落第転生者、異世界転生局で修行中!〜ひょんなことから異世界送りにされましたが、転生局で学んだ知識で無双しながらスローライフを目指します〜

カコ・コーラ

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第4話:融合した体

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スバルは薄暗い森の中を歩き続けていた。足元はぬかるんでおり、疲労がじわじわと身体を蝕む。ここに来るまで、どれほどの時間が経ったのかもよくわからない。ただひたすら歩いてきたが、次第に木々の隙間から小さな建物が見え始め、ホッとしたように息をつく。

「ようやく、町か……」

ずっと森の中で迷っていたような感覚があり、ようやく人のいる場所にたどり着けたことに感謝せずにはいられなかった。視界に広がるのは、小さな町。石畳が敷かれ、いくつかの木造の建物が並んでいる。町全体はどこか荒れ果てた印象を受けるが、それでもスバルにとっては天国のように見えた。

スバルは、疲れた身体を引きずるようにして町の中心部に向かう。すると、ひときわ賑わっている酒場らしき建物が目に入った。外からは楽しそうな笑い声が漏れており、温かい雰囲気をかもしだしている。あまりの疲労で忘れていたが、スバルは自分のお腹がすっかり減っていることに気付いた。出来れば何かを口に入れたい。

「…そういえば、言葉って通じるのか?」

どの異世界でも、他の世界とは似ても似つかない言語をそれぞれ使用している。だから転生者には、転生先の世界の言語能力を最初に与えられる。

「ひょっとしたらデバイスで解決できるかも…」

再び世界管理デバイスを起動するために、意識を集中して目の前を見つめる。すると、先ほどと同様に青白いスクリーンが視界の中に現れた。このスクリーンは周りの通行人には見えていないようだった。

――俺の体の一部なんだから、当然といえば当然か。

画面の中では、左側に無数のタブが、右側に作業ウィンドウがあり、直感的に使えそうだった。[設定]のタブを開き、右側に表示された沢山の項目を下にスクロールしていくと[自動翻訳]のオンオフ切り替えを見つけた。試しにオンにしてみる。

「よし、行ってみよう」

酒場の扉を押し開けると、中は思っていた以上に活気があった。客たちはテーブルを囲んで食事をし、酒を酌み交わしている。スバルはふとカウンターを見ると、忙しそうに働く女性が目に入った。オレンジ髪の彼女は、フリルのついた可愛らしいエプロンを身に着け、次々と注文をこなしていた。

彼女がスバルに気付き、笑顔を向ける。

「いらっしゃいませ!」

彼女の明るい笑顔と忙しさの中にも余裕を感じさせる仕草に、スバルは一瞬、ここが異世界であることを忘れ、心が癒されるのを感じた。自動翻訳も機能しているようだし、一安心だ。

「どうぞ、こちらの席にお座りください。ご注文は?」

「あ……うん。実は、食事をお願いしたいんだけど……お金がなくて……」

スバルは申し訳なさそうに言葉を濁す。事故でこの世界にやってきたのだから、当然お金は持っていない。そもそもこの世界の通貨がどんなものなのか、通貨制度があるのかすら知らない。

しかし、彼女は驚くほど優しく微笑んで答えた。

「じゃあ、今日は私のおごりにしてあげる。そんなに疲れた顔してたら、こっちも見過ごせないよ」

スバルは驚き、そして感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。

「本当に? ありがとう、助かるよ……」

「困ったときはお互い様だよ!私はリサ・ジョイ・ウィンチェスター、気軽にリサって呼んで」

リサはスバルに温かいシチューとパンを差し出す。スバルは夢中でそれを平らげ、しばしの間、食事の幸福感に浸る。疲労とストレスで押し潰されそうな体には、シンプルな料理が何よりも美味しく感じられた。

「どう? 少しは元気が出た?」

食事が終わると、リサがスバルの前に再び現れた。

「うん、すごく美味しかったよ。ありがとう、リサ」

「それは良かった。かなり疲れてるみたいだけど、冒険者?お金を持ってないって、ハードな旅をしてるのね」

「まぁ…そんなところかな。今日の恩は忘れないよ。お金は必ず払いに戻る」

「マジメだなぁ、気にしなくていいのに!」

リサが忙しそうにまたカウンターに戻るのを見送りながら、スバルはふと、自分がまだこの世界について十分に理解していないことを思い出した。再びデバイスを起動する。どこかに管理対象の世界に関する情報が書いてあるはずだ。

――タブが多すぎる!!色々できるんだろうけど、これは使いこなすのが大変そうだ…

デバイスの中を探検すること数分、[世界情報]というタブを発見した。そこには管理対象の世界のマップや座標、気候、さらには滞在中の国の政治システムまで記載されてある。ふと、スバルの目に二つの情報が飛び込んできた。

――【対象】ユニバース19663 【分類】コードレッド

「え…この世界ってまさか…」
スバルは寒気を感じた。
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