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第六章 天空露天風呂を目指して 後編 リゾート天空城
城内部は健康器具トラップだらけ
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「わわわわわ止めて止めてッス!」
逆走式動く歩道で、オルタがずっとランニングしていた。
まさか、廊下がベルトコンベアになっているなんて。
ボクたちも、レッドカーペットで足踏みしている。すぐ後ろには、剣山が迫っていた。脱出できなければ、全員串刺しである。
「早く止めろ!」
最年長のオケアノスさんが、一番バテていた。
「シズクちゃん!」
「はい。ぴょーん!」
一番元気なシズクちゃんが、壁伝いに走る。壁は逆走式ではない。
「このレバーですかね? てい!」
廊下の端にあったレバーを、シズクちゃんが蹴る。
コンベアの速度が下がり、やがて止まった。
「間一髪だったな。カズユキ」
「ですねぇ」
さすがに、ボクはへたり込む。
オケアノスさんのすぐ真後ろにまで、剣山は迫っていた。
天空城内部は、このようなワナが大量にある。敵こそいない。が、至る所にトラップが張り巡らされていた。
道中には石製のゴーレムもいる。シズクちゃんとシャンパさんの連携でどうにか撃退できたけれど。
オルタがことごとく罠にハマり、仕掛けに弄ばれる。不運体質なのかな?
「イタイイタイイタイ! 今度はダメージゾーンッス!」
床に青竹とか足ツボ刺激タイプの玉砂利があり、オルタが悶絶した。
「クソ! クツを履いてるのに、ダメージが突き抜けて来やがる!」
そうなのだ。ボクたちはちゃんと丈夫なクツを装備している。なのに、痛みが走るのだ。足を引きずって歩いても同じで、足の裏がこすれて余計に痛む。
「でも、ゴールはまだ先ですよ」
「浮遊魔法を。だめね。使えない」
宙に浮く魔法だけが、なぜか使用できない。
「いたいですぅ」
壁歩き可能なシズクちゃんも、壁にさえびっしりと埋め込まれた玉砂利型の凹凸に苦しんだ。
「血行を良くしに、ここまで来たわけじゃないんですけどね」
やっとの思いで、玉砂利ダメージゾーンを抜けた。
「これじゃ、まるで健康ランドじゃないか」
廊下に腰を下ろして、ボクは深呼吸をする。
本当に、こんな所に伝説の秘宝なんてあるのだろうか? 心配になってきた。
「しかし、生態系が少ないのは気になりますね」
「確かにね」
あまりモンスターを大量に住まわすと、完全孤立した制御空間内で生きられないからでは。
それが、シャンパさんの想像である。
この城は、地上と完全に分離し、隔離している。ナマズは湖に住んでいるからいいとして、他のモンスターでは餓死必至だろうと。
「確かに、人型はゴーレムだけでした。他のモンスタータイプは見当たりません。番犬でもいるかと思いましたが」
どうも、生物らしい反応は確認できないらしい。
「ある程度、植物の生態は循環しているみたいだし、人一人分くらいは自給自足できるみたいだわ」
「そのようですね。先に進みましょう」
城自体は、それほど大きくない。もうすぐゴールである。
石像に囲まれた通路の向こうに、ボス部屋らしき豪華な扉が見えた。
しかし、敵がいない以上、温泉地には期待できないかも?
と思っていると、四方を囲っている石像が動き出す。
「またゴーレム?」
「違う。ガーゴイルだ!」
羽の生えた悪魔型石像が、空を飛んだ状態で襲ってきた。直下と同時に爪で切りつけてくる。攻撃の後にまた上へ逃げていく。ヒットアンドアウェイ戦法だ。上空で口から火炎放射を放つ個体も。
「三角飛びです、えーい!」
壁を足場にして、シズクちゃんが多角的に攻めるも、位置が悪すぎて攻撃が当たらない。
「やはり、魔力で動くモンスターばかりですね」
「弓矢部隊、魔法部隊、構えっ!」
最後列にいた兵士グループが、矢を構える。
オケアノスさんとオルタのグループは、盾を構えて弓兵たちを守った。
「放て!」
氷や炎などの魔力付与された矢が、上空のガーゴイルめがけて飛んでいく。
少しずつ戦力を減らしていき、三分の二は破壊した。が、まだ大勢のガーゴイルが残っている。
石像たちが寄り集まって、一体の巨大デーモンと化した。今度は実体があるようだ。
再度、弓部隊が魔法部隊と連携して攻撃する。
しかし、上位魔物は胸板に力を入れただけで跳ね返してしまう。
「何か打つ手はないですか?」
「魔力の供給源を、断てばいいのよ」
「弱点を探すんですね?」
ボクはシズクちゃんに頼んで、おぶってもらう。
「何をする気なんです?」
「あいつの身体を走って回って! 攻撃はしなくていい!」
モンスターを操作している動力を探すんだ。
「わかりました! いきます!」
鈍重なモンスターが、本気のシズクちゃんを捕らえられるはずがない。大きくなったのがアダになったのだ。
加えて、ボクの【探知】能力をミックスさせる!
「弱点は、みぞおちのベルトだ!」
「はい!」
ここで、シズクちゃんにはボクを放り投げてもらった。彼女に、本気で攻撃して欲しかったからだ。シャンパさんの魔法でキャッチしてもらう。
シズクちゃんは、あえてモンスターの正面に立った。大げさに疲れた様子を見せる。
好機とばかりに、魔族が床板をぶち抜かんばかりの下段パンチを放つ。
「甘いです!」
カウンターのヒザ蹴りが、見事に決まった。相手の勢いが強いほど、こちらが弛緩していればいるほど、威力は高い。
シズクちゃんのヒザは、岩でできた相手の体格をも砕いた。
はあー。温泉に入りたい。
逆走式動く歩道で、オルタがずっとランニングしていた。
まさか、廊下がベルトコンベアになっているなんて。
ボクたちも、レッドカーペットで足踏みしている。すぐ後ろには、剣山が迫っていた。脱出できなければ、全員串刺しである。
「早く止めろ!」
最年長のオケアノスさんが、一番バテていた。
「シズクちゃん!」
「はい。ぴょーん!」
一番元気なシズクちゃんが、壁伝いに走る。壁は逆走式ではない。
「このレバーですかね? てい!」
廊下の端にあったレバーを、シズクちゃんが蹴る。
コンベアの速度が下がり、やがて止まった。
「間一髪だったな。カズユキ」
「ですねぇ」
さすがに、ボクはへたり込む。
オケアノスさんのすぐ真後ろにまで、剣山は迫っていた。
天空城内部は、このようなワナが大量にある。敵こそいない。が、至る所にトラップが張り巡らされていた。
道中には石製のゴーレムもいる。シズクちゃんとシャンパさんの連携でどうにか撃退できたけれど。
オルタがことごとく罠にハマり、仕掛けに弄ばれる。不運体質なのかな?
「イタイイタイイタイ! 今度はダメージゾーンッス!」
床に青竹とか足ツボ刺激タイプの玉砂利があり、オルタが悶絶した。
「クソ! クツを履いてるのに、ダメージが突き抜けて来やがる!」
そうなのだ。ボクたちはちゃんと丈夫なクツを装備している。なのに、痛みが走るのだ。足を引きずって歩いても同じで、足の裏がこすれて余計に痛む。
「でも、ゴールはまだ先ですよ」
「浮遊魔法を。だめね。使えない」
宙に浮く魔法だけが、なぜか使用できない。
「いたいですぅ」
壁歩き可能なシズクちゃんも、壁にさえびっしりと埋め込まれた玉砂利型の凹凸に苦しんだ。
「血行を良くしに、ここまで来たわけじゃないんですけどね」
やっとの思いで、玉砂利ダメージゾーンを抜けた。
「これじゃ、まるで健康ランドじゃないか」
廊下に腰を下ろして、ボクは深呼吸をする。
本当に、こんな所に伝説の秘宝なんてあるのだろうか? 心配になってきた。
「しかし、生態系が少ないのは気になりますね」
「確かにね」
あまりモンスターを大量に住まわすと、完全孤立した制御空間内で生きられないからでは。
それが、シャンパさんの想像である。
この城は、地上と完全に分離し、隔離している。ナマズは湖に住んでいるからいいとして、他のモンスターでは餓死必至だろうと。
「確かに、人型はゴーレムだけでした。他のモンスタータイプは見当たりません。番犬でもいるかと思いましたが」
どうも、生物らしい反応は確認できないらしい。
「ある程度、植物の生態は循環しているみたいだし、人一人分くらいは自給自足できるみたいだわ」
「そのようですね。先に進みましょう」
城自体は、それほど大きくない。もうすぐゴールである。
石像に囲まれた通路の向こうに、ボス部屋らしき豪華な扉が見えた。
しかし、敵がいない以上、温泉地には期待できないかも?
と思っていると、四方を囲っている石像が動き出す。
「またゴーレム?」
「違う。ガーゴイルだ!」
羽の生えた悪魔型石像が、空を飛んだ状態で襲ってきた。直下と同時に爪で切りつけてくる。攻撃の後にまた上へ逃げていく。ヒットアンドアウェイ戦法だ。上空で口から火炎放射を放つ個体も。
「三角飛びです、えーい!」
壁を足場にして、シズクちゃんが多角的に攻めるも、位置が悪すぎて攻撃が当たらない。
「やはり、魔力で動くモンスターばかりですね」
「弓矢部隊、魔法部隊、構えっ!」
最後列にいた兵士グループが、矢を構える。
オケアノスさんとオルタのグループは、盾を構えて弓兵たちを守った。
「放て!」
氷や炎などの魔力付与された矢が、上空のガーゴイルめがけて飛んでいく。
少しずつ戦力を減らしていき、三分の二は破壊した。が、まだ大勢のガーゴイルが残っている。
石像たちが寄り集まって、一体の巨大デーモンと化した。今度は実体があるようだ。
再度、弓部隊が魔法部隊と連携して攻撃する。
しかし、上位魔物は胸板に力を入れただけで跳ね返してしまう。
「何か打つ手はないですか?」
「魔力の供給源を、断てばいいのよ」
「弱点を探すんですね?」
ボクはシズクちゃんに頼んで、おぶってもらう。
「何をする気なんです?」
「あいつの身体を走って回って! 攻撃はしなくていい!」
モンスターを操作している動力を探すんだ。
「わかりました! いきます!」
鈍重なモンスターが、本気のシズクちゃんを捕らえられるはずがない。大きくなったのがアダになったのだ。
加えて、ボクの【探知】能力をミックスさせる!
「弱点は、みぞおちのベルトだ!」
「はい!」
ここで、シズクちゃんにはボクを放り投げてもらった。彼女に、本気で攻撃して欲しかったからだ。シャンパさんの魔法でキャッチしてもらう。
シズクちゃんは、あえてモンスターの正面に立った。大げさに疲れた様子を見せる。
好機とばかりに、魔族が床板をぶち抜かんばかりの下段パンチを放つ。
「甘いです!」
カウンターのヒザ蹴りが、見事に決まった。相手の勢いが強いほど、こちらが弛緩していればいるほど、威力は高い。
シズクちゃんのヒザは、岩でできた相手の体格をも砕いた。
はあー。温泉に入りたい。
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