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スーパーに飛び込み営業
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米農家の菊池さんという伝手が出来たので、そのうち、若返りの付与がついてない普通のフルーツとか農作物を卸せるようにして収入を増やしたい。
口約束も終わり、母親に農作物とフルーツを渡したあと、自宅へと自転車で戻る。
その頃には、時間も夕方に差し掛かっていたので、若返りの付与のある野菜と、近くのスーパーで購入した豚小間を使ってホイコーロを作り食事とした。
飯を食べながら俺は思った。
スーパーに若返りの付与のない農作物を格安で売りつければ、ある程度は、纏まった金になるのでは? と。
ネットで調べてみると、普通は成果市場に売ることが常識になっているらしい。
あと契約をすると数量や価格などの取り決めが年間契約で固定になるために、生産者にメリットがないと書かれていた。
だが、時代はダンジョン時代。
新しい時代の到来。
そうなると一般的な生産からの契約取引先への卸しとは一線を画すことになる。
何しろ、ダンジョンに潜れば一次生産系はいくらでも採取することが出来るからだ。
「やってみる価値はあるな」
日は沈みかけていて夕方の時刻を少し過ぎているくらいだが、逆に顧客が少ないのでスーパーの決済担当などを捕まえることが出来れば早期契約を結べるかも知れない。
善は急げ。
スーツを着て、ネットで簡単に発注しコンビニで作れる名刺を手に近くのスーパーへと足を運んだ。
俺の目論見通り、スーパーは夕方を過ぎた事もあり昼間よりも暇らしく直に担当と会う事が出来た。
所謂、飛び込み営業というやつだ。
「お待たせしました」
スーパーの店長の名札をつけた人に営業に来たことを話して通されたのは、バックヤード側の事務所のような場所であった。
「いえ。こちらこそ。突然、伺ってしまって」
「いえいえ。いつも当店を利用いただいていますから」
どうやら俺のことは営業ではなく一顧客として見ているようだ。
それは、それで助かる。
飛び込み営業は、有無を言わさずお帰りくださいをされるのが、どこの業界でも当たり前だからだ。
その点、常日頃から使っているスーパーとの取引を考えたのは恥ずかしい反面、メリットでもあった。
何しろ、最初の営業が飛び越えるハードルである話を聞いてもらうを素通りする事が出来たのだから。
「それで、本日は、どのようなご用件でしょうか?」
「じつは私は、このような者でして」
俺はコンビニで印刷したペラペラの名刺を名刺入れから取り出すとスーパーの店長へと渡す。
「これは、冒険者の方でしたか……。と、なると、それに付随する商品を卸したいという事でしょうか?」
「そうなります」
「そうですか……。それは少し難しいですね。当店も成果市場や問屋様との取引がありますから、突然起こしになられて、はい、そうですかと取引をすることは出来ないんですよ」
「それは分かっております。ですが、ダンジョン産の農作物は天候に収穫数や収穫時期が左右されない部分が大きいと思っております」
「なるほど……。つまり市場に本来は出回ることがない季節のモノを穴埋めしたい。その穴埋め農作物で取引を行いたいと……そういうことですか?」
「はい」
俺は力強く頷く。
既存の農作物の販売価格やルートを破壊するような販売方法は下の下。
それなら季節によっては収穫が出来ない農作物を提供する。
スイカが冬に収穫できないように、秋、冬、春にスイカを提供し、スーパーはそれを販売して利益を出す。
これは一部の案に過ぎないが俺が言いたいことが伝わったのか思考していた店長が頷く。
「たしかに、今までの常識が通じない。それがダンジョンですね。そのダンジョンから得られる収穫物を店頭に並べることが出来れば常に春夏秋冬のフルーツや農作物を顧客が購入することが出来る。それは、当店だけでなく当店と同じ支店においても市場で戦う上で強い味方になるでしょう」
そこでようやく店長が名刺を取り出した。
「田所 夢二と言います。佐藤様」
ようやく、こちら側を取引先として認識してくれたようだ。
「ところで佐藤様、何かダンジョン産の野菜や果物はございますか?」
「はい。私はアイテムボックス持ちですので」
アイテムボックスからスイカを取り出す。
「突然、急にスイカが出てきましたが、アイテムボックス……すごいものですね。それでは、少し待っていてください」
しばらくすると店長が包丁を手に戻ってくるとスイカを切って味見した。
もちろん味を大絶賛。
「これはすばらしい。佐藤様、何種類か野菜や果物がありましたら、ご提供いただけますか? 私の一存では、この場での返答は難しいですが、すぐに上の者と掛け合いますので」
「分かりました。それではよろしくお願いします」
「ところで、これらは一日、どのくらいまで入荷することは可能なのでしょうか?」
「そうですね……。とりあえずは100キロ程度と見ておいていただければ」
アイテムボックスのレベルは最低で答えておいた方がいいだろう。
「あと、田所さん」
「何でしょうか?」
「自分の取り分ですが、販売金額の2割でいいのでよろしくお願いします」
「2割で!?」
「何分、ダンジョン産ですから、育てる手間はありませんから」
「なるほど……。それなら、佐藤様がダンジョンから出てくる場所近くに当社の大型冷蔵トラックを何台か配置してピストン輸送した方が良さそうですね」
「たしかに……」
その発想はなかった。
その辺は大手スーパーの店長と言ったところか。
「では、すぐに本社と役員にも掛け合いますので連絡をお待ちください」
かなり色良い返事を頂いたので自宅へと戻る。
農作物やフルーツの取引に関しては話の糸口は掴めたので、あとは結果連絡待ちだな。
口約束も終わり、母親に農作物とフルーツを渡したあと、自宅へと自転車で戻る。
その頃には、時間も夕方に差し掛かっていたので、若返りの付与のある野菜と、近くのスーパーで購入した豚小間を使ってホイコーロを作り食事とした。
飯を食べながら俺は思った。
スーパーに若返りの付与のない農作物を格安で売りつければ、ある程度は、纏まった金になるのでは? と。
ネットで調べてみると、普通は成果市場に売ることが常識になっているらしい。
あと契約をすると数量や価格などの取り決めが年間契約で固定になるために、生産者にメリットがないと書かれていた。
だが、時代はダンジョン時代。
新しい時代の到来。
そうなると一般的な生産からの契約取引先への卸しとは一線を画すことになる。
何しろ、ダンジョンに潜れば一次生産系はいくらでも採取することが出来るからだ。
「やってみる価値はあるな」
日は沈みかけていて夕方の時刻を少し過ぎているくらいだが、逆に顧客が少ないのでスーパーの決済担当などを捕まえることが出来れば早期契約を結べるかも知れない。
善は急げ。
スーツを着て、ネットで簡単に発注しコンビニで作れる名刺を手に近くのスーパーへと足を運んだ。
俺の目論見通り、スーパーは夕方を過ぎた事もあり昼間よりも暇らしく直に担当と会う事が出来た。
所謂、飛び込み営業というやつだ。
「お待たせしました」
スーパーの店長の名札をつけた人に営業に来たことを話して通されたのは、バックヤード側の事務所のような場所であった。
「いえ。こちらこそ。突然、伺ってしまって」
「いえいえ。いつも当店を利用いただいていますから」
どうやら俺のことは営業ではなく一顧客として見ているようだ。
それは、それで助かる。
飛び込み営業は、有無を言わさずお帰りくださいをされるのが、どこの業界でも当たり前だからだ。
その点、常日頃から使っているスーパーとの取引を考えたのは恥ずかしい反面、メリットでもあった。
何しろ、最初の営業が飛び越えるハードルである話を聞いてもらうを素通りする事が出来たのだから。
「それで、本日は、どのようなご用件でしょうか?」
「じつは私は、このような者でして」
俺はコンビニで印刷したペラペラの名刺を名刺入れから取り出すとスーパーの店長へと渡す。
「これは、冒険者の方でしたか……。と、なると、それに付随する商品を卸したいという事でしょうか?」
「そうなります」
「そうですか……。それは少し難しいですね。当店も成果市場や問屋様との取引がありますから、突然起こしになられて、はい、そうですかと取引をすることは出来ないんですよ」
「それは分かっております。ですが、ダンジョン産の農作物は天候に収穫数や収穫時期が左右されない部分が大きいと思っております」
「なるほど……。つまり市場に本来は出回ることがない季節のモノを穴埋めしたい。その穴埋め農作物で取引を行いたいと……そういうことですか?」
「はい」
俺は力強く頷く。
既存の農作物の販売価格やルートを破壊するような販売方法は下の下。
それなら季節によっては収穫が出来ない農作物を提供する。
スイカが冬に収穫できないように、秋、冬、春にスイカを提供し、スーパーはそれを販売して利益を出す。
これは一部の案に過ぎないが俺が言いたいことが伝わったのか思考していた店長が頷く。
「たしかに、今までの常識が通じない。それがダンジョンですね。そのダンジョンから得られる収穫物を店頭に並べることが出来れば常に春夏秋冬のフルーツや農作物を顧客が購入することが出来る。それは、当店だけでなく当店と同じ支店においても市場で戦う上で強い味方になるでしょう」
そこでようやく店長が名刺を取り出した。
「田所 夢二と言います。佐藤様」
ようやく、こちら側を取引先として認識してくれたようだ。
「ところで佐藤様、何かダンジョン産の野菜や果物はございますか?」
「はい。私はアイテムボックス持ちですので」
アイテムボックスからスイカを取り出す。
「突然、急にスイカが出てきましたが、アイテムボックス……すごいものですね。それでは、少し待っていてください」
しばらくすると店長が包丁を手に戻ってくるとスイカを切って味見した。
もちろん味を大絶賛。
「これはすばらしい。佐藤様、何種類か野菜や果物がありましたら、ご提供いただけますか? 私の一存では、この場での返答は難しいですが、すぐに上の者と掛け合いますので」
「分かりました。それではよろしくお願いします」
「ところで、これらは一日、どのくらいまで入荷することは可能なのでしょうか?」
「そうですね……。とりあえずは100キロ程度と見ておいていただければ」
アイテムボックスのレベルは最低で答えておいた方がいいだろう。
「あと、田所さん」
「何でしょうか?」
「自分の取り分ですが、販売金額の2割でいいのでよろしくお願いします」
「2割で!?」
「何分、ダンジョン産ですから、育てる手間はありませんから」
「なるほど……。それなら、佐藤様がダンジョンから出てくる場所近くに当社の大型冷蔵トラックを何台か配置してピストン輸送した方が良さそうですね」
「たしかに……」
その発想はなかった。
その辺は大手スーパーの店長と言ったところか。
「では、すぐに本社と役員にも掛け合いますので連絡をお待ちください」
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