにより、【闇と光の双子神の加護】が【闇と光の双子神の寵愛】に換わりました』

「さあ、試練を達成した証に…… この【神魂石】を渡そう」

月蝕の神からカノンに、日蝕の神からはカンナに、光輝く【神魂石】が渡される。

「これは?」

「この石は、神々の力の結晶……」

「産まれたばかりの私達を〝邪神〟から護る為に…… 神々が張った結界が結晶化した偶然の産物…… だった物」

「偶然の産物だった物?」

「とある新たな神が…… 作り出しちゃったんだよね……」

「しかも、意外と簡単に…… だから」

「僕の」
「私の」

「「初めての加護の記念に贈る事する」」

「えっ、ちょっと!?」

「待って!?」

「次は、彼方でね?」

「またね~♪」

そう言って…… 神魂石をカノンとカンナに残して、闇と光の双子神は姿を消した。

「なんか……」

「うん……」

「「会った事がある気がする?」」

何時の間にか辺りは…… 首を傾げるカノンとカンナ以外は、何時もの鏡神の湖に戻っていた。

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