ウッドゴーレムに転生しました。世界樹と直結して、荒れ地を緑あふれる大地に変えていきます【再編集版】

椎名 富比路

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第二章 ウッドゴーレム、土地開拓を開始

第26話 アザレア父娘と再会

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 レンジャーの少女は、ボクを見つけるなり席を立って抱きつく。

「父さん、コーキさんよ!」

「おう、コーキじゃねえか!」

 カウンターで飲んでいたガルバが、ボクに向けてジョッキをかざす。

 みんなで、テーブル席につく。
               
「お久しぶりです、コーキさん。雰囲気が変わりました?」

 チキンの照り焼きを食べながら、アザレアが聞いてくる。

「まあね。カブトを新調したんだ」

 前につけていたマスクは、ティンバーさんを助けたときに壊れてしまった。

 なので、パロンに作り直してもらっている。

 今回のカブトは、頑丈にできているため、めったなことでは壊れないはず。

「そんなフルヘルムを被っていて、食いづらくねえか?」

 ガルバが、ボクのためにごちそうを頼んでくれた。

 好意に甘えて、ボクはチビチビとつまむ。

 パロンはまったく遠慮しないで、バクバク食べているけど。

「声をかけてくれて、ありがとう。またいっしょに、冒険をしてくれますか?」

「もちろんだよ、アザレア!」

「やった! 今回は、どちらへ?」

「港町の、コラシェルだよ。パロンの知り合いに、会いに行くんだ」

 ガルバやアザレアたちと昼食を食べながら、旅の目的を話した。

 コラシェルでは、香辛料や新種の豆類の他に、家具を手に入れるつもりである。

「なるほど、コラシェルか。あそこは、高級住宅街だぜ」

 港町コラシェルは、魔王との戦いのときも、あまり被害が出なかった土地らしい。

「魔王が北の王都・ダリエンツォにかまけていたからな。南にあるコラシェルはたいした損傷がなかったそうだ。で、海路を経由して、王都と連携を取っていたらしい」

「そうなんですね」

「有名なのが、発明家のティンバー殿だな。幅広い馬車や、下水処理設備なんて、あの方が作ってくださったんだ。冒険者証も、ティンバー殿がいなかったら、未だにデカい木の板だったろうよ」

 ティンバーさんって、世界にかなり貢献している発明家さんだったんだなぁ。
 
「そのコラシェルで、何がほしいんだ?」

「調味料、主に香辛料ですね。それと、おしゃれな家具を手に入れようかと」

「家具か。いいな。オレたち冒険者からすれば、家具なんて便利であればいいやって思うが、カカアからすると、案外大事なもんだって聞くぜ」

「奥さんなら、そういうでしょうね」

 ボクには家具なんて、必要ないかもしれない。ボクはゴーレムだし、洋服もある程度あれば足りるだろう。とはいえ、小屋だけというのも寂しい。 

 パロン用の家具はあるが、ボクやクコの分がない。なにかあると、生活感が出ていいなと。
 作るから、廃材でも構わない。

「じゃあオレらは、カカアにあいさつをしてくるから。馬車乗り場で落ち合おう」

「また会いましょう、コーキさん」 

 ガルバと一旦別れて、ボクは馬車を購入した。四人乗りにしては、大型馬車である。牽引する荷台も大きい。

「そうだ。馬車を強化するね」

 荷台の車輪を大きくして、接合面も太くした。これなら、悪路でもちゃんと進めるだろう。大きい馬車の移動を、想定できるし。

 また、規格外の大きな馬車が横断するかも知れない。なので実験用として、大型の馬車に設定をしてみた。

「なんなら、土壌を整地していこうよ。道だってわかるように」

 馬車となると、揺れもひどくなる。そんな状態で薬品なんて作れば、酔ってしまう。

「土魔法で、なんとかできるだろうし」

「ありがとうございます、コーキさん」

「じゃ、出発しよう」

 港町に向けて、ボクは馬車を引いた。

 馬車から土魔法を地面に振りまいて、道を整地していく。

「ホントに、これをコーキがやったのか」

 整備された道を進みながら、ガルバが口を開いた。

「魔物除けの陣を、施しておくね」

 ボクが整地した土ブロックに、パロンがさらに魔法の粉を振りまく。

 カラフルな砂が、魔方陣を描いた。

 これが、魔物除けになるらしい。

「そうだよ。コーキってすごいんだから」

「すげえとは思っていたが、コーキはガチで立派なことを成し遂げているぜ」

 ボクは、みんなの役に立ちたいだけなんだけどね。

 さっそく、カマドウマモドキのモンスターが現れた。数は少ないけど、ガルバからすれば脅威だろう。

 根絶やしにしたはずのカマドウマモドキが現れたのは、港町に近づいたからか。

【アタック・トーテム】は大樹と連結させていて、根っこを伝って自動発生するようには作ってある。けど、まだコラシェルの方は魔物撃退が進んでいない。

 ティンバーさんたちは、どうやって帰ったんだろう? 執事さんたちに守ってもらったのかな?
 
「ファイアボール!」

 ボクは、火の玉を飛ばす。

 カマドウマは、一瞬で焼け焦げた。

「ちょっとまって」

 威力が高すぎる。

 ファイアボールの火力が、アタック・トーテムを軽く超えていた。

 こんなに強かったっけ? ボクって。

「コーキ。なんか、前より強くなってねえか?」

「どうなんだろう?」

 なぜか、定期的に経験値が入ってきていたけど。 

「トーテムやマッドゴーレムが倒した分も、経験値が入っているみたいだね」

 召喚したトーテムやゴーレムが、魔物をやっつけてくれているからか。
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